会社を設立して登記が終わったら、最初の税務手続きが「法人設立届出書」の提出です。
「税務署に会社ができました」と知らせる書類で、これを出すことで申告書の案内などが届くようになります。書き方自体は難しくありませんが、提出先が3か所あるのを知らないと出し漏れが起きます。
今回は、法人設立届出書の書き方と記入例、提出先・期限、一緒に出すべき届出書をまとめました。
設立直後はやることが多いので、この記事をチェックリスト代わりに使ってください。
法人設立届出書とは(どこに何を出す?)
法人設立届出書は、新たに法人を設立したことを税務当局へ知らせる届出です(法人税法第148条)。国税(税務署)だけでなく、地方税の窓口にも同様の届出が必要です。

| 提出先 | 書類 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 納税地の所轄税務署 | 法人設立届出書(国税庁様式) | 設立の日(登記の日)以後2か月以内 |
| 都道府県税事務所 | 法人設立届(自治体様式) | 自治体による(15日〜2か月程度) |
| 市区町村役場 | 法人設立届(自治体様式) | 自治体による |
東京23区内に本店を置く場合は、市区町村への提出は不要で都税事務所のみです。自治体の様式と期限はそれぞれのサイトで確認してください(「(都道府県名) 法人設立届」で検索すると出てきます)。
この記事では、メインになる税務署向け(国税庁様式)の書き方を解説します。
法人設立届出書の記入例・書き方

上の例のように書いてもらえれば、問題ないと思います。項目ごとのポイントを順に見ていきます。

届出書上部(提出先・法人の基本情報)
- 税務署長殿・提出日:本店所在地を管轄する税務署名。管轄は国税庁サイトの「税務署を検索」で調べられます
- 本店又は主たる事務所の所在地:登記したとおりに記入。電話番号は固定がなければ携帯でOK
- 納税地:通常は本店所在地と同じ。「同上」で構いません
- 法人名・フリガナ:登記簿どおりの正式名称(「株式会社」も含めて)
- 法人番号:設立後に届く「法人番号指定通知書」の13桁。通知がまだ届いていなければ空欄で提出してOKです
- 代表者氏名・住所:代表取締役の氏名と自宅住所
設立年月日・事業年度・資本金
- 設立年月日:設立登記の日(登記申請をした日)。登記事項証明書の「会社成立の年月日」と一致させます
- 事業年度:定款で定めた事業年度(例:4月1日から3月31日まで)
- 設立時の資本金又は出資金の額:登記した資本金の額
資本金が1,000万円以上の場合は、「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」の欄にも設立日を記入します。資本金1,000万円以上の新設法人は、設立1期目から消費税の課税事業者になるためです(1,000万円未満なら空欄)。
事業の目的・支店・設立の形態
- 事業の目的:定款の事業目的のうち、実際に営む主なものを記入(全部書き写す必要はありません)
- 支店・出張所・工場等:あれば名称と所在地。なければ空欄
- 設立の形態:ゼロから新規設立なら「5 その他」。個人事業を法人化(法人成り)した場合は「1」を選び、個人の税務署名・整理番号を記入
- 事業開始(見込み)年月日:実際に営業を始めた日・始める予定日
- 給与支払事務所等の開設届出書の提出の有無:役員報酬や給与を払うなら「有」に○(別途その届出書も出します)
法人成りの場合は、個人側の廃業手続き(個人事業の開業・廃業等届出書など)も並行して必要になる点に注意してください。
様式のダウンロードと提出方法
様式は国税庁サイトから(無料)
様式は国税庁の手続案内ページ「C1-4 内国普通法人等の設立の届出」からPDFをダウンロードできます。
添付書類は定款(合同会社などは定款に準ずるもの)の写し1部だけです。以前は登記事項証明書や株主名簿も必要でしたが、簡素化されて定款等の写しのみになっています。
提出は窓口・郵送・e-Taxの3通り
提出方法は、税務署窓口への持参、郵送、e-Taxのいずれでも構いません。マイナポータルの「法人設立ワンストップサービス」を使うと、税務署・年金事務所・自治体への設立関係手続きをまとめて電子申請することもできます。

提出期限と出し忘れたとき
税務署への提出期限は設立の日(設立登記の日)以後2か月以内です。
出し忘れても罰則はありませんが、放置すると申告時期の案内が届かない、各種申請とセットの手続きが進まないといった実害が出ます。気づいた時点ですぐ提出すれば受け付けてもらえるので、慌てず出してください。
むしろ怖いのは、この後に説明する青色申告の承認申請の期限切れです。こちらは期限を過ぎると1期目が白色申告になり、欠損金の繰越などで実害が大きいので、設立届とセットで必ず確認してください。
設立時に一緒に出す届出書一覧
法人設立届出書は「最初の1枚」にすぎません。状況に応じて次の書類もセットで提出します。

| 届出書 | 期限 | 対象 |
|---|---|---|
| 青色申告の承認申請書 | 設立3か月以内か最初の事業年度終了日の前日の早い方 | ほぼ全社(実質必須) |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設から1か月以内 | 役員報酬・給与を払う会社(ほぼ全社) |
| 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 随時(提出翌月から適用) | 給与の支給人員が常時10人未満の会社 |
| 棚卸資産の評価方法の届出書 | 1期目の確定申告期限まで | 任意(出さなければ最終仕入原価法) |
| 減価償却資産の償却方法の届出書 | 1期目の確定申告期限まで | 任意(出さなければ法定償却方法) |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書 | 随時 | インボイスを発行する場合 |
このうち「青色申告の承認申請書」と「評価方法・償却方法・消費税関係の届出書」の書き方は、それぞれ別記事で詳しく解説します。
また、従業員を雇ったら労働保険・社会保険の手続きも始まります。労働保険側は会社設立時、初めて採用した際の「労働保険保険関係成立届」の書き方、記入例を参考にしてください。

まとめ
- 法人設立届出書は税務署+都道府県+市区町村の3か所(東京23区は2か所)に提出
- 税務署への期限は設立登記の日から2か月以内。添付は定款等の写しのみ
- 法人番号が未着なら空欄でOK。資本金1,000万円以上は消費税欄の記入を忘れずに
- 令和7年1月から控えへの収受印は廃止。提出記録は自分で残す
- 本当に期限が怖いのは青色申告の承認申請。設立届とセットで処理する
法人設立届出書のQ&A
- バーチャルオフィスや自宅を本店にしていても出せる?
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出せます。登記した本店所在地をそのまま記入すれば問題ありません。納税地もその住所になり、管轄税務署もその住所で決まります。
- 合同会社やNPO法人も同じ様式?
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合同会社などの持分会社も同じ「法人設立届出書」を使います。NPO法人や一般社団法人など収益事業を行う公益法人等は「収益事業開始届出書」という別の手続きになる場合があるので、国税庁の手続案内で確認してください。
- 設立2か月を過ぎてしまった。ペナルティはある?
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法人設立届出書自体に罰則はなく、遅れても通常どおり受理されます。ただし青色申告の承認申請など期限が効いてくる書類を一緒に放置している可能性が高いので、すぐに全体を確認して提出してください。
- 税理士に頼まず自分で出しても大丈夫?
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設立届出書だけなら自分で十分対応できます。判断が絡むのは青色申告・消費税(インボイス登録するか)・役員報酬の決め方あたりなので、そこは設立初年度だけでも税理士に相談する価値があると思います。
- 本店を移転したら設立届を出し直すの?
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出し直しではなく「異動届出書」を提出します。管轄税務署が変わる移転でも、異動前の税務署に1部出せばOKです(地方税は移転前後の自治体それぞれに届出が必要な場合があります)。




