従業員と連絡が取れなくなったときの対応と退職処理

「あの社員、今日も来ていないし、電話にも出ない…」。総務や人事をしていると、従業員と急に連絡が取れなくなって、どう対応すればいいのか頭を抱える場面がありますよね。出社してこないからといって、すぐに「クビ」と簡単に処理できるわけではないので、悩ましいところです。

連絡が取れない従業員への対応は、手順を踏まずに進めると、後から「不当解雇だ」と争われるリスクがあります。一方で、いつまでも在籍扱いにしておくと、社会保険料や管理の面で会社の負担も続いてしまいます。

この記事では、従業員と連絡が取れなくなったときの対応の流れと、退職処理の進め方を、総務・人事の担当者向けにやさしく整理してみました。いざというときに落ち着いて動けるよう、手順を押さえておきましょう。

タップできるもくじ

まずやるべきこと(安否確認と連絡)

連絡が取れなくなったとき、最初にやるべきは「退職処理」ではなく「安否確認」です。病気やケガ、事故、事件に巻き込まれている可能性もあるため、まずは本人の無事を確かめることが先決です。

本人へ複数の手段で連絡する

電話だけでなく、メールやメッセージなど複数の手段で連絡を試みます。連絡した日時や方法は、後の手続きの証拠になるので記録に残しておきましょう。いきなり厳しい内容ではなく、まずは「体調は大丈夫ですか」と心配する姿勢で連絡するのが基本です。

緊急連絡先・身元保証人に連絡する

本人と連絡が取れない場合は、入社時に届け出てもらった緊急連絡先や、家族、身元保証人に連絡します。安否がわかることも多く、事情を把握する手がかりになります。プライバシーに配慮しつつ、事実確認に必要な範囲で連絡を取りましょう。

連絡が取れない場合の対応の流れ

従業員と連絡が取れなくなったときの対応4ステップの図

安否確認を試みても連絡が取れない場合は、次のような流れで進めていきます。記録を残しながら、段階を踏むことが大切です。

STEP
本人・関係先へ連絡を試みる

本人へ電話・メールなどで連絡し、つながらなければ緊急連絡先や家族に連絡します。連絡した日時・方法・結果をすべて記録しておきます。

STEP
書面(内容証明)で出社を促す

連絡がつかない場合は、自宅へ書面を送り、出社や連絡を求めます。後の証拠になるよう、配達記録の残る内容証明郵便などを使うのが確実です。

STEP
就業規則の規定を確認する

無断欠勤が続いた場合の扱い(自然退職や懲戒解雇など)が就業規則にどう定められているかを確認します。規定にもとづいて手続きを進めることが大切です。

STEP
規定にもとづき退職処理をする

就業規則の定めにしたがって、自然退職や解雇などの処理を行います。退職日や理由を記録し、必要な書類や社会保険の手続きを進めます。

無断欠勤による退職処理の方法

連絡が取れないまま無断欠勤が続いた場合の退職処理には、いくつかの方法があります。どれを使えるかは、就業規則の定めによって変わります。

自然退職(みなし退職)

就業規則に「無断欠勤が一定期間(例:14日間)続いた場合は退職とみなす」といった規定があれば、その期間の経過をもって自然退職として処理できます。解雇ではないため、トラブルになりにくいのが利点です。これに備えて、あらかじめ就業規則に自然退職の規定を入れておくのがおすすめです。

懲戒解雇

無断欠勤を理由に懲戒解雇とする方法もありますが、こちらは慎重さが必要です。解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められ、本人への連絡や出社督促を尽くしたという手続きが重要になります。安易に懲戒解雇に踏み切ると、後から無効と争われるおそれがあります。

【ポイント】連絡が取れなくても勝手に「クビ」にはできない

連絡が取れないからといって、即座に解雇できるわけではありません。安否確認や出社督促などの手順を踏み、就業規則の規定にもとづいて処理することが必要です。手続きを飛ばすと、不当解雇として争われるリスクが高まります。

退職処理後の手続きと予防策

社会保険・雇用保険・離職票などの手続き

退職処理が確定したら、社会保険の資格喪失手続きや、雇用保険の離職票の発行など、通常の退職と同じ手続きを進めます。連絡が取れないと書類のやり取りが難しいですが、離職票などは郵送で送るなど、できる範囲で対応します。未払いの給与がある場合は、振込などで支払えるよう準備しておきましょう。

就業規則の整備と緊急連絡先の更新

 音信不通に備える予防策チェックリストの図

こうした事態にスムーズに対応するには、事前の備えが効果的です。就業規則に自然退職の規定を入れておくこと、緊急連絡先や身元保証人の情報を定期的に更新しておくことが、いざというときに役立ちます。連絡手段が一つしかないと対応に困るので、複数の連絡先を把握しておくとよいですね。

連絡が取れない従業員への対応に関するよくある質問(FAQ)

無断欠勤が続いたらすぐに解雇できますか?

すぐには解雇できません。まず本人や緊急連絡先への連絡、書面での出社督促といった手順を踏む必要があります。連絡が取れないからといって即座に解雇すると、不当解雇として争われるおそれがあります。就業規則の規定にもとづき、手続きを尽くしたうえで処理することが重要です。

自然退職と解雇はどちらがよいですか?

トラブルを避けやすいのは自然退職です。就業規則に「無断欠勤が一定期間続いたら退職とみなす」という規定があれば、解雇ではなく自然退職として処理でき、争いになりにくくなります。懲戒解雇は要件や手続きが厳格で無効と争われるリスクもあるため、あらかじめ自然退職の規定を整えておくのがおすすめです。

家族や身元保証人に連絡してもいいですか?

連絡しても問題ありません。本人と連絡が取れない場合、入社時に届け出てもらった緊急連絡先や身元保証人に連絡して安否や事情を確認することは適切な対応です。ただし、プライバシーには配慮し、必要な範囲にとどめましょう。普段から緊急連絡先を最新の状態にしておくことが大切です。

退職日はいつにすればいいですか?

就業規則の規定にしたがって決めます。自然退職の規定があれば、「無断欠勤が◯日続いた日」などを退職日とするのが一般的です。退職日は社会保険の資格喪失日などにも関わるため、規定にもとづいて明確に決め、根拠を記録に残しておくことが大切です。判断に迷う場合は社会保険労務士などに相談しましょう。

離職票や未払い給与はどう渡せばいいですか?

連絡が取れない場合でも、離職票などの書類は届け出てある住所へ郵送します。未払いの給与は、振込先がわかれば振込で支払い、わからない場合は支払いの準備をしたうえで連絡を待ちます。会社の義務として支払いや書類交付は適切に行う必要があるため、対応の記録を残しておくと安心です。

従業員と連絡が取れなくなったときは、「まず安否確認」「複数の手段と関係先へ連絡し記録を残す」「就業規則の規定にもとづいて退職処理する」という流れが基本です。連絡が取れないからといって勝手に解雇はできないので、手順を踏むことが会社を守ることにつながります。あらかじめ就業規則に自然退職の規定を整えておくと、いざというときに落ち着いて対応できますよ。

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