退職者が出るたび、ハローワークへ提出する「雇用保険被保険者資格喪失届」の手続きについての説明です。今の会社では毎月のように出てくる処理で、離職票の作成と一緒に進めることが多いですね。
取得時に渡された用紙を使えば、ほとんどの欄はあらかじめ印字されているので、新規に書くのは数か所だけです。記入例も載せているので、この記事を読んでもらえれば問題なく作成できると思います。
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離職票の書き方は「雇用保険・離職証明書(離職票)の書き方を記入例で分かりやすく解説!」を、健康保険の喪失手続きは「健康保険・厚生年金「被保険者資格喪失届」の記入例、書き方、提出方法、注意点など」をよかったらご覧ください。
雇用保険の「資格喪失届」とは?

そもそも雇用保険ってどんな制度?
雇用保険は、失業した時に受け取れる失業給付(基本手当)などを支給する保険制度です。
雇用保険法に基づき、従業員などの労働者は、雇用される日から被保険者資格を取得(加入)し、退職した日に喪失します。
どんな人が対象になるの?
雇用保険に加入している従業員が退職した場合が基本です。
その他に、以下のようなケースでも喪失手続きを取ります。
- 週の所定労働時間が20時間未満になった場合(臨時的・一時的な場合を除く)
- 被保険者が法人の役員に就任したとき(ハローワークで兼務役員と認められた場合を除く)
- 被保険者として取り扱われた兼務役員が、従業員としての身分を失ったとき
- 他の事業所へ移籍出向したとき
- 被保険者が死亡したとき
従業員が亡くなったケースの全体的な実務手続きは「社員の死亡退職の対応マニュアル」にまとめています。
現在は雇用保険の加入年齢に上限はありません。65歳以上の方は「高年齢被保険者」として加入し、令和4年1月からは複数事業所の労働時間を合算して加入できる「マルチジョブホルダー制度」も始まっています。
誰が手続きするの?
会社(事業主)が手続きを行います。退職者本人が直接ハローワークへ出すものではありません。
いつまでに出せばいい?
被保険者でなくなった日の翌日から10日以内です。
たとえば、3月31日付の離職者については、4月1日が資格喪失日なので、提出期限は4月10日となります。
提出期限は上記ですが、退職日前に出してもOKです(事前に受付してもらって、処理は退職後になるという扱い)。郵送の場合も、消印の日付を気にせず数日前にいつも出してます。
大きな問題にはならないとは思いますが、一応決められた期限通りに送ったほうがいいと思います。
どこへ提出する?
事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)へ提出します。提出方法は次の3つから選べます。
- 窓口:その場で受付印をもらえる。離職票も後日受け取り可
- 郵送:保険証等の返送が必要なため、返信用封筒(切手付き)を同封する
- 電子申請(e-Gov/マイナポータル):時間外でも提出でき、最近はこちらが主流になりつつあります
郵送のとき、ハローワークによりますが、本人と会社それぞれの宛先の封筒を入れておくと、別々に返送してくれます。
添付書類は何が必要?
離職票の有無で必要書類が異なります。
離職票の交付を希望しないとき
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 出勤簿(タイムカード)
- 雇用契約書など
(公式にはこうですが、喪失届1枚以外を求められたことはありませんね。。。)
離職票の交付を希望するとき
(※59歳以上の離職者は、本人の希望にかかわらず必ず離職票の交付が必要です)
- 「雇用保険被保険者離職証明書」(3枚1組)
- 労働者名簿
- 出勤簿(タイムカード)
- 賃金台帳
- 離職理由の確認できる書類(退職届、就業規則、役員会議事録など)
離職証明書の書き方は「雇用保険・離職証明書(離職票)の書き方を記入例で分かりやすく解説!」にまとめています。
書類はどこで手に入る?
