健康保険被保険者資格取得届の書き方、記入例、提出方法、注意点など

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入手続きは、業種を問わずほとんどの会社で発生する基本業務ですが、令和に入ってから「適用拡大」「マイナ保険証への移行」と立て続けに改正があり、案内する側の知識もアップデートが必要になっています。

今回は、入社時に提出する「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」の書き方と提出方法、最新の改正ポイントまでまとめてみました。

同じく入社時に処理する雇用保険の手続きについては、「雇用保険被保険者資格取得届の記入例、書き方など申請方法を徹底解説!」もあわせてご覧ください。

入社後の手続き全体の流れを確認したい方は、「入社説明や注意点など<入社後の手続・準備>詳細解説」も参考にしてください。健康保険証を無くしてしまった場合の手続きは「健康保険・被保険者証再交付申請書の書き方、記入例、注意点」にまとめています。

【最新の改正ポイント】

2024年(令和6年)10月1日から、短時間労働者の社会保険適用拡大が「常時51人以上の企業」まで広がりました。
2024年(令和6年)12月2日以降、健康保険証の新規発行は廃止されました。今後はマイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)か、未登録の方には「資格確認書」が交付されます。

タップできるもくじ

健康保険・厚生年金保険「被保険者資格取得届」とは

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届の記入例、記入方法、注意点

健康保険、厚生年金保険ってどんな制度?

健康保険は、従業員やその家族が病気や怪我をしたときに、治療費の一部を負担してもらうための制度です。窓口で3割負担で済んでいるのは、この制度のおかげですね。

厚生年金保険は、高齢になったとき・障害の状態になったとき・亡くなったときに、本人や遺族へ年金が支給される制度です。

どちらも法律で加入が義務付けられているもので、会社(事業主)が従業員を入社させたときに、まとめて加入手続きを行うことになっています。担当の役所は年金事務所(実際の処理は事務センター)です。

誰が加入するの?(対象者)

  社会保険(健康保険・厚生年金)加入対象者の判定フロー図

対象者の判定は、ざっくり次の3パターンに分かれます。

区分加入条件
常時雇用される正社員70歳未満の方は国籍・性別・年金受給の有無を問わず全員加入(健康保険は75歳未満まで)
パート・アルバイト1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所の一般社員の4分の3以上であれば加入
4分の3未満の短時間労働者下記5要件を全て満たす方は加入(適用拡大)

(つまり、正社員の所定労働時間が1日8時間×5日で週40時間の会社なら、パートの方も週30時間以上働いていれば健康保険・厚生年金に加入することになります。ちなみに週20時間以上なら、別途、雇用保険にも加入が必要ですね。)

4分の3未満の短時間労働者でも、下記の5要件を全て満たす場合は被保険者になります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  2. 雇用期間が2か月超見込まれること(一般の被保険者と同じ基準に統一されました)
  3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  4. 学生でないこと
  5. 厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上の企業(特定適用事業所)、または労使合意で加入を選んだ事業所、もしくは国・地方公共団体の事業所に勤めていること

「常時51人以上」は2024年10月1日からの基準です。それまでは101人以上、さらにそれ以前は501人以上だったので、「うちはまだ対象外」と思っていた中小企業も、改正後はすでに対象になっているケースが多いと思います。

70歳以上の人はどうする?

70歳以上の方は、原則として厚生年金保険の被保険者ではなくなりますが、要件を満たして働く場合は「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」の提出が必要です。資格取得届と同じ用紙の右下にチェック欄があるので、70歳以上の方を雇用するときはこちらに○を付けて提出します。

健康保険は75歳になるまでは引き続き被保険者です。75歳になると後期高齢者医療制度に移行するので、健康保険からは脱退する流れになりますね。

70,75歳等で保険料の徴収は変わりますが、資格取得届はすべての年齢で必要です。75歳以上だから提出しなくていいという訳ではありません!

どの書類を出すの?

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」(上の写真の書類です)を提出します。

添付書類は必要?

以下のいずれかに該当する場合を除き、添付書類は不要です。

  • 扶養家族がいる場合 → 「健康保険被扶養者(異動)届」もあわせて提出
  • 60歳以上の方が、退職後に1日の空白もなく再雇用された場合(同日得喪)→ 同時に同日付の「資格喪失届」も提出

同日得喪については「健康保険・厚生年金「被保険者資格喪失届」の記入例、書き方、提出方法、注意点」に詳しい手順をまとめています。

どこへ提出するの?

