従業員から「保険証をなくしました」と言われること、ありますよね。以前は協会けんぽへ「被保険者証再交付申請書」を出せばよかったのですが、健康保険証の廃止で手続きが変わりました。今は、なくしたものが「マイナ保険証」なのか「資格確認書」なのかで対応が分かれます。
この記事では、健康保険証をなくしたときの現在の手続きを、総務・経理の担当者向けに整理しました。慌てて相談に来る従業員に落ち着いて案内できるよう、書類別の対応と記入例をまとめています。
この記事でわかること
- 従来の健康保険証は2024年12月2日で新規発行が終わり、2025年12月1日で全て有効期限が切れた
- 今は「マイナ保険証」「資格確認書」「資格情報のお知らせ」の3つで資格を確認する
- なくしたものによって、再発行の申請先も書類も変わる
- 資格確認書をなくしたら「資格確認書交付申請書」を協会けんぽへ提出する
まず、本当になくしたか再確認
手続きの話に入る前に、まず本人にもう一度確認してもらいましょう。というのも、再交付の申請を出してきて、翌日とかに「ありました」というケースが、私の経験でも一度や二度ではありませんでした。
マイナ保険証(マイナンバーカード)や資格確認書は本人が持ち歩くものなので、カバンの別のポケットや車の中から出てくることも多いです。本当にないか確かめてから、下の手続きに進んでもらうと二度手間になりません。
今は「保険証の再交付」ではない?マイナ保険証時代の3つの書類
従来の紙やカードの健康保険証は、2024年12月2日で新規発行が終わり、2025年12月1日で全ての保険証が有効期限を迎えました。有効期限切れに気づかず持参した場合に使えるとしていた暫定的な取り扱いも、2026年7月31日で終了しています。そのため「保険証の再交付」という手続き自体が、今はありません。
代わりに、今は次の3つで医療機関に資格を伝えます。なくしたときの手続きも、この3つのどれをなくしたかで変わります。
| 書類 | どんなもの? | 持っている人 |
|---|---|---|
| マイナ保険証 | 健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカード。窓口で読み取って資格確認する | マイナンバーカードを保険証として登録した人 |
| 資格確認書 | マイナ保険証を使わない・使えない人に交付されるカード。窓口に提示して資格確認する | 登録していない人・マイナカードを持たない人 |
| 資格情報のお知らせ | 自分の加入資格(記号・番号など)を確認するための紙。単独では受診できない | 協会けんぽの加入者に交付(申請不要) |

「資格情報のお知らせ」は、マイナ保険証が読み取れない窓口でマイナカードと一緒に提示する補助的な書類です。これ1枚では受診できない点が、以前の保険証と違うところですね。
なくした書類別の手続き
従業員がなくしたものによって、申請先も書類も変わります。総務としては「何をなくしたのか」をまず確認するのがポイントです。

マイナ保険証(マイナンバーカード)をなくしたとき
マイナンバーカードそのものの紛失なので、会社の健康保険の手続きではなく本人の手続きになります。まずマイナンバー総合フリーダイヤルへ連絡して一時利用停止をし、お住まいの市区町村でカードの再発行を申請してもらいます。悪用防止のため、警察・交番への遺失届も忘れないように伝えましょう。
再発行までの間、医療機関にかかる必要がある場合は、後述の資格確認書を申請しておくと安心です。
資格確認書をなくしたとき
これが以前の「保険証の再交付」に一番近い手続きです。協会けんぽの場合、「資格確認書交付申請書」を協会けんぽの支部へ提出すると再交付されます。事業主経由で郵送するか、電子申請サービスからも申請できます。
健康保険組合に加入している場合は、組合ごとに様式や申請先が違うので、加入している組合の案内で確認してください。
資格情報のお知らせをなくしたとき
「資格情報のお知らせ」を紛失・き損した場合は、協会けんぽへ「資格情報のお知らせ交付申請書」を提出すると再発行されます。マイナ保険証が使える人でも、記号・番号を確認する場面で必要になることがあるので、なくしたら再発行しておくとよいですね。
資格確認書交付申請書の書き方、記入例
いちばん問い合わせが多い「資格確認書交付申請書」の書き方を見ていきます。

