決算整理とは?決算整理仕訳の全体像

決算整理とは?決算整理仕訳の全体像

「決算のときに行う『決算整理』とは、具体的に何をするのだろう」。経理や総務として決算に関わるようになると、決算整理という言葉をよく耳にします。日々の記帳とは別に、決算ならではの仕訳が必要になる場面です。

私も決算に携わってきましたが、決算整理の全体像をつかんでおくと、「次は何をすればよいか」で迷わなくなりました。一つひとつは難しくても、どんな項目があるのかを先に知っておくと、作業の見通しが立てやすくなります。

今回は、決算整理とは何かという基本と、決算整理仕訳にはどんな種類があるのかという全体像を整理しました。これから決算整理に取り組む方の参考になればうれしいです。

タップできるもくじ

決算整理とは?

まずは、決算整理がどういうもので、なぜ必要なのかを押さえておきましょう。

決算整理の目的

決算整理とは、決算にあたって、その期間の正しい利益と財産の状態を示すために行う、帳簿の最終調整のことです。日々の取引を記録しただけの帳簿には、まだ調整が必要な部分が残っています。たとえば、在庫の残高や、固定資産の価値の目減り、来期分まで先に払った費用などです。これらを正しく整えることで、その期の本当のもうけがはっきりします。

なぜ決算整理が必要なのか

会社の利益は、一定の期間(事業年度)ごとに区切って計算します。ところが、お金の動きと、費用や収益が発生したタイミングは、必ずしも一致しません。たとえば、代金を先に払っても、その効果が来期にまたがることもあります。そこで、お金の動きではなく、その期に対応する費用と収益を正しく割り当てるために、決算整理が必要になります。この考え方を発生主義といいます。

決算整理が必要な理由(期中の帳簿→決算整理→正しい決算書)の図

決算整理仕訳の全体像

決算整理で行う仕訳を、決算整理仕訳といいます。主にどんな項目があるのかを、先に一覧で見ておきましょう。

主な項目内容
棚卸・売上原価在庫を確認し、その期に売れた分の原価を確定する
減価償却固定資産の価値の目減りを費用として計上する
引当金将来発生しそうな費用や損失を見積もって計上する
経過勘定前払い・前受け・未払い・未収の費用や収益を調整する
未払法人税等その期の税金を見積もって計上する

会社の業種や規模によって必要な項目は変わりますが、おおむねこれらが代表的な決算整理仕訳です。次に、それぞれを簡単に見ていきます。

主な決算整理仕訳の種類

主な決算整理仕訳5種の分類図

①棚卸と売上原価の確定

商品や製品の在庫がある会社では、期末に実際の在庫を数えます(実地棚卸)。そのうえで、期首の在庫と当期の仕入から、期末の在庫を差し引いて、その期に売れた分の原価(売上原価)を確定します。在庫として残った分は、当期の費用にはせず、翌期に繰り越します。

②固定資産の減価償却

建物や機械、車などの固定資産は、使ううちに少しずつ価値が下がっていきます。その目減り分を、決められた方法(定額法や定率法)で計算し、減価償却費として費用に計上します。高額な資産の購入額を、使う期間にわたって分けて費用にする手続きです。

③引当金の計上

将来発生する可能性が高い費用や損失のうち、その原因が当期にあるものは、見積もって費用に計上します。たとえば、回収できなくなりそうな売掛金に備える貸倒引当金や、翌期に支払う賞与に備える賞与引当金などです。

④経過勘定の処理

当期に払った(受け取った)お金のうち、来期分が含まれている場合や、逆に当期分なのにまだ払っていない(受け取っていない)場合は、その期に対応する金額に調整します。前払費用・前受収益・未払費用・未収収益の4つをまとめて経過勘定といいます。

⑤未払法人税等の計上

決算で利益が確定すると、その利益に対する法人税などの金額が見積もれます。これらの税金は決算後に納めますが、その期の費用・負債として、未払法人税等を計上します。これにより、税金を差し引いた後の最終的な利益(当期純利益)が確定します。

決算整理の進め方と注意点

決算整理の注意点チェックリスト図

決算整理仕訳を行うタイミング

決算整理仕訳は、その期のすべての取引を記録し終えた後、決算の段階で行います。日々の記帳とは別の作業として、決算時にまとめて処理するのが一般的です。整理し終えたら、その内容を試算表や精算表に反映し、最終的な決算書を作成します。

漏れ・二重計上に注意する

決算整理で気をつけたいのが、計上漏れと二重計上です。必要な調整を忘れると利益が正しく出ませんし、すでに処理した分を重ねて計上すると数字が狂います。項目ごとにチェックリストを作り、一つずつ確認しながら進めると安心です。判断に迷う項目があれば、顧問の税理士などに相談しましょう。

まとめ

決算整理とは、その期の正しい利益と財産を示すために行う、帳簿の最終調整です。代表的な決算整理仕訳には、棚卸と売上原価、減価償却、引当金、経過勘定、未払法人税等などがあります。一つひとつは難しく感じても、全体像を先に押さえておけば、決算の見通しが立てやすくなります。チェックリストを使って、漏れなく丁寧に進めていきましょう。

よくある質問

決算整理と日々の記帳は何が違いますか?

日々の記帳は、売上や仕入、経費といったその都度の取引を記録する作業です。一方、決算整理は、決算のときにだけ行う最終調整で、在庫の確定や減価償却、税金の見積もりなど、日々の記録だけでは反映されない項目を整えます。記帳が「日常の積み重ね」、決算整理が「期末のまとめ」とイメージすると分かりやすいでしょう。

決算整理仕訳はすべての会社で必要ですか?

必要な項目は会社によって異なります。在庫がない会社なら棚卸の処理は不要ですし、固定資産がなければ減価償却も発生しません。ただし、経過勘定や税金の計上など、多くの会社に共通する項目もあります。自社にどの項目があてはまるかを確認し、必要なものだけ行えば大丈夫です。

決算整理はいつ行えばいいですか?

その期のすべての取引を記録し終えた後、決算の段階で行います。具体的には、期末日を過ぎてから、在庫の確認や各種の調整をまとめて処理します。整理が終わったら試算表や精算表に反映し、決算書を作成する流れです。月次決算で一部の調整を毎月行っておくと、年度末の負担が軽くなります。

決算整理を間違えるとどうなりますか?

利益や財産の状態が正しく示されなくなります。たとえば在庫の計上を誤ると売上原価がずれ、利益が実態と合わなくなります。利益は税金の計算の基礎にもなるため、誤りは納税額にも影響します。項目ごとに確認し、判断に迷うところは税理士などの専門家に相談して、正確に処理することが大切です。

簿記の知識がなくても決算整理はできますか?

基本的な簿記の知識があると、決算整理の意味が理解しやすくなります。とはいえ、最近は会計ソフトが計算を補助してくれるため、仕組みを大まかに知っておけば対応できる部分も増えています。全体像をつかんだうえで、難しい判断が必要な項目は専門家に相談すれば、無理なく進められます。少しずつ慣れていきましょう。

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