2026年度、労働保険の年度更新のやり方~「労働保険概算・確定保険料/一般拠出金申告書」の記入例、書き方など~

2026年度(令和8年度)は、雇用保険の料率がさらに引き下げられます。料率の確認に注意です。

労働保険の年度更新について、わかりにくい点も多いので、まとめてみました。

はじめて書く人も、労働保険と雇用保険に加入すべき社員が誰なのかということを把握できれば、そんなに難しいことはないと思います。

一番のポイントは「厚生労働省のエクセルデータをダウンロードして集計し、転記準備を行う」です。後で細かく解説しますね。

労働保険に限りませんが、年に一度の今回みたいな場合、去年の集計表や申告書があるとそれを見ながらやるのが一番早いと思います。

人数や賃金などは変わったりすると思いますが、区分けなど大きな変化はないと思いますので、去年のものを引っ張り出してみましょう。

会社を設立時の概算保険料の申告書を書いたことがある人は、近いのでそれをイメージしてもらえればいいかと思います。

タップできるもくじ

令和8年度(2026年度)の変更点、注意点

2026年度(令和8年度)は、雇用保険の料率が前年度からさらに引き下げられました。令和7年度に続いて2年連続の引き下げです。

もう一つ大きいのが、電子申請が義務化されている特定法人(資本金1億円超の法人など)には、令和8年度から紙の申告書が送られてこなくなった点です。詳しくは下のほうで説明しますね。

令和8年度(2026年)の更新期限はいつまで?

年度更新期間は令和8年6月1日~7月10日 です。

今年は6月1日も7月10日も平日なので、土日による期限の延長がありません。例年よりちょっとタイトな気がするので、早めに準備したほうがいいですね。

令和8年度の雇用保険料率はいくら?

令和8年度(2026年度)の雇用保険料率は、全区分で1/1,000(0.1%)引き下げられました。一般の事業だと13.5/1,000(1.35%)です。

事業の種類令和7年度
(合計)
令和8年度
(合計)
労働者
負担
事業主
負担
一般の事業14.5/1,00013.5/1,0005/1,0008.5/1,000
農林水産・
清酒製造
16.5/1,00015.5/1,0006/1,0009.5/1,000
建設の事業17.5/1,00016.5/1,0006/1,00010.5/1,000

注意したいのが、確定保険料と概算保険料で使う料率が違うことです。今回精算する確定保険料(令和7年度の賃金分)は旧料率(一般1.45%)、これから納める概算保険料(令和8年度の見込分)は新料率(一般1.35%)で計算します。

確定保険料は令和7年度料率1.45%、概算保険料は令和8年度料率1.35%で計算する違いの図

なお、厚生労働省のエクセルデータ(計算支援ツール)を使えば、この料率は自動で入るようになっているので、自分で間違える心配は少ないと思います。

労災保険率・一般拠出金率は据え置き

雇用保険料率は変わりましたが、労災保険率は令和8年度も据え置きです。直近の改定が令和6年4月だったので、それがそのまま続いています。

同じく、石綿(アスベスト)の一般拠出金率も1,000分の0.02で据え置きです。こちらはかなり長い間変わっていないですね。料率がいろいろ変わると不安になりますが、変わったのは雇用保険分だけと考えてもらえれば大丈夫です。

労働保険の年度更新とは

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で計算します。

労働保険の保険料は、一部役員や社員などの労働者に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率をかけて計算します。

労働保険では、年度ごとに概算で保険料を納付して、次の年度末に賃金総額が確定したあとに精算するという流れです。

つまり、会社は前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算の保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。

これが「労働保険の年度更新」です。

なお、このページでは継続事業の場合で記入していきます。そのほかのパターンはまた改めて書いていきますね。

労働保険の年度更新の流れ

  • 1.下の集計表を作成
  • 2.集計表から申告書を転記して申告書を完成
  • 3.申告書を持って労働局や金融機関で納付(または電子申請)

というのが大きな流れです。

労働保険の年度更新の流れ(集計表の作成→申告書へ転記→納付または電子申請)

