
総務・経理は会社の基盤を支える業務です。そのため、担当者が退職や異動になった際には、スムーズな引き継ぎが重要になります。
私自身、引き継いだ経験も引き継がれた経験もありますが、どちらも一筋縄ではいきませんでした。
今回は、総務・経理の業務の引き継ぎ方について、実際の経験を交えて解説します。
総務・経理の業務の引き継ぎの重要性
スムーズな引き継ぎができていないと、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 業務が滞ってしまい、会社に損害が発生する
- 業務のミスが発生し、会社の信頼を失う
- 後任者が業務を覚えるのに時間がかかり、業務効率が低下する
引き継ぎのタイミングと期間
いつから始めればいい?
私の経験では分かり次第すぐスタートするのが理想です。
予定より早く辞めたいというケースは多く、少しでも引き継ぎをしておけば後々自分が楽になります。
1か月に1回という業務は少なくとも習得したいので、最低数か月前、できれば1年以上前から始めると楽になります。
期間はどれくらい必要?
理想は数年かけて1日の流れ、毎月の流れ、年間の予定を習得したいものです。
それが無理な場合、少なくとも1日、1週間、月間の予定ぐらいは引き継げた方が理想的です。

引き継ぎのやり方
1つ1つマニュアルを交えながら、実際にやりながら教えるのが理想的です。
というのも、口頭だけでも、説明書(マニュアル)だけでもなく、口頭と説明書の両方を使って教えるのが大切だからです。
口頭だけだと、聞いた側は一度に覚えきれず、あとから思い出せません。逆に説明書だけ渡されても、実際の操作や判断のイメージがわきません。
マニュアルを見ながら一緒に操作する→次は本人にやってもらう→つまずいた点をマニュアルに追記する、という流れで回すと定着しやすいと思います。
新人に給与計算を教えたときに実感したのですが、口頭だけで教えるのでも、説明書だけで教えるのでもなくて、口頭と説明書を使って教えるのが大切です。口頭だけだと相手は覚えきれないし、説明書だけだと実際の作業のイメージがわかないんですよね。

どこまでの知識を引き継ぐ?
作業手順だけでなく、周辺知識をどこまで教えるかも意識したいところです。
例えば給与計算の担当者でも、社会保険や雇用保険の加入条件は最低限知っておくべきだと思います。そうでないと現場からの問い合わせに対応できません。
資格の取得・喪失の手続きを行う労務担当が別にいる会社でも、その担当者から回ってくる書類が間違っていないかのチェックができた方がいいですね。加入条件の詳細は会社の社会保険の加入条件(適用事業所・被保険者の範囲)の記事にまとめています。

引き継ぎに必要なもの
引き継ぎに必要なものとして、優先順位の高いものから列挙します。
- 年間スケジュール表
- 各データ・書類の場所
- 税理士、株主などの連絡先
これに加えて次のマニュアルやチェックシートがあれば理想的です。年間スケジュールの中身は総務・経理の月別年間スケジュールの記事が参考になると思います。


業務マニュアルは必要?
私の経験では、マニュアルを作る人よりは作らない人の方が多かったです。
役職が上の人の引き継ぎほど、マニュアルが作られていない印象があります。これは年齢が高いせいかもしれません。
マニュアルがないと困る点は「説明をうけたことしかわからない。残された書類で推測するしかない」という点です。
引き継ぎシートを作成する
分からない点をつぶしていくために、業務内容や手順を、引き継ぎシートにまとめます。引き継ぎシートを作成することで、引き継ぎの漏れを防ぐことができます。
また下のような業務区分表を作り、詳細業務をまず棚卸することでモレが少なくなります。日々のチェックには給与計算チェックリストのような業務別チェックリストも役立ちます。


総務・経理の業務の引き継ぎの注意点
総務・経理の業務の引き継ぎを行う際には、以下の注意点があります。
後任者のスキルや経験を考慮する
後任者のスキルや経験を考慮して、引き継ぎ内容を調整します。後任者がすぐに業務を理解できるように、丁寧に引き継ぎを行いましょう。
引き継ぎの進捗を管理する
引き継ぎの進捗を管理することで、引き継ぎが滞っていないかを確認することができます。また、引き継ぎが完了したかどうかも、しっかりと確認しましょう。
モチベーションの問題
丁寧にマニュアルを残して、引き継ぎの期間も準備してやるというのが理想です。ただ、引き継ぎが終わるまでにモチベーションも下がりますし、やめる側からすれば早くやめてすっきりしたいというのもあります。
そのため、やめる人が毎日暇にならないように最低限の業務量を確保しつつ、引き継ぎを行うのがスムーズに引き継ぎを行うコツだと思います。
引き継ぐ経験からの感想
引き継ぐほうとしては退職が決まってからの話なので、もはやどうでもいいという感じがあるんです。
なので、その会社や残した人、経営陣に対する感謝の具合や恨みの度合いで、どこまできちんと引き継ぐかという態度が決まると思います。
引き継がれた経験からの感想
引き継がれた時に受けたやり方は、何年かかけて少しずつ学ばせていくという考えが多かったです。
この方法は分からないことはその場で聞けるという点でとても便利ですが、年数がかかり給与・金額がかかる方法でもあります。総務の従業員が重複するためです。
引き継ぎがないときの対処法
あまり考えたくはないですが、「連絡はつかない」「何も言わずに辞めていく」というケースは少なくないです。
そういう場合の対処方法としては、
- 社内の他の人に状況を聞く
- 過去のデータ・書類を見て処理方法を推測して処理する
- 税理士、社労士などに聞きながら合法的な範囲で独自判断していく
しかないと思います。

引き継ぎに関するQ&A
- 引き継ぎシートには何を書けばいいの?
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業務の一覧(日次・月次・年次)、それぞれの手順と頻度、使うシステムやファイルの場所、社外の関係先(税理士・銀行・役所など)の連絡先、パスワード類の管理場所あたりを押さえておけば、後任者が困りにくいと思います。
- マニュアルはどのレベルまで細かく書けばいい?
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「初めて見る人がマニュアルだけで再現できる」レベルが理想です。画面キャプチャを貼って手順を番号で書くのが手っ取り早いですね。完璧を目指すより、まず粗く作って引き継ぎ中に追記していく方が現実的です。
- 兼任で引き継ぎの時間が取れないときは?
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月次・年次の重要業務から優先して引き継ぎます。全部を口頭で教える時間がなければ、操作の様子を録画したり画面キャプチャ付きの簡易マニュアルを残したりして、「あとから見返せるもの」を優先して作るのがおすすめです。
- 後任者がなかなかメモを取ってくれない…どうする?
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相手のメモに期待せず、教える側がマニュアルやチェックリストを渡してしまう方が確実です。口頭で教えた内容は忘れられる前提で、「見れば思い出せるもの」をこちらで用意しておくとお互い楽になります。
まとめ
総務・経理の引き継ぎは「早めに始める」「口頭と説明書の両方で教える」「引き継ぎシートで漏れを防ぐ」の3点を押さえれば、大きな失敗はしにくいと思います。
引き継ぎする側になっても、される側になっても大変ですが、この記事が少しでも参考になれば幸いです。



