コピー用紙を買った、切手を貼って郵送した、電気代を払った、新聞を購読した。一つひとつは少額でも、こうした日常の経費は数が多く、毎日のように発生します。金額が小さいからこそ「とりあえず消耗品費でいいか」と雑になりがちですが、科目がバラバラだと、後で何にいくら使ったかが見えなくなります。
こうした日々の経費は、まとめて「販管費(販売費及び一般管理費)」と呼ばれます。消耗品費・事務用品費・通信費など、似た科目をどう使い分けるかには、ちょっとしたコツと注意点があります。
今回は、こうした日常経費の科目の分け方と処理のポイントを、経理担当者向けに整理しました。よかったら参考にしてください。
販管費(日常経費)とは?
まずは販管費という言葉を整理しておきましょう。

販管費は「販売費及び一般管理費」の略で、商品の仕入れ(売上原価)以外で、会社を運営するためにかかる経費の総称です。今回扱う消耗品費・事務用品費・通信費・水道光熱費・新聞図書費などは、すべてこの販管費に含まれます。
これらは一つひとつが少額で、件数が多いのが特徴です。だからこそ、「どの科目に入れるか」をあらかじめ決めて、毎回同じように処理することが大切になります。科目を統一しておけば、経費の内訳が見やすくなり、ムダの見直しもしやすくなります。それでは主な科目を見ていきましょう。
消耗品費・事務用品費の処理
まずは、いちばん登場回数の多い消耗品費と事務用品費です。
消耗品費の対象
消耗品費は、短い期間で使い切る、少額の物品を処理する科目です。具体的には、取得価額が10万円未満、または使用できる期間が1年未満のものが対象です。コピー用紙、文房具、インク、電池、掃除用品、少額の備品などが該当します。
事務用品費との使い分け
会社によっては、消耗品費とは別に「事務用品費」という科目を設けています。文房具・伝票・コピー用紙など、事務作業に使うものを事務用品費に分け、それ以外の消耗品を消耗品費にする、といった使い分けです。どちらに入れても間違いではありませんが、一度決めたルールは継続して使うことが大切です。科目を分けすぎると管理が大変になるので、自社の規模に合わせて、無理のない範囲で設けましょう。
10万円の判定と固定資産との境界
消耗品費でいちばん迷うのが、固定資産との境界です。取得価額が10万円以上で、1年を超えて使うものは、原則として消耗品費にはできず、固定資産として計上し減価償却します。10万円未満なら、消耗品費として買った年に全額費用にできます。なお、この10万円の判定は、本体価格に送料などの付随費用を含めて行い、会社の消費税の経理方式(税込か税抜か)によっても変わる点に注意しましょう。

期末の未使用分(貯蔵品)
もう一つ、決算で気をつけたいのが、期末に残った未使用分です。大量に買った文房具や、未使用の切手・収入印紙などが期末に残っている場合、本来はその分を「貯蔵品」という資産に振り替え、使った分だけを費用にするのが原則です。とはいえ、毎期おおむね一定量を消費しているような少額のものは、買った時に費用処理して差し支えないとされています。金額が大きい未使用分があるときは、貯蔵品への振替を検討しましょう。
通信費の処理
次は通信費です。切手の扱いに少しクセがあります。
通信費の対象
通信費は、連絡や郵送にかかる費用を処理する科目です。電話料金、インターネットの通信料、郵便切手・はがき代、宅配便・メール便の送料などが該当します。事業の連絡手段にかかるお金、とまとめて覚えておくとよいでしょう。
切手・はがきは購入時か使用時か
切手やはがきは、買った時点ではまだ使っていないため、厳密には「貯蔵品」にあたります。原則は、使った分だけを通信費にし、期末の未使用分は貯蔵品に振り替えます。ただし、毎期同じように使い、購入時に費用処理する方法を続けているなら、買った時に通信費としてよいとされています。実務では購入時に費用にしている会社が多いですが、期末に大量の未使用切手が残るときは、貯蔵品への振替を検討しましょう。