「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」の記入例、書き方

会社に送られてきた集計表に記入する前に、この厚生労働省のエクセルデータをダウンロードすることを強く勧めます。

極論、このエクセルデータの作成が、労働保険の年度更新の全てです。

この厚生労働省のリンク、

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouhoken.html

を開けると下のような画面に飛びます。

確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表へのリンク図

この画面の下の「(年度更新申告書計算支援ツール)」のエクセルデータをダウンロードしてください。

ダウンロードしたエクセルデータを開くと 一番左に説明書が ありますので、それをざっと読んで、その次の集計表の入力に移ります。

それぞれ、月別、賞与別に該当する人数と賃金を入力します。(通勤費込です)

集計表の記入例

その集計表の記入例(入力)がこれです↓↓

確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表の記入例

上の例の様に、人数と賃金を区分ごとに入れてもらえれば、問題ないと思います。

集計表ってどう書くの?(書き方・注意点・ポイント)

それぞれの区分の説明をしますね。

  労働保険分(常用・役員労働者扱い・臨時)と雇用保険分(資格者・兼務役員)の対象者区分マップ

<<労働保険分(左半分)>>

確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表の記入例の左半分

(1) 常用労働者 –「常用労働者のほか、パート、アルバイトで雇用保険の資格のある人を含めます。」

つまり、下の2,3以外の人です。

(2) 役員で労働者扱いの人–「実質的な役員報酬分を除きます。」

役員報酬部分を除きます。代表取締役社長など兼務でない役員は含みません。

(3) 臨時労働者–「(1)(2)以外の全ての労働者(パート、アルバイトで雇用保険の資格のない人)を記入してください。」

採用条件のパート、アルバイトの区分ではなく、「雇用保険に加入していない人」が対象です。

<<雇用保険分(右半分)–雇用保険の被保険者>>

確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表の記入例の右半分

(5)常用労働者、パート、アルバイトで雇用保険の資格のある人(日雇労働被保険者に支払った賃金を含む)

多くの場合、(1)と同じ数値となるはずです。

(6)役員で雇用保険の資格のある人(実質的な役員報酬分を除きます)

いわゆる兼務役員が該当します。

区分がわかりにくいときは?

初めの部分でも書きましたが、もし去年のこの表が残っているなら、去年の3月の部分を見てみてください。

その数字と今回の4月の数字はかなり近くなるはずです。(3月、4月で大きく入退社がないと想定して)

ここが大きく異なるようなら、集計方法が違っている可能性があるので、去年の前回の3月と見比べてみましょう。

労働保険についてはこの1冊がオススメです↓↓

<<労働保険の数少ない専門書の一つです。労基の担当者もこの本持ってましたよ!!>>

「労働保険概算・確定保険料/一般拠出金申告書」の記入例、書き方、提出方法

上の集計表のデータを入力すると横のシートの申告書にデータが転記(リンク)されています。

これに、下の黄色の①~⑧の保険料率など8つのデータを入力するだけで申告書の完成です。

(この黄色の①~⑧は会社に送られてきた用紙に印刷されているはずです)

これを会社に送られてきた複写の申告書に記入すれば完成です。

入力されたデータはこんな感じです。↓↓

「労働保険概算・確定保険料/一般拠出金申告書」の記入例

それぞれ、説明すると以下のようになります。

・「(8)保険料・一般拠出金算定基礎額」は、前年4月1日から当年3月31日までのすべての労働者の賃金総額を記入。

・賃金総額に1,000円未満の端数がある場合は、その端数は切り捨て。

・ 「(10)確定保険料・一般拠出金額」は、(8)の「保険料・一般拠出金算定基礎額」に(9)の「保険料・一般拠出金率」をかけた額を記入。確定保険料は令和7年度の料率(一般1.45%)で計算します。

・「(14)概算・増加概算保険料額」は、(12)の「保険料算定基礎額の見込額」に(13)の「保険料率」をかけた額を記入。概算保険料は令和8年度の新料率(一般1.35%)で計算します。

・「(12)保険料算定基礎額の見込額」は、一年間に支払う賃金総額の見込額を記入。ただし、見込額が前年度の賃金総額の1/2~2倍以下は、前年度の賃金総額をそのまま申告年度の賃金総額の見込額として使用

