入社誓約書の書き方と記入例

新しく人を採用すると、雇用契約書のほかに「入社誓約書」を提出してもらう会社が多いと思います。ただ、いざ作るとなると「何を書いてもらえばいいの?」「ここまで誓約させて大丈夫?」と迷う場面が出てきます。書きすぎると無効になる項目もあるので、ちょっと注意が必要です。

今回は、入社誓約書に書く項目と記入例(文例)、作るときの注意点をまとめました。これから様式を整える総務・人事の方、参考にしてください。

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入社誓約書とは?何のために提出してもらう書類か

入社誓約書は、入社する本人が「会社のルールを守ります」と会社に約束するために提出する書類です。服務規律の遵守や秘密保持などをまとめて確認する意味合いがあります。

提出は法律上の義務ではありませんが、入社時の意思確認と、後々のトラブル防止のために多くの会社で運用されていますね。「うちのルールはこうですよ」と本人に意識してもらう効果もあると思います。

法的効力はある?

入社誓約書そのものに強い法的拘束力はありません。たとえば提出後に本人が入社を断ってきても、入社を強制することはできません。

とはいえ、本人が署名・押印した書類なので、「秘密保持を約束した」「服務規律を確認した」という事実の証拠にはなります。万一トラブルになったとき、会社の主張を裏づける材料になるイメージですね。

内定承諾書・身元保証書との違い

似た書類が多くて混同しがちなので、ざっと整理しておきます。

書類誰が出す主な目的
内定承諾書(内定誓約書)内定者本人内定を受け入れ、入社する意思を示す
入社誓約書入社する本人服務規律・秘密保持など会社のルール遵守を約束
身元保証書本人+保証人本人が会社に損害を与えた場合の保証
内定承諾書・入社誓約書・身元保証書の役割の違いを整理した分類図

内定承諾書は「入社します」という意思表示、入社誓約書は「ルールを守ります」という約束、と分けて考えると分かりやすいと思います。会社によっては1枚にまとめていることもありますね。

入社誓約書に書く項目(記載項目一覧)

入社誓約書には決まった様式がありません。自社の業種や職種に合わせて項目を選びます。一般的によく入れるのは次のような内容です。

  • 就業規則・服務規律を守ること
  • 業務上の秘密・個人情報を守ること(在職中・退職後とも)
  • 提出書類や経歴に虚偽がないこと
  • 会社の信用を損なう行為(SNSでの情報漏えい等)をしないこと
  • 故意・重過失で会社に損害を与えた場合は誠実に対応すること
  • 署名・押印、提出日

項目は多ければいいというものではありません。後で説明しますが、誓約事項は必要最小限にとどめるのが基本です。職種に関係ない項目を盛り込みすぎると、かえって反発を招くこともあります。

入社誓約書の記入例(文例)

実際の文例を載せておきます。会社名・日付などは架空のものなので、自社の内容に置き換えて使ってください。

入社誓約書(文例)

横浜商事株式会社 代表取締役 山田太郎 殿

このたび貴社に入社するにあたり、下記の事項を遵守することを誓約いたします。

1. 就業規則および諸規程を遵守し、上長の指示に従って誠実に勤務します。
2. 業務上知り得た会社・取引先・顧客の秘密および個人情報を、在職中はもちろん退職後も第三者に漏らしません。
3. 提出した履歴書その他の書類の記載内容に虚偽がないことを確認します。
4. 会社の信用や名誉を損なう行為(SNS等での情報発信を含む)を行いません。
5. 故意または重大な過失により会社に損害を与えた場合は、誠実に対応します。

 令和 年 月 日
 住所               
 氏名             ㊞

上の例のように、宛名(会社・代表者)→ 誓約文 → 日付・署名欄、の順で書いてもらえれば問題ないと思います。誓約項目は箇条書きにすると本人も読みやすいですね。

宛名・署名はどう書く?

宛名は会社名と代表者名にします。署名欄は本人の自署が基本で、押印は社内ルールに合わせて大丈夫です。自署があれば押印がなくても書類として成立します。

秘密保持を強めたいときは?

