色々面倒なイメージのある離職証明書、離職票について、記入例等と書き方、注意点をまとめてみたいと思います。
なお、令和3年1月から事業主、退職者ともに押印不要となっています。詳細は「社会保険の書類の署名や押印が不要らしいものの、実際どうなの?」もよかったらご覧ください。
離職票(離職証明書)とは
離職票(雇用保険被保険者離職証明書(離職票-2))とは、会社を辞めた退職者が失業保険をもらうときの計算のもとになる書類です。
そのため、この離職票をもとに失業給付の金額が決まり支給がされるので、とても大切な書類となっています。
離職票には-1、-2の二種類があり、ここでは、-2について触れていきたいと思います。
(離職票-1は、喪失届を提出すると発行されます。書き方はこちら↓↓)
今回の離職票(離職証明書)のイメージはこんなんです。
この離職票-2(離職証明書)は3枚1組で複写方式です。
3枚ともセットでハローワークへ提出する必要があります。
1枚目は、ハローワークへ提出した後の事業主控
2枚目は、離職証明書としてハローワーク側が保管
3枚目は、離職票-2として事業主を通じて退職者に渡す分
として使われます。
雇用保険、社会保険の手続きについてはこの1冊↓
離職票は必ず発行しないといけないの?
退職者が離職票を求めた場合は、会社は発行する義務があります。
しかし、退職者が59歳以上でない場合は、転職先が決まっている場合などで失業給付金がいらないとか、求められない場合は、離職票の発行は必要ありません。
59歳以上の退職者は本人が希望するしないに関わらず、必ず離職票の交付が必要です。
必ず発行する会社
前職では、正社員が多かったこともありますが、退職者から言われなくても発行し、ほぼ100%発行してましたね。
毎回発行すると退職後にやり取りをしないメリットはありますが、作成に手間を取られ忙しくなります。
言われてから発行する会社
今の職場は、パート・アルバイトも多いので、退職者から言われないと発行しないスタイルです。
退職者から言われて発行すると、退職者とのやり取りが発生するので、退職者の手元に届くまでに時間がかかるデメリットがあります。
ハローワークから言われることも
たまに、退職者がハローワークへお願いして、ハローワークから離職票の発行を依頼されることがあります。
退職者が会社に言いづらいからハローワーク経由で言っているだけで、処理の仕方はいつもと同じです。
(結局、退職者の署名の欄も必要なので、会社は退職者に連絡しないとだめなのですが、、、)
離職票はいつまでに発行しないといけないの?
退職の翌日から10日以内に、郵送などの方法で退職者の手元に届くように手配しなくてはなりません。
離職票の手続きの流れ、どのタイミングで行うか?
手続きの流れはこんな感じですね。
多くの社会保険の書類と異なり、退職者に内容を確認してもらって氏名を記入してもらう必要があります。
このため、会社によっては退職日までに給料の計算を行い、退職者の署名が終わった上で退職日をむかえ、退職日の翌日に急いでハローワークへ提出、退職者へ郵送するという会社もあります。
失業給付金が振込まれるのはいつ?
また、退職した後で給料が確定し、給与支払い後に手続きを行うという会社もありますが、失業保険の給付自体が退職日を基準に行われるのではなく、ハローワークへの提出日が基準となるので、退職日の後すぐに離職票を本人の元に渡す方が好ましいとは思います。
退職者からすれば、実際に失業給付金が振込まれるのは、おおよそ、
解雇・定年退職—–>離職票を提出した日から約1か月後
自己都合————>離職票を提出した日から約3か月後(※下図参照)
「退職者がハローワークへ離職票を提出した日から」がポイントです。
・令和2年10月1日から下の図の様に待機期間の変更により、自己都合時、離職票提出から支給されるまでの期間が約4か月から3か月へと変更になります。(5年間のうち離職回数が2回までは給付制限期間が3か月から2か月へと変更になるため)
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離職票(左半分)の記入例、書き方、注意点
カーボン複写なので注意
3枚複写となっているので、A3の用紙ですが 、A4のように折りたたんで使う時は反対側にうつらないように気を付けましょう。
私は、初めの頃は何度も反対側に字がうつってしまうミスをしてしまいました。
また、離職票に限らず複写するタイプのものは、カーボンが2枚目3枚目に着くので、傷とか線とか変に当たったりしないように気を付けた方がいいと思います。
すぐ用紙が汚れるので、何枚か予備をいつも持つように私はしています。
記入例
記入例はこんな感じです。
(わかりやすく赤・緑の文字で書いてますが、実際は黒で書いてくださいね)
特に(15)は退職者本人が署名します。
また(8)(9)欄は、原則11日以上ある月が12か月になるまで記入が必要です。
項目ごとに説明していきます。
(1)・(2)欄