電話加入権は資産
固定電話を引くときの「電話加入権」は、通信費ではなく資産として処理します。これは時間がたっても価値が減らないと考えられているため、減価償却もしません。最近はあまり登場しませんが、もし取得した場合は費用にできないので、覚えておくとよいでしょう。
水道光熱費・新聞図書費など
そのほか、日常的によく使う科目もまとめておきます。
| 科目 | 対象の例 |
|---|---|
| 水道光熱費 | 電気代、ガス代、水道代 |
| 新聞図書費 | 新聞、業務に必要な書籍、有料の情報サービス・サブスク |
| 旅費交通費 | 電車・バス代、タクシー代、出張の交通費 |
新聞図書費は、業務に必要な情報を得るための費用です。最近は、紙の新聞や書籍だけでなく、有料のオンラインサービスやサブスクリプションも対象になります。なお、自宅を事務所として兼用している場合は、電気代や通信費を事業で使った割合だけ経費にする(家事按分)必要があります。床面積や使用時間など、合理的な基準で分けましょう。
科目を分けるコツと注意点
最後に、日常経費を処理するうえでのコツをまとめます。
いちばん大切なのは、一度決めた科目を継続して使うことです。去年は消耗品費、今年は事務用品費、と年ごとに変えてしまうと、前年との比較ができなくなります。少額の経費でも、社内で「これはこの科目」とルールを決めておき、迷わず統一して処理しましょう。あわせて、消費税の課税・非課税の区分も科目ごとに確認しておくと、申告のときに慌てずにすみます。
勘定科目そのものの基本については、勘定科目とは?仕訳や貸借対照表・損益計算書での基本ルールを初心者向けに解説もあわせてどうぞ。

日常経費のよくある質問(FAQ)
- 消耗品費と事務用品費、どちらに入れればいい?
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どちらに入れても間違いではありません。事務用品費という科目を設けている会社なら、文房具やコピー用紙などの事務用品はそちらへ、それ以外の消耗品は消耗品費へ、と分けます。事務用品費を設けていなければ、すべて消耗品費でまとめてかまいません。大事なのは、社内でルールを決めて、毎回同じように処理することです。途中で分け方を変えると、前年との比較がしにくくなります。
- ちょうど10万円のものは消耗品費にできる?
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消耗品費として全額費用にできるのは「10万円未満」なので、ちょうど10万円のものは対象外です。10万円以上になると、原則は固定資産として減価償却します。ただし、10万円以上20万円未満なら一括償却資産(3年均等償却)、中小企業なら30万円未満まで全額費用にできる特例もあります。なお、10万円の判定は付随費用を含めた金額で、消費税の経理方式によっても変わる点に注意しましょう。
- 切手を大量に買ったら全額その年の経費にできる?
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切手は本来、使った分だけを通信費にし、期末に残った未使用分は「貯蔵品」という資産に振り替えるのが原則です。毎期継続して購入時に費用処理しているなら、買った時点で通信費にしてよいとされていますが、期末に大量の未使用切手が残っている場合は、その分を貯蔵品に振り替える必要があります。決算前にまとめ買いして全額経費にする、という処理は認められにくいので注意しましょう。
- サブスクの利用料はどの科目で処理する?
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内容によって科目が変わります。業務ソフトやクラウドサービスの月額利用料は「通信費」や「支払手数料」、新聞・雑誌・情報サービスのサブスクは「新聞図書費」、というように、サービスの中身に合わせて分けます。明確な決まりがあるわけではないので、自社で「このサービスはこの科目」とルールを決め、継続して使うのがポイントです。金額が大きいものは、内容を確認して科目を選びましょう。
- 自宅兼事務所の電気代はどこまで経費にできる?
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事業で使っている割合だけを経費にできます(家事按分)。電気代なら、事務所として使っている部屋の床面積の比率や、業務に使っている時間などをもとに、合理的に按分します。たとえば自宅の3割を事業に使っているなら、電気代の3割を水道光熱費として計上する、という考え方です。按分の根拠は、後から説明できるようにメモや図を残しておくと安心です。プライベートと事業の線引きは、明確にしておきましょう。
消耗品費・事務用品費・通信費・水道光熱費・新聞図書費といった日常経費は、一つひとつは少額でも、科目を統一して処理することが何より大切です。消耗品費と固定資産の10万円の境界、切手・印紙の貯蔵品への振替、自宅兼事務所の家事按分あたりが、つまずきやすいポイントになります。社内で科目のルールを決めて、迷わず継続して処理する。これだけで、帳簿はぐっと見やすくなります。まずは自社の経費を、科目ごとに整理するところから始めてもらえればと思います。




