給与支払報告書を市区町村に提出するとき、特別徴収にできない人(退職予定者・専従者・乙欄の人など)を切り分けて報告するための書類が「普通徴収切替理由書(兼仕切書)」です。
これを付け忘れたりすると、本来普通徴収にしたかった人まで全部特別徴収扱いになってしまうので、地味に大事な書類なんですよね。
今回はこの普通徴収切替理由書(兼仕切書)について、書き方・記入例・切替符号A〜Fの選び方・提出期限・注意点をまとめました。
総括表の書き方については別の記事でまとめているので、合わせてご覧ください。

普通徴収切替理由書(兼仕切書)とは?

普通徴収切替理由書(兼仕切書)とは、給与支払報告書(個人別明細書)と一緒に市区町村へ提出する書類で、「この人は特別徴収ではなく普通徴収にしてください」という申し出と、その理由(符号A〜F)をまとめて報告するためのものです。
原則として、給与支払者(会社)は従業員の住民税を毎月の給与から天引きして納める「特別徴収」が義務付けられています。なので、普通徴収にしたい場合は理由を明記して切替を申し出る、という流れになります。
普通徴収と特別徴収の違いは?
| 区分 | 納付方法 | 対象 |
|---|---|---|
| 特別徴収 | 会社が毎月の給与から天引きして納付 | 原則すべての給与所得者 |
| 普通徴収 | 本人が市区町村から届く納付書で年4回納付 | 切替理由書で申し出た人のみ |
会社員はほぼ特別徴収、自営業や年金生活者は普通徴収、というのが基本的な分かれ方ですね。
なぜ「切替理由書」を出さないといけないの?
平成29年度から、各都道府県・市区町村で「個人住民税特別徴収の徹底」が進められて、原則すべての給与所得者を特別徴収にする運用になりました。
そのうえで、どうしても特別徴収にできない人(給与が少額・退職予定・乙欄など)を例外として普通徴収にしたい場合に、「事情があるので普通徴収でお願いします」と理由を添えて申し出るのが切替理由書の役割です。
「兼仕切書」って何?
「仕切書」というのは、給与支払報告書のうち普通徴収にする人の枚数を集計して、特別徴収の束と区切る(仕切る)紙、という意味です。
切替理由書と仕切書の役割を1枚にまとめたのが「普通徴収切替理由書(兼仕切書)」で、現在ほとんどの市区町村がこの統一様式を使っています。
普通徴収切替理由書(兼仕切書)の書き方、記入例

上の例の様に書いてもらえれば、問題ないと思います。
記入する内容は大きく分けて2つで、①該当者の人数(仕切書部分)、②切替理由(符号A〜F)の内訳、です。
切替理由(符号A〜F)の選び方
普通徴収にしたい理由は、全国共通の符号A〜Fから選んで記入します。eLTAXの統一様式でも同じ符号が使われているので、一度覚えてしまえばどの市区町村でも応用が効きます。
| 符号 | 該当する理由 | 具体例 |
|---|---|---|
| 符号A | 総従業員数が2人以下(B〜Fの該当者を除いた人数) | 家族経営の小規模事業所など |
| 符号B | 他の事業所で特別徴収(乙欄該当者) | 掛け持ち勤務で本業側で天引き済みの人 |
| 符号C | 給与が少なく税額が引けない | 年間給与が約100万円以下のパート・アルバイト |
| 符号D | 給与の支払いが毎月でない | 不定期に支払う役員報酬など |
| 符号E | 事業専従者(個人事業主のみ対象) | 青色専従者・白色専従者 |
| 符号F | 退職者または退職予定者(翌年5月末まで) | 1月1日時点で退職済み・退職予定の人 |
迷いやすいのは符号BとC、それと符号Aですかね。乙欄の人は本業のほうで特別徴収されている前提なので符号B、給与が少なくて住民税が引けない人は符号Cです。符号Aは「他に該当理由がない少人数事業所」のための符号なので、B〜Fに当てはまる人はB〜Fを優先します。
仕切書部分(普通徴収人数の集計)の書き方
仕切書部分には、符号ごとに何人いるかを記入し、合計人数も書きます。給与支払報告書(個人別明細書)の特別徴収・普通徴収の枚数と一致するように集計してください。
個人別明細書のうち、普通徴収にする人の右上に「普」と記載する運用が多いです。市区町村によっては丸囲みの「普」だったり、別の印だったりするので、配布されている記入要領を確認しておくと安心ですね。
給与支払報告書の提出の流れ

