「うちの会社は社会保険に入らないといけないの?」「このパートさんは加入させるべき?」
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入判断は、会社単位(適用事業所)と人単位(被保険者)の2段階で考えると迷いません。
今回は、この2段階の加入条件を整理しました。パートの適用拡大(51人以上の会社の週20時間ルール)と、今後の改正の方向もまとめています。
第1段階:会社が「適用事業所」かどうか

法人は1人でも強制加入
| 事業所 | 社会保険の適用 |
|---|---|
| 法人(株式会社・合同会社など) | 強制適用(従業員ゼロ・社長1人でも、報酬があれば) |
| 個人事業所(常時5人以上・適用業種) | 強制適用(士業も令和4年10月から対象) |
| 個人事業所(5人未満、または農林漁業・一部サービス業など) | 任意適用(従業員半数の同意+認可で加入可) |
よくある誤解が「小さい会社だから社会保険は任意」というものです。法人は規模に関係なく強制適用で、社長1人の会社でも役員報酬を払っていれば加入義務があります。
未加入のまま事業を続けていると、年金事務所からの加入勧奨→立入調査→最大2年さかのぼっての保険料徴収、という流れになります。さかのぼり徴収は本人負担分も会社が回収しきれないことが多く、ダメージが大きいです。
第2段階:誰が「被保険者」になるか
フルタイム・正社員は原則全員
適用事業所で常時使用される人は、国籍・性別・賃金額に関係なく被保険者です(厚生年金は70歳未満、健康保険は75歳未満)。試用期間中も初日から加入です。
報酬を受ける役員(代表取締役含む)も「使用される人」として加入します。ここも誤解が多いところですね。
パート・アルバイトは「4分の3基準」が原則

パートタイマーは、1週の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上なら被保険者になります。正社員が週40時間の会社なら、週30時間が目安です。
【適用拡大】51人以上の会社は週20時間から
被保険者数51人以上の会社(特定適用事業所・令和6年10月〜)では、4分の3基準を満たさない短時間労働者でも、次の全てに当てはまると加入対象です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月8.8万円以上(年収約106万円)
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない
この企業規模要件(51人以上)は、令和7年成立の年金制度改正法により今後段階的に引き下げられ、最終的には撤廃される予定です。賃金要件(8.8万円)も撤廃の方向が示されています。「うちは50人以下だから関係ない」が通用しなくなっていくので、パートの労働条件設計は早めに見直しを始めてください。
加入対象にならない人(適用除外)
- 日々雇い入れられる人(1か月以内)
- 2か月以内の期間を定めて使用される人(更新見込みがあれば当初から加入)
- 季節的業務(4か月以内)・臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される人
- 4分の3基準も短時間要件も満たさないパート
「2か月契約だから入れなくていい」は、契約更新が見込まれる場合には使えません。実態で判断される点に注意です。
加入判断のフローチャート

- 会社は法人? → YES:適用事業所。NO:個人事業で5人以上・適用業種か確認
- 本人はフルタイム(または4分の3以上)? → YES:加入
- 4分の3未満 → 会社は特定適用事業所(51人以上)? → NO:加入対象外
- YES → 週20時間以上・月8.8万円以上・2か月超見込み・学生でない? → 全てYESなら加入
加入が決まったら、入社日から5日以内に「被保険者資格取得届」を提出します。書き方は健康保険被保険者資格取得届の書き方、記入例で解説しています。

まとめ
- 法人は社長1人でも強制適用。個人事業は5人以上・適用業種で強制
- パートは週30時間(4分の3基準)が原則ライン、51人以上の会社は週20時間ライン
- 企業規模要件・賃金要件は今後段階的に撤廃方向。適用拡大は「いずれ全社に来る」前提で準備
- 未加入リスクは最大2年の遡及徴収。怪しいと思ったら早めに年金事務所へ相談
社会保険の加入条件Q&A
- 役員報酬ゼロの社長も加入する?
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報酬がゼロなら被保険者にはなれません(保険料の計算基礎がないため)。設立直後で報酬を出していない期間は国保・国民年金のままで、役員報酬を支給し始めた時点で資格取得します。
- 従業員数「51人」は誰を数える?
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パートを頭数で数えるのではなく、「現に社会保険の被保険者である人数」でカウントします(フルタイム+4分の3基準で加入しているパート)。法人番号単位(同一法人の全事業所合計)で判定します。
- 本人が「扶養内で働きたいから入りたくない」と言ったら?
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加入は要件を満たせば義務で、本人や会社の希望で選べません。働き方(労働時間・賃金)を要件未満に抑えるか、加入して手取りと将来の年金を増やすかの二択です。最近は手当(社会保険適用促進手当)や106万円の壁対策の助成金もあるので、加入方向で説明できる材料も増えています。
- ダブルワークで両方の会社の要件を満たしたら?
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両方で加入し、「二以上事業所勤務届」を本人が提出して主たる事業所を選択します。保険料は両社の報酬合算で決まり、報酬比で按分されます。
- 外国人の技能実習生や留学生アルバイトは?
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国籍は関係なく、要件を満たせば加入です。技能実習生もフルタイムなら当然加入します。留学生アルバイトは「学生」のため短時間要件(週20時間ルール)の対象外ですが、4分の3基準を満たせば加入になります。




