「子どもが熱を出したので、今日は休ませてください」。小さなお子さんのいる社員からのこの連絡は、本当に突然やってきますよね。こんなときに使えるのが「子の看護等休暇」、そして授乳期の社員が使える「育児時間」です。
どちらも法律で定められた休暇・休憩なので、会社は基本的に断れません。総務や人事としては、対象や日数、取り方のルールを正しく知っておかないと、いざというときに正しく対応できません。
今回は、子の看護等休暇と育児時間について、それぞれの対象と取得ルール、令和7年4月の改正点、会社の対応まで、担当者向けに整理しました。よかったら参考にしてください。
子の看護等休暇・育児時間とは?
まずは2つの制度の全体像をつかんでおきましょう。名前は似ていますが、対象になる子の年齢も目的もちがいます。
子の看護等休暇って何?
子の看護等休暇は、子どもの病気・けがの世話や、予防接種・健康診断などのために取れる休暇です。育児・介護休業法で定められた休暇で、対象になる子を育てる社員が請求できます。
もともとは「子の看護休暇」という名前でしたが、令和7年(2025年)4月の改正で「子の看護等休暇」に変わり、使える場面も広がりました。改正点はあとでくわしく見ていきます。
育児時間って何?
育児時間は、生後1年に達しない子を育てる女性が、通常の休憩とは別に、授乳などのために取れる時間です。こちらは労働基準法で定められていて、1日2回、それぞれ少なくとも30分を請求できます。
もともとは授乳のための制度ですが、今は搾乳や保育園への送りなど、子育てに関わる時間として柔軟に使われています。
2つはどう違う?
子の看護等休暇と育児時間のちがいを、表にまとめておきます。

| 項目 | 子の看護等休暇 | 育児時間 |
|---|---|---|
| 根拠の法律 | 育児・介護休業法 | 労働基準法 |
| 対象の子 | 小学校3年生修了までの子 | 生後1年未満の子 |
| 対象の社員 | 男女どちらも | 女性のみ |
| 取れる単位 | 1日または時間単位 | 1日2回・各30分以上 |
子の看護等休暇の対象と取得ルール
まずは子の看護等休暇から、対象や日数、令和7年4月の改正点をくわしく見ていきます。

対象になる社員と子(令和7年4月改正)
令和7年4月の改正で、対象になる子の範囲が広がりました。これまでの「小学校就学前」から、「小学校3年生修了まで」に拡大されています。小学校に上がっても、低学年のうちはまだ手がかかるので、現場の実態に合わせた改正ですね。
対象になる社員は、その子を育てている人で、男女を問いません。なお改正で、これまで労使協定で除外できた「雇用期間が6か月未満の社員」を除外できなくなり、入社まもない社員も使えるようになりました。ただし、週の所定労働日数が2日以下の社員は、労使協定があれば対象外にできます。
取れる日数
取れる日数は、1年度につき次のとおりです。年次有給休暇とは別に与えられるもので、有給休暇を使い切っていても取れます。
| 対象の子の人数 | 取れる日数(1年度あたり) |
|---|---|
| 1人 | 5日まで |
| 2人以上 | 10日まで |
1年度をいつからいつまでとするかは、会社が決められます。とくに定めがなければ、毎年4月1日から翌年3月31日までとして扱います。
取れる事由(改正で拡大)
これまでは、病気・けがの世話、予防接種、健康診断が対象でした。令和7年4月の改正で、ここに次の事由が加わりました。
- 感染症にともなう学級閉鎖・学年閉鎖など(インフルエンザの学級閉鎖で登校できないとき等)
- 入園(入学)式、卒園式などの行事への参加
学級閉鎖で急に子どもを家で見ることになった、というケースが対象に入ったのは、現場としても助かるところだと思います。名前が「看護」だけでなく「看護等」になったのは、こうした事由の広がりを表しています。
時間単位での取得と給与の扱い
子の看護等休暇は、1日単位だけでなく、時間単位でも取れます。「午前中だけ通院に付き添って、午後は出社する」といった使い方ができるので、社員にとって使いやすい制度です。
給与を有給にするか無給にするかは、法律では決まっていません。会社が就業規則で定めることになります。無給とする会社が多いですが、有給にすると福利厚生としての魅力が高まります。どちらにするにしても、就業規則にはっきり書いておくことが大切ですね。
育児時間の対象と取得ルール
続いて育児時間です。こちらは労働基準法の制度で、授乳期の社員が対象になります。