「雇用保険被保険者資格喪失届」(上の画像の書類です)は、資格取得時に受け取ったA4の用紙の一部です。
そのため、通常は新規入手する必要はないと思いますが、古い社員などで用紙が見つからない場合は、ハローワーク(厚労省)のサイトからダウンロードできます。
ハローワーク インターネットサービス(雇用保険被保険者資格喪失届のダウンロード)
雇用保険、社会保険の手続きについてはこの1冊がオススメです↓↓
雇用保険の「資格喪失届」記入例・書き方
緑の文字は取得時に印字されている箇所です。新規には赤字の箇所のみ記入します。
下の用紙は、氏名変更などで使う様式で、新規に喪失届を出すときの形式です。該当する項目を使ってください。
今回は基本的な「自己都合による退職」のケースで記載しています。

上の例の様に書いてもらえれば、問題ないと思います。各項目を順番に解説していきますね。
1. 個人番号(マイナンバー)
番号確認と身元確認の本人確認を行ったうえで、退職者の個人番号(マイナンバー)を記入します。
(記入がない場合は戻ってきます。気を付けてくださいね)
2. 被保険者番号
※資格取得の際の用紙を使えば印字されています。
3. 事業所番号
※資格取得の際の用紙を使えば印字されています。
4. 資格取得年月日
※資格取得の際の用紙を使えば印字されています。
5. 離職等年月日
被保険者は、離職、死亡、移籍出向、役員就任等によって、その資格を失います。
ここには、退職日など被保険者であった最後の日を記入します。
6. 喪失原因
次の3区分から、該当する番号を記入します。
① 離職以外の理由 ⇒ 死亡、在籍出向、出向元への復帰など
② 3以外の離職 ⇒ ①と③以外。例えば次のような場合です。
- 任意退職
- 自己都合による退職
- 契約期間満了
- 定年退職(高年齢者雇用確保措置が実施されていること)
- 天災等やむを得ない理由による事業廃止に伴う解雇
- 重責解雇(いわゆる懲戒解雇)
- 移籍出向
- 役員就任、被保険者として取り扱われない短時間就労者(週所定労働時間が20時間未満)になった
③ 事業主の都合による離職 ⇒ 解雇、退職勧奨、希望退職者の募集など
自己都合のケースが多いと思うので、この②がほとんどだと思います。
7. 離職票交付希望
離職票の交付を希望する場合は「1」、希望しない場合は「2」を記入します。
59歳以上の離職者は、本人の希望にかかわらず必ず「1」を記入し、離職証明書も添付します。
8. 1週間の所定労働時間
1週間の所定労働時間を記入します。
例えば、1日8時間 × 月~金の5日 = 40時間 という具合です。
9. 補充採用予定の有無
従業員を採用する見込みがあれば「1」と記入し、なければ空白でOKです。
(空白で出してますが、注意されたことはないですね)
被保険者の住所又は居所
退職後の住所を書きます。
「被保険者でなくなったことの原因」はどう書く?
離職のいきさつ・経緯等を具体的に記入する箇所です。
例としては以下のような書き方が多いですね。
- 本人から転職希望の申し出があった
- 転職希望のため
- 一身上の都合により退職
- 契約期間満了のため
- 定年退職のため
- 予定工事終了のため
その他注意点は?
- 離職票が必要な場合は離職証明書と一緒に手続きします
- 事業主欄に「印」の文字がありますが、押印は不要です
- 事業主以外の四角で囲った箇所は鉛筆で記入
(鉛筆なら、間違ってもハローワークの窓口でその場で直せるので、訂正印もいりません)
雇用保険資格喪失届を簡単に作成する方法
喪失届の作成って、退職処理でドタバタしているときに大変ですよね。離職票も作って、健保の喪失届も出して、源泉徴収票も…と手続きが多いのに。私も散々苦労してきました。
しかし、給与計算ソフトのマネーフォワード クラウド給与を使うと、退職日を入力して数回クリックするだけで、離職票と同時に喪失届も作成できます。しかも、健保の喪失届や住民税の異動届、源泉徴収票も同時に作成できて、手作業の山がだいぶ減ります。
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雇用保険資格喪失届のよくある質問
- 提出期限の10日を過ぎたらどうなりますか?
-
遅れた理由を聞かれることはありますが、特に罰則を受けたという話は聞かないですね。ただ、離職票の発行が遅れて退職者の失業給付の手続きに影響が出るので、できるだけ期限内に出すようにした方がいいと思います。
- 退職者のマイナンバーが分からないときはどうすればいいですか?
-
本人に確認して教えてもらうのが基本です。どうしても確認できない場合は「個人番号登録・変更届書」を別途提出する方法もありますが、まずは本人へ依頼するのが一番スムーズだと思います。空欄のまま出すと用紙が戻ってくるので注意してください。
- 離職票を希望しないと言っていた人が、後から「やっぱり欲しい」と言ってきたら?
-
後から離職証明書を作成して、ハローワークへ提出すれば交付してもらえます。失業給付の関係で「やっぱり必要」となるケースは結構あるので、退職者には念のため希望を確認しておくのが無難ですね。
- 電子申請(e-Gov)と紙の提出、どちらが早いですか?
-
体感では電子申請の方が早いことが多いです。窓口受付の混雑に関係なく送れますし、離職票も電子で返ってくるパターンが増えています。ただ、初回の電子証明書の準備が手間なので、年間の退職者数が少ない会社は紙で運用している印象ですね。
- 令和7年4月の自己都合退職の給付制限短縮は、喪失届の書き方に影響しますか?
-
喪失届そのものの書き方は変わりません。給付制限期間が原則2か月から1か月に短縮されたのは離職者がハローワークで失業給付を受けるときの話なので、会社側の喪失届の項目には影響しないと思っていただいて大丈夫です。
- 同じ会社で再雇用になった場合、喪失届と取得届を同時に出すの?
-
はい、定年再雇用などで雇用形態が大きく変わるケースでは、喪失届と取得届を同時に出します。詳しくは「雇用保険被保険者資格取得届の記入例、書き方など」もあわせてご覧ください。