資格喪失届に記載されている番号を記入。
(4)欄
資格喪失届に記入した離職年月日と同じ日を記入。(いわゆる退職日です)
(8)欄
離職した被保険者の種類により一般被保険者、高年齢被保険者として離職した方の場合はA欄に、短期雇用特例被保険者として離職した場合にはB欄に記入。 ほとんどAだと思います。
(9)欄(基礎日数)
(8)(9)欄は、原則11日以上ある月が12か月になるまで記入が必要です。
(8)の賃金の支払の基礎となった日数を記入。なお、半日勤務なども1日としてカウント。(休業手当または有給休暇の対象となった日を含む。)
月給者は、原則として歴日数(1月なら31日、2月なら年によって28日、29日)
日給者・時間給者は実稼働数、出勤した日数
(10)欄
事業所での賃金対象期間(賃金締切日の翌日から次の賃金締切日まで)を記入。
(11)欄
(10)欄の各期間において賃金支払の基礎となった日数を記入。
((9)欄と同様ですが、退職日と給与の締め日が同じ出ない場合は、(9)欄の日数とは異なり、ズレます)
(12)欄
通勤手当込みの総支給額を記入。(健康保険や税金を引いた手取り額ではありません)
月給、週給など賃金の主たる部分が月・週その他一定の期間によって定められている場合には、時間外手当等を含め、その月の賃金のすべてをA欄に記入してOK。
日給、時間給などの場合、主な部分の賃金をB欄に記入し、通勤手当等月額で定められている賃金をA欄に記入。
(細かくは違いますが、イメージとしては固定給の給与額がA、時給などの変動給の人はBとなります)
(12)欄の未計算について
給与計算前だと、(12)に「未計算」という記入で処理もできます。
しかし、後日、郵送・FAXで確定した給与を送るようにハローワークから連絡が来ますので、出来るだけ記入した方が手間が省けます。
(先日、ハローワークでこの”未計算”で処理をした際、締め日での退職ではなく(計算期間の途中)勤務日数が1か月ないので、FAXとかはいらないといわれました。FAXがいるのは1か月分の賃金がある場合だけといわれました。この辺りは各ハローワークによって、対応が異なるかもしれません。)
(13)欄
欠勤や休業手当の支払いがあった場合等に参考となる情報を記入。
(14)欄
毎月支払われる賃金以外のうち、3カ月以内の期間ごとに支払われる特別の賃金がある場合に記入。
(年2回の賞与とかは書かなくていいです)
(15)欄
退職者に(7)欄を除く内容を確認してもらい、記名してもらいます。
(15)欄に退職者の署名がもらえない場合
やむを得ない理由により退職者本人の記名を得ることができないときは、(15)欄にその理由を記入し、事業主印を押印で処理。
(という形で処理できますが、この状態で離職票を本人に渡すとトラブルのもとなので同意してもうのが基本ですね)
離職票(右半分)の書き方、記入例、注意点
自己都合退職の記入例はこんな感じです。
(わかりやすく赤・緑の文字で書いてますが、実際は黒で書いてくださいね)
特に(16)は退職者本人が”なし”に〇、署名します。
離職票(右半分)の記入例、
拡大するとこんな感じです。
項目ごとに説明していきます。
(7)欄
離職理由に該当するものを「離職の理由」の中から選び、その左欄の「事業主記載欄」の該当する箇所に○をし、「具体的事情記載欄」に原因とその経過を記入。
(16)欄
退職者に(16)欄(離職者の判断)の該当する事項を〇で囲んだ上、署名をしてもらう。
離職票で退職者と一番もめてトラブルになるのは、この部分です。
なぜなら、離職理由により受給資格の可否、給付日数が変わり、退職者は一番気にする所だからです。
とにかく、トラブルにならないように気を付けましょう。
なお、自己都合以外の記入例を載せていないのは、自己都合とそれ以外では書き方もですが、必要書類が異なるためです。
それぞれのケースバイケースで対処が必要となります。
そのため、一番多い自己都合のバージョンのみを書いていますが、その他の事例については追々アップしていきたいと思います。
離職票の添付書類など
必要書類は、
- 喪失届
- 賃金台帳(源泉徴収簿はダメです)
- 出勤簿、タイムカード
- 退職理由がわかるもの(退職願等)
があります。
退職願については、ハローワークで(7)(16)の欄で署名があれば、特に必要がないと言われたことはあります。
ただ、念のため、公的には必要とされているので手続き時には持って行った方がいいと思います。
自己都合以外では、就業規則等が必要で状況に応じて、必要なものが異なるので、ハローワークにその都度聞くことをオススメします。
離職票を簡単に作成する方法
離職票を手書きで作るのは、本当に大変ですよね。書く所が多い上に、複写で書きづらいし、間違えたら書き直し、、ただでさえ退職時は他にも書類作成したり手続き多いのに、、、私も散々苦労してきました。
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