給与支払報告書(個人別明細書+総括表)と一緒に、普通徴収にする人がいる場合は切替理由書(兼仕切書)を添えて提出する、という流れになります。
提出先はどこ?
提出先は、従業員の1月1日時点の住所地の市区町村です。会社の所在地ではなく、従業員ごとの居住地に出すので、従業員数が多いと提出先の市区町村も多くなります。
10人いて10人とも別の市区町村に住んでいたら、10か所に出すことになりますね。(地味に郵送代もかかります)
提出期限はいつまで?
提出期限は翌年1月31日までです。給与支払報告書・総括表・切替理由書すべて同じ期限ですね。
1月31日が土日祝の場合は翌営業日まで延長されますが、自治体によって扱いが微妙に違うこともあるので、ギリギリは避けたほうが無難な気がします。
添付書類は何が必要?
- 給与支払報告書(総括表)
- 給与支払報告書(個人別明細書)
- 普通徴収切替理由書(兼仕切書)※普通徴収者がいる場合のみ
普通徴収者が0人なら切替理由書は不要です。全員特別徴収のときは個人別明細書と総括表だけで大丈夫ですね。
eLTAXで電子提出する場合は?
eLTAX(地方税ポータルシステム)で電子提出する場合も、普通徴収切替理由書(兼仕切書)の情報を入力する欄があります。紙で提出するときと同じ符号A〜Fを使うので、考え方は変わりません。
個人別明細書のデータに「普通徴収希望」と「符号」を入力すれば、eLTAX側で自動的に仕切書部分の集計をやってくれるので、手書きより圧倒的に楽だと思います。給与計算ソフト(freee人事労務など)を使えば、年末調整から給与支払報告書・切替理由書の出力まで一気通貫でできるので、人数が多い会社は導入を検討してもいいかもしれません。
普通徴収切替理由書(兼仕切書)の注意点
市区町村ごとに様式が違うけど大丈夫?
記入例、書き方を上に書いてますが、難しいのが、市区町村によって様式や項目が微妙に異なるところですね。(うちの管轄も毎年微妙にレイアウトが変わります)
とはいえ、符号A〜Fの考え方は全国共通なので、内容さえ合っていれば各市区町村の様式に書き写すだけで対応できます。市区町村のホームページから最新版の様式をダウンロードして使うのが一番確実です。
符号で迷ったときはどうする?
どの符号を選べばいいか迷ったら、提出先の市区町村に直接電話で聞くのが早いです。住民税担当の方が丁寧に教えてくれることが多いですね。(電話に出た人によって回答が微妙に違うときもあるので、念のため複数回確認したほうがいい気がします)
「専従者だけど他の事業所でも乙欄で働いている」みたいな複合パターンは判断が分かれることがあるので、優先する符号を市区町村に確認してから記入したほうが無難です。
期限に間に合わないときは?
1月31日を過ぎても受け付けてくれる市区町村は多いです(明確に「いつまでなら大丈夫」とは言ってくれませんが)。ただ、税額通知の発送スケジュールに間に合わなくなると、本来普通徴収にしたかった人が特別徴収扱いで税額通知されてしまうリスクがあるので、できれば期限通りに送ったほうがいいと思います。
特別徴収扱いで税額通知が届いてしまった場合は、後から「特別徴収切替届出書」で逆方向の切替(特別→普通)をすることになります。詳しくは下記の記事をご覧ください。

退職者の住民税の処理については、給与所得者異動届出書も合わせて確認しておくと安心です。

住民税の特別徴収・普通徴収の年間スケジュールや基本用語は、入門記事にまとめています。

普通徴収切替理由書(兼仕切書)のQ&A
- 年の途中で入社した人はどうするの?
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年の途中入社の人も、1月1日時点で在籍していれば翌年1月31日までに給与支払報告書を提出します。普通徴収にしたい事情があれば符号を付けて切替理由書を出してください。前職の給与は前職側が報告するので、自社で支払った分だけ報告すれば大丈夫です。
- 乙欄の人はどの符号を選べばいいの?
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乙欄該当者(他の事業所で特別徴収されている人)は符号Bです。本業側で住民税が天引きされている前提なので、副業側では普通徴収扱いになります。
- 事業専従者は普通徴収でいいの?
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個人事業主の事業専従者(青色・白色とも)は符号Eで普通徴収にできます。法人の役員・従業員はこれに該当しないので注意してください。
- eLTAXで提出する場合も切替理由書は必要?
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eLTAXでも普通徴収希望者の入力欄と符号入力欄があるので、紙の切替理由書と同じ情報を電子で送ることになります。書類自体を別途添付する必要はないですが、入力は必須ですね。
- 市区町村独自の様式があるって聞いたけど…
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項目の並びや書式は市区町村ごとに微妙に違うことがありますが、符号A〜Fは全国統一です。提出先の市区町村のホームページから最新様式をダウンロードして使うのが安全です。
- 普通徴収者が0人のときは切替理由書を出さなくていい?
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普通徴収にする人が1人もいなければ切替理由書は不要です。給与支払報告書(総括表+個人別明細書)だけで大丈夫です。