管轄の事務センターへ郵送するのが基本です。年金事務所の窓口へ持ち込むこともできますが、最近は電子申請(e-Gov)で済ませる会社が増えていますね。

雇用保険と違って、決定通知書と資格情報のお知らせ(または資格確認書)は事務センターから自動的に郵送されてくるので、返信用封筒は必要ありません。

【マイナ保険証時代の保険証はどうなる?】

2024年12月2日以降、紙の健康保険証は新規発行されなくなりました。資格取得届を提出した後の流れは、本人の状況によって次のように変わります。

  • マイナ保険証を登録済みの方 → 会社へ「資格情報のお知らせ」が届く(マイナ保険証で受診OK)
  • マイナンバーカードを持っていない・保険証利用登録していない方 → 「資格確認書」が交付され、医療機関に提示すれば従来通り受診できる

新入社員から「保険証まだ届かないんですが…」と聞かれたら、「今は紙の保険証は出なくなって、資格情報のお知らせかマイナ保険証で受診します」と案内する流れになりますね。

誰が手続きするの?

会社(事業主)が手続きを行います。本人ではなく総務・労務担当の仕事ですね。

いつまでに出すの?

入社などの保険加入の事実発生から5日以内です。月またぎになると保険料の発生月に影響するので、できるだけ早めに動いた方がいいと思います。

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届の記入例、書き方、注意点

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届の記入例、記入方法、注意点

上の例の様に書いてもらえれば、問題ないと思います。事業所整理記号・事業所番号は、新規適用時等に年金事務所から付された記号・番号を記入します。

①被保険者整理番号

被保険者整理番号は年金機構側で決まるので、記入する必要はありません。空欄でそのまま提出して大丈夫です。

②氏名

住民票に登録されているものと同じ氏名を記入します。フリガナも忘れずに入れておきましょう。

③生年月日

該当する年号の番号を○で囲んでください(5.昭和、7.平成、9.令和)。

④種別

該当する番号を○で囲んでください。
1.男性/2.女性/3.坑内員/5.男性(基金)/6.女性(基金)/7.坑内員(基金) の区分があります。一般の会社員はほぼ「1.男性」か「2.女性」ですね。

⑤取得区分

該当する番号を○で囲んでください。
1.健保・厚年(健康保険・厚生年金保険の被保険者となったとき・船員保険適用者を除く)
3.共済出向(共済組合から公庫等へ出向した職員であるとき)
4.船保任継(船員任意継続被保険者であるとき)
通常の入社であれば「1.健保・厚年」で問題ないと思います。

⑥個人番号(基礎年金番号)

本人確認を行ったうえで、個人番号(マイナンバー)を記入します。マイナンバーが分からない場合は、年金手帳等に記載の10桁の基礎年金番号を左詰めで記入する形でもOKです。

マイナンバーで届出すれば、後述の「⑪住所」欄が省略可能になるので、実務的にはマイナンバーで出すのが楽ですね。

⑦取得(該当)年月日

入社日など、適用事業所に使用されることになった日を記入します。
(70歳以上被用者該当届として提出する場合は、70歳以上被用者に該当した日)
(事業所が新たに適用事業所になった場合は、その日)

⑧被扶養者

被扶養者がいる場合は「1.有」、いない場合は「0.無」を○で囲んでください。
「1.有」の場合は、別途「健康保険被扶養者(異動)届」の提出が必要になります。

⑨報酬月額

わかりやすく言えば、通勤費込みの1か月分の給料です。

「(ア)通貨」には、給料・手当等、名称を問わず労働の対償として金銭で支払われるすべての合計金額を記入します。

  • ※1 臨時に支払うものや、3か月を超える期間ごとに支払う賞与等は対象外
  • ※2 週給の場合は、週の金額を7で割った額の30倍を記入
  • ※3 実績によって報酬が変わる場合は、過去1か月間に同じ事業所内で同様の業務に携わっている従業員の報酬の平均額を記入

「(イ)現物」には、報酬のうち食事・住宅・被服・定期券等、金銭(通貨)以外で支払われるものを記入します。現物による額は、厚生労働大臣が定めた額(食事・住宅は都道府県ごとの価額、その他被服等は時価で算定した額)になります。

「(ウ)合計」は(ア)+(イ)の金額です。この合計額をもとに標準報酬月額が決まり、毎月の保険料が計算されます。社会保険料の計算方法は「社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)の計算方法、変更、納付のタイミング」も参考にしてください。

⑩備考

該当する項目に○を付けます。実務でよく使うのは次の4つです。

  1. 70歳以上被用者該当 … 70歳以上の方を新しく雇うとき
  2. 二以上事業所勤務者の取得 … 他社でも社会保険に入っている方を雇うとき(別途「所属選択届」が必要)
  3. 短時間労働者の取得 … 4分の3未満で5要件を満たして加入する方
  4. 退職後の継続再雇用者の取得 … 60歳以上の同日得喪のとき