・「(25)事業又は作業の種類」は、「労災保険率表」の「事業の種類」又は「第二種特別加入保険料率表」の「事業又は作業の種類」を記入。

特定法人は紙の申告書が届かなくなりました

令和8年度からの変更で、特に総務担当者が気をつけたいのがこの点です。

電子申請が義務化されている特定法人(資本金1億円超の法人、相互会社、投資法人、特定目的会社)には、令和8年度から従来の紙の申告書が送付されなくなりました。代わりに、労働保険番号・アクセスコードなどを記載した「電子申請情報通知書」が定形サイズの茶封筒で届きます。

これまでの緑色の封筒と見た目が変わるので、「いつもの申告書が来ない」と慌てたり、うっかり捨ててしまったりしないよう、社内で周知しておいたほうがいいと思います。封筒が届く5月下旬ごろは特に注意ですね。

「労働保険概算・確定保険料/一般拠出金申告書」の一般拠出金の申告・納付について

上の流れで作成した申告書に保険料を添えて、銀行、労働局又は労働基準監督署に提出します。

(黒色と赤色で印刷してある申告書は労働局又は労働基準監督署へ、ふじ色と赤色で印刷してある申告書は労働局へ提出)

申告書・納付書は上下に繋がってますので、切り離さずそのまま銀行などに提出しなくてはいけません。

納付方法は選べる?(ペイジー納付について)

書面で申告する場合の納付は、納付書(領収済通知書)を使って、金融機関の窓口・口座振替・ペイジー(Pay-easy)などから選べます。ペイジー納付自体は引き続き利用できます。

ただし、令和8年度から「電子納付用入力シート」の配布は中止されました。ペイジーで納付する場合は、納付書の裏面か、申告書と一緒に送られてくる「申告納付の手続き(緑の冊子)」を見て手続きしてください。

なお、e-Govの電子申請画面では「納付方法」を選ぶ場面があります。納付書での納付を希望する場合や、口座振替を利用している場合は、納付方法の選択時に「電子納付以外」を選んでください。

納付書(領収済通知書)の記入を間違えたら?

納付書(領収済通知書)の金額は訂正できません。

記入誤りをした場合は、労働局又は労働基準監督署で新しい納付書を受け取り、書き直します。

労働保険料・一般拠出金の納期限はいつ?

全期
(第1期)
第2期第3期
通常の納期限令和8年
7月10日
令和8年
11月2日
令和9年
2月1日
口座振替を利用している
事業主
令和8年
9月上旬
令和8年
11月中旬
令和9年
2月中旬

上の表のように口座振替をすると、申告よりも若干の猶予があるので、資金繰りは若干楽になります。(口座振替の正確な引落し日は労働局からの通知で確認してくださいね)

(労働保険事務組合に委託している事業主の方は労働保険事務組合の指定する期限となります)

労働保険の年度更新の電子申請方法

労働保険の年度更新の申請方法は、金融機関や労働局への持参や郵送の他、電子申請が可能です。

GビズIDプライム/メンバーを使えば、電子証明書もICカードリーダライタもいらないので、一番手軽だと思います。電子申請の流れは次の通りです。

STEP
電子証明書又はGビズIDで、e-Gov 電子申請アプリケーションにログイン

STEP
「手続検索」からキーワード「年度更新申告」で検索
e-Govの手続検索で「年度更新申告」を検索する画面
STEP
「申告書入力」へ

STEP
申告書用紙にある「労働保険番号・アクセスコード」を入力
労働保険番号とアクセスコードを入力する画面
STEP
申告内容を入力、送信

STEP
その後、口座振替以外は、保険料納付のお知らせ

STEP
公文書通知が来る(電子公文書(申請書控)の取得が可能)

私の場合だと、6/10に申請して6/12には下の公文書がダウンロード可能でした。

電子申請後にダウンロードできる公文書(申請書控)の画面

従来は紙で銀行に申請していたのですが、口座振替に切り替えたタイミングで電子申請へ変更しました。

労働保険番号・アクセスコードを入力するのが手間ではありますが、私は複写式の記入が苦手なので、こちらの方がやり直しができるので楽ですね。

労働保険の年度更新のよくあるQ&A

令和8年度の雇用保険料率はいくら?