書き方は上のような感じです。誰の資格確認書が必要なのか(被保険者本人か、被扶養者か)をはっきりさせるのがポイントです。
記号・番号が分からない場合は?
記号・番号は、資格情報のお知らせや資格取得時の社内控えを見れば記入できると思います。どうしても分からない場合は、記号・番号の代わりに被保険者の個人番号(マイナンバー)を記入する方法があります。ただし、紙で申請するときにマイナンバーを記入した場合は、本人確認書類貼付台紙の添付が必要になるので注意してください。
交付理由の書き方は?
現行の様式では、まず交付対象者(本人のみ・被扶養者のみ・両方)を選び、「交付理由」の欄に、マイナ保険証を利用できない状況を記入・チェックする形になっています。紛失・き損もこの交付理由にあたります。き損(汚れ・破損)で作り直す場合は、手元の資格確認書を添付します。
資格確認書交付申請の注意点など
誰がどこへ申請するの?
協会けんぽの場合、加入している支部へ郵送で申請します。事業主が取りまとめて出すことも、電子申請サービスから出すこともできます。健康保険組合の場合は組合の案内に従ってください。

添付書類は?
き損(汚れ・破損)で作り直す場合は、手元の資格確認書を添付します。記号・番号の代わりに個人番号(マイナンバー)を記入した場合は、本人確認書類貼付台紙が必要です。また、代理人が提出する場合は、代理権や身元を確認する書類が必要になることもあります。健康保険組合の場合は取り扱いが異なることがあるので、加入先へ確認しておくと安心です。
再発行の日数はどれくらい?
協会けんぽの場合、不備がなければ受付後1週間程度で送付されます。会社にお勤めの方は事業所あてに、任意継続の方はご本人の住所あてに届きます。4月など入退社が多い時期はもう少しかかることもあるので、急ぎの受診が必要な事情があれば、その旨を加入先に相談してみてください。
費用はかかるの?
協会けんぽの資格確認書の交付は無料です。健康保険組合では取り扱いが異なる場合もあるので、加入先へ確認したほうがいいですね。
健康保険証をなくしたときのよくある質問(FAQ)
- 今でも「被保険者証再交付申請書」は使えるの?
-
従来の健康保険証が2025年12月1日で全て有効期限を迎えたため、「被保険者証再交付申請書」による保険証の再発行という手続きはなくなりました。今は、マイナ保険証を使わない人向けの「資格確認書交付申請書」や、「資格情報のお知らせ交付申請書」が、これに代わる手続きになります。
- マイナ保険証を持っていれば資格確認書はいらないの?
-
基本的には、マイナ保険証(利用登録したマイナンバーカード)があれば窓口で資格確認ができるため、資格確認書は交付されません。ただし、マイナンバーカードを持っていない人や、保険証利用登録をしていない人には資格確認書が交付されます。マイナカードを紛失して再発行を待っている間など、一時的に必要な場合は申請することもできます。
- 「資格情報のお知らせ」だけで病院にかかれる?
-
かかれません。「資格情報のお知らせ」は自分の加入資格(記号・番号など)を確認するための紙で、単独では受診できません。マイナ保険証が読み取れない窓口で、マイナンバーカードと一緒に提示して使う補助的な書類です。マイナ保険証を持たない人が受診に使うのは、資格確認書のほうです。
- 従業員がマイナンバーカードごとなくした場合、会社は何をすればいい?
-
マイナンバーカードの紛失は本人の手続きです。会社としては、本人にマイナンバー総合フリーダイヤルでの一時利用停止と、市区町村でのカード再発行、警察への遺失届を案内しましょう。再発行を待つ間に受診が必要であれば、資格確認書の交付申請を会社経由で手伝ってあげると親切です。
- 健康保険組合の場合も協会けんぽと同じ手続き?
-
基本的な考え方(マイナ保険証・資格確認書・資格情報のお知らせ)は同じですが、申請書の様式・申請先・費用の扱いは組合ごとに異なります。健康保険組合に加入している場合は、その組合の案内で確認してください。この記事の申請書の説明は協会けんぽを前提にしています。
健康保険証の廃止で手続きの名前は変わりましたが、「なくしたら早めに再発行を申請する」という基本は同じです。従業員から相談されたら、まず何をなくしたのかを確認し、この記事の書類別の対応で落ち着いて案内してあげてください。制度の細かい部分は、加入している協会けんぽ支部や健康保険組合の最新の案内もあわせて確認すると確実です。