対象になる社員
育児時間の対象は、生後1年に達しない子を育てる女性社員です。正社員かパートかは問わず、1日の労働時間が一定以上ある社員が請求できます。なお、1日の労働時間が4時間以内など短い場合は、1日1回・30分でよいとされています。
育児時間の取り方
育児時間は、1日2回、それぞれ少なくとも30分を請求できます。取る時間帯は社員が決められるので、始業直後や終業前にまとめて取り、実質的に遅めの出社や早めの退社にすることも可能です。2回分をまとめて1回60分として取る運用も、本人が希望すれば認められます。
ここで気をつけたいのが、育児時間は、労働基準法で定められた休憩時間とは別物だということです。お昼の休憩とは切り離して、別に30分×2回を与える必要があります。休憩時間に含めてしまわないよう注意しましょう。
給与の扱い
育児時間中の給与を有給にするか無給にするかも、法律では決まっておらず、会社の定めによります。無給とする場合は、その分を働いていない時間として控除できます。こちらも就業規則で明確にしておきましょう。
会社の対応・就業規則での定め方
最後に、会社としてどう対応すればよいか、就業規則の整え方とあわせて見ておきます。
会社は取得を拒否できる?
子の看護等休暇も育児時間も、法律で定められた権利です。対象になる社員から請求があれば、会社は原則として拒否できません。「忙しいから」「人手が足りないから」といった理由で断ることはできないので、注意が必要です。
これらの制度を使ったことを理由に、解雇や減給、不利な異動などの不利益な取り扱いをすることも禁止されています。安心して取れる雰囲気づくりも、会社の役割だと思います。
申請方法と社内ルールの整え方
申請は、当日の電話や口頭でも認める運用にしておくと、急な発熱などにも対応できます。証明書類(領収書や診断書など)の提出を求めることはできますが、過度な負担にならない範囲にとどめるのが望ましいです。
就業規則には、対象者・日数・取得単位・給与の有無・申請方法を定めておきます。令和7年4月の改正に対応して、対象の子の範囲や取得事由を最新の内容に更新できているか、この機会に確認しておくと安心です。育児・出産にまつわる手続き全体の流れや2025年の改正点は、育児、出産、子育て手続き〜会社事務担当者向け概要編〜2025年育児・介護休業法の改正点も合わせて解説〜でまとめて解説しています。

子の看護等休暇・育児時間のよくある質問(FAQ)
- 子の看護等休暇は有給休暇とは別に取れる?
-
はい、年次有給休暇とはまったく別の休暇です。有給休暇を使い切っていても、子の看護等休暇は別枠で取れます。逆に、子どもの看護のために有給休暇を使ってもかまいません。社員が使いやすいほうを選べる形なので、両方あることを案内しておくとよいでしょう。
- パートやアルバイトも子の看護等休暇を取れる?
-
取れます。雇用形態にかかわらず、対象になる子を育てている社員であれば対象です。令和7年4月の改正で、雇用期間が6か月未満の社員も対象になりました。ただし、週の所定労働日数が2日以下の社員は、労使協定があれば対象外にできます。自社の労使協定の内容を確認しておきましょう。
- 育児時間は男性社員も取れる?
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労働基準法の育児時間は、対象が女性社員に限られています。男性社員は育児時間そのものは取れませんが、子の看護等休暇は男女ともに使えます。また、育児・介護休業法には男性も使える育児休業や時短勤務などの制度があるので、男性社員にはそちらを案内する形になります。
- 子の看護等休暇は半日や時間単位でも取れる?
-
取れます。1日単位だけでなく、時間単位での取得が認められています。通院の付き添いで午前中だけ、というような使い方ができます。時間単位で取った場合は、合計した時間を日数に換算して、年5日(または10日)の枠から差し引いて管理します。
- 給与は払わないといけない?
-
子の看護等休暇も育児時間も、給与を有給にするか無給にするかは法律で決まっておらず、会社が就業規則で定めます。無給とすることも認められていますが、その場合は就業規則にその旨を明記しておく必要があります。有給にすると、子育て中の社員にとって働きやすい職場として、採用や定着の面でもプラスにはたらきます。
子の看護等休暇は子どもの急な体調不良や行事に、育児時間は授乳期の社員に使える、法律で定められた大切な制度です。とくに子の看護等休暇は令和7年4月に対象が広がったので、就業規則が最新の内容になっているか確認しておきましょう。社員が安心して子育てと仕事を両立できる環境づくりの土台として、ルールを整えてもらえればと思います。