令和8年度(2026年度)の一般の事業は13.5/1,000(1.35%)で、労働者負担5/1,000・事業主負担8.5/1,000です。農林水産・清酒製造は15.5/1,000、建設は16.5/1,000です。なお、今回精算する確定保険料(令和7年度分)は旧料率1.45%で計算するので注意してください。

労働保険の年度更新、遅れたらどうなる?

仮に、手続きが遅れると、労働局が保険料の額を決定し、さらに追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を上乗せしてきますので、遅れるわけにはいきません。

労働保険の年度更新、労働保険対象者はどこまで含まれるの?

労働保険の対象は「労働者」です。これは、職業の種類を問わず、賃金を支払われる者をいいます。

ただし、雇用保険の被保険者とならない学生アルバイト等に支払った賃金がある場合は、労災保険の保険料と雇用保険の保険料を区別して、それぞれ計算した合計が労働保険料となります。

また、純粋な役員報酬は対象となりませんが、兼務役員は労働者として働いている部分の賃金が対象になります。役員報酬部分のみを除いた金額を記入します。

労働保険の年度更新の賃金とは?

「賃金」とは、給与、手当、賞与、交通費など労働の対価として、労働者に支払うものすべてが含まれます。

育休・産休中の従業員はどう集計するの?

育児休業中・産休中の従業員は人数にはカウントしますが、賃金は実際に支給した額(0円でもOK)だけを計上します。出産手当金や育児休業給付金などの給付金は集計の対象外です。

ちなみに、令和7年に新設された出生後休業支援給付金などの新しい給付は、雇用保険料ではなく「子ども・子育て支援納付金」が財源なので、年度更新の保険料計算には影響しません。誤って料率を上乗せしないよう注意してください。

集計する給与や賞与は支払日、締め日どっち?

支払日ではなく締め日で集計します。例えば3/20締め4/10払いの給与は3月分として集計します。

確定した報酬がベースなので締め日で集計です。

保険料が還付になったんだけど大丈夫??

納付すべき金額は、昨年度の確定分と今年の見込み分の約2年分、納付している金額は昨年計算の見込1年分となります。つまり、差し引き約1年分は納付しないといけない計算になります。こう考えると倒産や大規模なリストラでもない限り、通常還付という形にはなりません。還付となった場合は、昨年分だけ還付する形で申請する場合を除き、計算ミスが疑われますので、もう一度チェックしましょう

その他注意点など

・上の例では、 継続事業の一般的な場合について書いてみましたが、継続事業以外の場合であったり、海外へ従業員を派遣している場合など、いろいろなケースがあり、全ての記入例を載せきれないのでご容赦くださいね。

・同じ7月に提出する社会保険の「算定基礎届」(7月1日~10日)とも提出期限が重なります。業務が集中しやすい時期なので、早めにスケジュールを組んでおくと安心です。

口座振替を利用している場合について

口座振替の場合、銀行で申告書の受付はできません。労働局・労働基準監督署へ郵送か持参します。

申告書と納付書を切り離してもいいと思うのですが、労働基準監督署の担当者に口座振替である説明が楽なので、くっついたままいつも提出しています。

その他のこの時期の更新・関連コンテンツ

<<算定基礎についてはこちら↓↓>>

「被保険者報酬月額算定基礎届」の記入例、書き方、提出方法、注意点

<<賞与支払届についてはこちら↓↓>>

「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」の書き方、記入例、提出方法

同じ時期に記入する「障害者雇用状況報告書」ですが、障害者雇用自体イマイチ分かっていないという声が多かったので、「事務担当者のための障害者雇用入門」を作成しました。よかったらご覧ください。

労働保険の年度更新を簡単にする方法

労働保険の年度更新って大変ですよね。書く所が多い上に、年に一度の集計で集計対象がどこまでかとか思い出すのも大変、、、ただでさえ他にも書類作成したり手続き多いのに、、、私も散々苦労してきました。

しかし、給与計算ソフトのを使うと、ソフトが自動で計算してくれるので、画面上の数値を転記または電子申請で、ラクに今回の申告書を作成することが出来ます!!

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