空欄でも受け付けてくれることが多いですが、該当があるのに付け忘れると、保険料の計算や被保険者区分が正しく登録されないことがあるので注意ですね。

⑪住所

住民票上の住所を記入します。⑥でマイナンバーを記入していれば、この住所欄は省略可能です。マイナンバーから住所が確認できるため、書かなくても受理されます。

⑫国民年金第3号被保険者欄

本人ではなく、その配偶者(被扶養配偶者)が国民年金第3号被保険者に該当する場合に記入する欄です。被扶養配偶者がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」と一体になった「国民年金第3号被保険者関係届」もあわせて提出することになります。

添付書類と提出時の注意点

 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の手続き全体フロー(入社から受診まで)

提出先

管轄の事務センターへ郵送、または年金事務所窓口へ持参。電子申請(e-Gov)でもOKです。

提出期限

入社などの事実発生から5日以内。遅れても受け付けてはもらえますが、月をまたぐと保険料発生月が1か月ズレるので、なるべく早めに出した方がいいと思います。

添付書類

原則は添付書類なし。下記に該当する場合のみ追加で必要になります。

ケース追加で必要な書類
扶養家族がいる健康保険被扶養者(異動)届
60歳以上の同日得喪同日付の資格喪失届+就業規則・退職辞令の写し等
二以上事業所勤務所属選択届

マイナ保険証時代の保険証はいつ届く?

2024年12月2日以降、紙の健康保険証は新規発行されません。届出から概ね1〜2週間で、事務センターから次のいずれかが郵送されてきます。

  • マイナ保険証登録済の方 → 「資格情報のお知らせ」(マイナ保険証で受診)
  • マイナ保険証未登録の方 → 「資格確認書」(医療機関に提示して受診)

従業員から「すぐ病院に行きたいんだけど」と相談があった場合は、いったん全額立替→後日「療養費支給申請書」で返戻、という対応もできるので案内してあげましょう。

同日得喪(60歳以上の継続再雇用)

60歳以降の定年再雇用などで、退職と再雇用の間に1日の空白もない場合、同日付で資格喪失届と資格取得届を同時に提出することで、再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に下げることができます。給料が大きく下がるケースでは保険料負担を抑えられるので、忘れずに手続きしたいところですね。

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届のQ&A

試用期間中は社会保険に加入しなくてもいいの?

試用期間中であっても、適用事業所で常時雇用されている方であれば、入社初日から加入が必要です。「試用期間が終わってから加入させればいい」というのは誤解で、見落としやすいところなので注意ですね。

資格取得届を5日以内に出せなかったらどうなる?

受け付けてはもらえます。ただし2か月以上遅れた場合は「遅延理由書」の提出を求められることがあります。月をまたぐと保険料発生月もズレるので、できるだけ期限内に出した方がいいと思います。

マイナンバーカードを持っていない人は受診できないの?

大丈夫です。マイナ保険証未登録の方には「資格確認書」が交付されるので、それを医療機関に提示すれば従来の保険証と同じように受診できます。資格確認書の有効期限は最長5年で、満了前に自動更新される運用です。

他の会社でも社会保険に入っている人を雇うときはどうする?

「二以上事業所勤務者」になります。資格取得届の備考欄に○を付けたうえで、別途「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を本人が10日以内に提出する必要があります。報酬月額は両社の合計で計算されるので、本人の保険料負担も増えますね。

月の途中で入社した場合、その月の保険料はどうなるの?

社会保険料は月単位で発生するので、月の途中で入社しても、その月の1か月分の保険料がかかります(日割りはありません)。一方、月末日に退職した場合はその月分まで保険料発生、月末日の前日までに退職した場合はその月分は発生しない、という考え方です。

外国人を雇うときも同じ書式でいいの?

同じ書式で問題ありません。住民票がある外国人であればマイナンバーが付番されているので、⑥にマイナンバーを記入する形で出します。住民票がない短期滞在の方の場合は、年金事務所に事前確認した方が安全だと思います。

電子申請なら社会保険手続きはもっと楽になる

資格取得届は紙で郵送するより、e-Govの電子申請のほうが圧倒的に楽です。最近はクラウド型の人事労務サービスから直接電子申請できるものも増えていて、入社情報を登録するだけで資格取得届が自動生成・送信されるので、慣れると紙には戻れなくなりますね。

公式サイト 

入社時の手続きは健康保険・厚生年金以外にも、雇用保険・住民税の特別徴収切替・税扶養控除等申告書など、まとめて発生するものが多いと思います。あわせて「入社説明や注意点など<入社後の手続・準備>詳細解説」も参考にしてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
タップできるもくじ