技術職や顧客情報を扱う職種など、秘密保持を特に重視する場合は、入社誓約書とは別に「秘密保持誓約書」を分けて作るのが一般的です。営業秘密の範囲や退職後の扱いを細かく定められます。

入社誓約書のテンプレート(無料ダウンロード)

そのまま使える入社誓約書のテンプレート(Word)を用意しました。社内の様式がまだ決まっていない方は、こちらをベースに使ってください。印刷してそのまま記入・押印できます。

  • 記入例の会社名・氏名はすべて架空のサンプルです。自社の内容に書き換えてお使いください。

入社誓約書を作る・もらうときの注意点

ここが一番気をつけたいところです。誓約させる内容によっては、書いても無効になる項目があります。

違約金・損害賠償額をあらかじめ決めるのはダメ

「ルールに違反したら違約金〇万円」「損害が出たら一律〇万円賠償」のように、賠償額をあらかじめ決めて約束させることはできません。労働基準法第16条で賠償予定が禁止されているためです。

実際に損害が出たときに、その実損に応じて請求するのは別の話ですが、「いくら払わせる」と先に決めておくのは不可、と覚えておいてください。

残業代の放棄なども無効

「残業代は請求しません」といった、法律上の権利を放棄させる誓約も無効です。本人が署名していても効力はありません。こうした項目は入れないでください。

誓約事項は必要最小限に

違約金の事前設定や権利放棄など入社誓約書で無効になる項目の注意図

誓約事項は、法律で認められる範囲で、かつ業務に必要な分だけにとどめるのが基本です。退職後の競業避止などをあまりに広く誓約させると、範囲が広すぎて無効と判断されることもあります。

就業規則の内容と矛盾しないかも確認しておくと安心です。就業規則の定めと違う約束をさせても、就業規則の基準が優先されます。

提出のタイミングと保管

提出は入社日にあわせるのが一般的です。雇用契約書・身元保証書などと一緒に受け取り、本人の個人ファイルに保管しておくと後で探しやすいですね。入社前後にそろえる書類は、求人~採用など<入社前の手続・準備>や、入社説明や注意点など<入社後の手続・準備>で全体の流れを解説しています。

電子化したい場合は、電子契約サービス(「」など)を使えば、入社誓約書もメールで送って電子サインで受け取れます。テレワーク採用が増えてきたので、紙でやり取りしない会社も増えてきました。

よくある質問(FAQ)

入社誓約書の提出を拒否されたら入社させられませんか?

誓約書は提出が法律上の義務ではないため、拒否を理由に直ちに採用取消とするのは難しいです。まずはなぜ拒否するのか確認し、項目が広すぎないかを見直すのが現実的だと思います。

パート・アルバイトにも提出してもらっていいですか?

構いません。雇用形態にかかわらず提出してもらえます。ただし職務内容に合わない項目は外すなど、働き方に合わせて調整すると親切です。

押印は必要ですか?

必須ではありません。本人の自署があれば書類として有効です。社内ルールで押印を求めている会社が多いので、自社の慣行に合わせて大丈夫です。

入社後しばらく経ってから提出してもらってもいいですか?

可能ですが、入社時にまとめて受け取るのが管理上は楽です。あとから依頼すると本人が忘れたり、出しそびれたりしがちなので、初日の書類一式に入れておくのがおすすめです。

誓約書の保管期間に決まりはありますか?

入社誓約書自体に法定の保存期間の定めはありません。ただ在職中のトラブル対応に備えて、少なくとも退職後しばらくは保管しておく会社が多いです。労働者名簿などの法定帳簿と一緒に管理すると安心です。

まとめ

入社誓約書は、服務規律や秘密保持などのルール遵守を本人に約束してもらう書類です。決まった様式はないので、自社に合った項目で1つ整えておくと、採用のたびに使えて便利です。

  • 宛名(会社・代表者)→ 誓約文(箇条書き)→ 日付・署名欄の順で作る
  • 違約金・損害賠償額の事前設定、残業代の放棄などは無効(労基法第16条ほか)
  • 誓約事項は必要最小限に。就業規則と矛盾させない
  • 提出は入社日にまとめて受け取り、個人ファイルで保管

秘密保持を強めたい職種は、別途「秘密保持・競業避止誓約書」を用意するとより安心です。これから入社書類をそろえる方の参考になればうれしいです。

参考リンク

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