欠勤・遅刻・早退の給与の控除・減額金の法律上のルールと計算方法

従業員(特に辞める人)から「欠勤控除や不就労控除の金額が多すぎませんか?」と問い合わせが来ることが、わりとあります。

私も以前、クレームを受けたことが何度がありました。説明を求められても就業規則の式をなぞるしかなく、改めて根拠を整理しようと思った次第です。

ちなみに、不思議なのが、私自身も何度か転職していますが、会社ごとに計算方法が違うのです!!

気になって調べてみたので、法律上のルールと一般的な計算方法をまとめました。

なお、基本的な給与計算については「はじめての給与計算入門~基本と全体の流れ~」を、賞与計算については「賞与の計算方法、記入例(明細例)など」を合わせてご覧ください。

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法律上の考え方・ルールは?

色々調べた結果、

法律で欠勤・遅刻・早退の給与方法が決まっているわけではなく

働いてない分+一定の範囲内は、会社ごとに就業規則で定めて控除が可能

という内容でした。

  欠勤・遅刻控除を支える法律ルールの3層構造(ノーワーク・ノーペイ/労基法91条/就業規則)

ノーワーク・ノーペイってどういう原則?

よく聞く言葉ですが、どういう意味でしょうか?

これは労働基準法の条項などにより、「働いた分だけ支払い、働かない分は払わなくていい」という意味のようです。

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

労働契約法第6条より

余談ですが、以前、労働基準監督署の人に「1分の遅刻で減額しているの初めてみました」と笑いながら言われ、「問題ですか?」と聞くと「いいえ」と言われました。(この件は、現場の上司が怒って遅刻をつけただけで、私の趣味ではありません(笑))

同様に、一般的に給与を減額していない会社が多い電車の延着も、給与を減額しても違法ではありません。

制裁の減給はいくらまで認められる?

  労働基準法91条が定める減給制裁の上限(1回の額と総額の2軸)

これは、遅刻が多いとかの制裁での減給ですが、可能な範囲は法律で、

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

労働基準法第91条より

と決まっています。

就業規則で決めればどんなことも可能か?

まずは、上の6条や91条の範囲内にあることや、就業規則に定めてあることが最低条件となります。

そのため、次のような場合、問題ありとなります。

  • 就業規則に減給の定めがない
  • 減給総額が月収の10%超
  • 35分の遅刻を1時間遅刻として計算するなど、分単位の切り上げ処理は基本的に違法(ただし1か月の合計で30分未満切り捨て・30分以上切り上げの処理は行政通達で例外的に認められています)

控除額の計算方法

  欠勤控除(日数ベース)と不就労控除(時間ベース)の計算方法の違い

ノーワーク・ノーペイの原則に沿った減額の計算方法とはどういう形でしょうか?

一般的な例を紹介したいと思います。

欠勤控除による減額金の計算方法

賃金控除額=(基本給+諸手当)/月の所定労働日数×欠勤した日数

例えば、基本給25万円+諸手当2万円、月の所定労働日数20日の人が2日欠勤した場合は、

(250,000円+20,000円)÷ 20日 × 2日 = 27,000円 が控除額になります。

遅刻早退(不就労控除)による減額金の計算方法

賃金控除額=(基本給+諸手当)/月の所定労働時間×欠勤した時間

例えば、基本給25万円+諸手当2万円、月の所定労働時間160時間の人が遅刻1.5時間だった場合は、

(250,000円+20,000円)÷ 160時間 × 1.5時間 = 約2,531円 が控除額になります。

諸手当はどこまで控除対象になる?

この諸手当の設定範囲は企業の自由です。

ただ、一般的に”勤務状況に連動するかどうか”で決まるようで、職務手当は対象となるが、家族手当は対象とならない会社が多いようです。

対象になりやすい手当対象外になりやすい手当
役職手当・職務手当・資格手当・皆勤手当・精勤手当・住宅手当(勤務地連動の場合)家族手当・扶養手当・通勤手当・慶弔見舞金・住宅手当(生活補助型の場合)

勤務に紐づく手当は控除対象、生活保障的な性格の手当は対象外、と覚えておくと整理しやすい気がします。

もう少し基本的なところから確認したい場合は「はじめての給与計算入門~基本と全体の流れ~」も合わせてご覧ください。

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給与計算ソフトでの手当の設定

勘定奉行で欠勤控除の対象手当を設定する画面
勘定奉行の例

給与計算ソフトによって違いますが、どの手当を対象とするかしないかは上のように設定します。

クラウド型の給与ソフトではも同様に手当ごとの控除対象設定ができます。

Excelで年末調整や給与計算している人へ

社員数が少ないなどの理由で、給与計算ソフト買ってくれない、、、私も以前そういう会社にいました。

手計算はしんどいし、同じ計算を繰り返すのは無駄が多いですね。そんな時、私は社長に「は無料で30日間使えるから試してみていいですか? 」とテストで使い始めて社長を説得した経験があります。

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所定労働日数ってどう決めるの?

所定労働日数も法的に定めている言葉ではありません。

月ごとの日数を決める場合と、年間労働日数を12か月で割る場合が多いようです。

例えば、総労働日数「240日」÷12で、今年の「1か月平均所定労働日数」は「20日」のような感じですね。

月ごとに決めると欠勤1日単価が変動し、年間で割ると出勤日数と欠勤日数に差がある月があり月中すべて休んでも1日分支給ありなどになる、などのデメリットが双方にあります。

これから計算式を決めるならどうする?

厚生労働省の「モデル就業規則について」を参考にして決めるのが楽だと思います。

ゼロから条文を考えるよりも、モデル就業規則の文言を自社用に調整するほうが、法的にも安全な気がします。

その他減額金・控除について

傷病手当金の証明欄に何て書けばいい?

各種給与計算の証明をする際、必ず求められるのが欠勤控除の計算です。

上で説明したような「賃金控除額=(基本給+諸手当)/月の所定労働日数×欠勤した日数」を記入してもらえれば、問題ないと思います。

休職中も欠勤控除するの?

休職や出産・育児休業中は給与を支給しない会社が多く、基本的に欠勤控除の対象となりません。

欠勤控除の対象とならないというか、無給での処理が多いですね。(月の途中、つまり給与計算期間中の分は欠勤控除計算になりますが)

控除しすぎた・少なすぎた時はどうする?

欠勤日数の確定が遅れて、つい多めに控除してしまったり、逆に控除し忘れたりすることもありますよね。

翌月での差額調整が一般的ですが、給与の遡及訂正や差額支給の進め方は別記事でまとめているので、よかったら「給与計算を間違えた時の処理方法~訂正?翌月差額支給はアリ?~」もご覧ください。

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欠勤控除・不就労控除のよくある質問

半休(半日休暇)の日も欠勤扱いになるの?

有給休暇の半休として処理する場合は欠勤控除の対象外です。無給の半休制度として就業規則に定めている場合は、半日分(0.5日)を欠勤日数として控除する会社が多いですね。会社ごとの就業規則の定めによります。

月給制と日給月給制で計算方法は違うの?

日給月給制は欠勤分を控除する仕組みなので、本記事の計算式がそのまま当てはまります。完全月給制は欠勤しても給与が満額支給される契約なので、原則として欠勤控除はしません。多くの中小企業の正社員は実態として日給月給制ですね。

有給休暇と欠勤を同じ月に併用したらどう計算するの?

有給休暇分は給与満額が支払われ、欠勤分のみ控除します。例えば月20日所定労働日のうち、有給2日+欠勤1日なら、欠勤控除は1日分だけ計算する形になります。

遅刻時間の端数処理はどうすればいいの?

分単位での切り上げは原則違法です(賃金全額払いの原則違反)。1か月の合計で30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げる処理は行政通達で例外的に認められています。基本的には1分単位の実時間で計算するのが安全と思います。

欠勤控除で社会保険料も減らせるの?

社会保険料は標準報酬月額をもとに計算するので、月の途中で欠勤があっても、その月の社会保険料はそのまま控除します。減額するのは給与本体のみで、社会保険料は連動しないと覚えておくとよいですね。

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