毎月の給与計算や残業代の支払いの土台になるのが、勤怠管理です。「タイムカードを集計するだけ」と思われがちですが、実は会社には労働時間を正しく把握する義務があり、勤怠管理はそれを果たすための大切な業務です。
私も総務で勤怠の集計をしていますが、記録があいまいだと、残業代の計算が狂ったり、社員の働きすぎに気づけなかったりします。逆に、きちんと管理できていれば、給与計算もスムーズで、トラブルも防げます。
今回は、勤怠管理とは何か、会社に求められる労働時間の把握義務と、その方法を整理しました。勤怠管理の基本を押さえたい総務・人事の方の参考になればうれしいです。
勤怠管理とは?
まずは、勤怠管理がどういう業務なのかを整理しておきましょう。
出退勤・労働時間・休暇を把握し記録すること
勤怠管理とは、社員の出退勤の時刻、労働時間、休憩、休暇の取得状況などを把握し、記録することをいいます。誰がいつ働き、どれだけ残業し、いつ休んだのかを正確に管理することで、適正な労務管理の基礎になります。

目的(正確な賃金計算と社員の健康管理)
勤怠管理の目的は、大きく2つあります。一つは、正確な賃金計算です。労働時間が分からなければ、給与や残業代を正しく計算できません。もう一つは、社員の健康管理です。働きすぎを早めに把握し、長時間労働による健康被害を防ぐためにも、勤怠管理は欠かせません。
勤怠管理は会社の基本的な責務
勤怠管理は、単なる事務作業ではなく、会社が果たすべき基本的な責務です。後で述べるとおり、会社には労働時間を把握する義務があり、それを怠ると、残業代の未払いや、社員の健康問題につながります。「なんとなく集計している」のではなく、義務として正しく行うことが大切です。
会社には労働時間を把握する義務がある
勤怠管理の前提として、会社には労働時間を把握する義務があります。これは法律や国の指針で定められています。
労働時間の適正把握のガイドライン
厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を定めています。これは、会社が社員の労働時間を適正に把握する責務があることを明確にし、その具体的な方法を示したものです。勤怠管理を行うときは、このガイドラインに沿って進めることが基本になります。
安全衛生法上、労働時間の状況の把握も義務
労働安全衛生法でも、社員の健康管理のために、労働時間の状況を把握することが会社に義務づけられています。働きすぎによる健康障害を防ぎ、必要な場合に医師の面接指導につなげるためです。賃金計算のためだけでなく、健康管理の観点からも、労働時間の把握が求められているのです。
管理監督者やみなし労働でも把握は必要
労働時間の規制が一部適用されない管理監督者や、みなし労働時間制が適用される社員であっても、健康管理の観点からは、労働時間の状況を把握する必要があります。「管理職だから勤怠管理は不要」と考えるのは誤りです。立場にかかわらず、働きすぎを防ぐための把握は欠かせません。
労働時間を把握する方法
では、労働時間はどのように把握すればよいのでしょうか。原則と例外を見ていきましょう。

原則は客観的な記録
労働時間の把握は、客観的な記録によることが原則です。具体的には、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間(ログ)など、本人の主観によらない方法で記録します。客観的な記録を基礎にすることで、正確で信頼できる勤怠管理ができます。
自己申告制は例外
客観的な記録が難しい場合に限って、自己申告制が認められます。ただし、その場合でも、申告の前に正しい申告の仕方を説明する、実態と合っているかを確認する、申告を阻害するような措置をとらない、といった対応が求められます。自己申告制は、あくまでやむを得ない場合の例外と考えましょう。
自己申告と実態の乖離を確認する
自己申告制をとる場合にとくに注意したいのが、申告された時間と実際の労働時間にズレがないかです。たとえば、パソコンのログ上は遅くまで稼働しているのに、申告では定時で終わっていることになっている、といったケースです。乖離があれば、実態を調べて補正する必要があります。申告を鵜呑みにしないことが大切です。
勤怠管理で記録・管理する項目
勤怠管理で押さえておきたい主な項目は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 始業・終業時刻 | いつ働き始め、いつ終わったか |
| 休憩時間 | 休憩を何時間取ったか |
| 時間外・休日・深夜労働 | 残業、休日出勤、深夜の労働時間 |
| 遅刻・早退・欠勤 | 所定の時間に対する過不足 |
| 有給休暇の取得状況 | 有給をいつ何日取得したか |
これらを正確に記録しておくことで、給与・残業代の計算や、有給休暇の管理、長時間労働のチェックがスムーズになります。とくに時間外労働の把握は、割増賃金の計算に直結するので、正確さが求められます。
勤怠管理の注意点
勤怠管理を行ううえで、気をつけたいポイントを確認しておきましょう。

記録の保存義務がある
労働時間の記録や賃金台帳などは、一定期間の保存が義務づけられています。保存期間は原則5年ですが、当分の間は3年とされています。記録をすぐに捨ててしまわず、決められた期間きちんと保存しておきましょう。後から労働時間をめぐる問題が起きたとき、記録が会社を守る証拠にもなります。
サービス残業の温床にしない
勤怠管理がずさんだと、記録に残らない「サービス残業」が生まれやすくなります。実際には働いているのに記録されていない時間があると、残業代の未払いとなり、大きなトラブルにつながります。実態どおりに記録し、働いた時間にはきちんと賃金を支払うことが大原則です。
勤怠管理を効率化する方法
勤怠管理は毎日・毎月発生する業務なので、効率化の工夫も大切です。
手書きの出勤簿やエクセルでの集計は、手間がかかるうえ、計算ミスも起きやすくなります。最近は、勤怠管理システムを導入する会社が増えています。打刻から集計、残業時間の計算、有給の管理までを自動化でき、客観的な記録も残せます。ガイドラインに沿った運用がしやすくなるのもメリットです。会社の規模や働き方に合わせて、無理のない範囲で効率化を検討するとよいでしょう。
まとめ
勤怠管理とは、社員の出退勤・労働時間・休暇を把握し、記録することです。正確な賃金計算と社員の健康管理という大切な目的があり、会社には労働時間を把握する義務があります。把握は客観的な記録によるのが原則で、自己申告制は例外的な方法です。
始業・終業時刻や残業、休暇の取得状況などを正確に記録し、決められた期間保存しましょう。ずさんな管理はサービス残業や未払い残業代のもとになります。必要に応じて勤怠管理システムも活用しながら、正確で効率的な勤怠管理を心がけることが、トラブルのない労務管理につながります。
よくある質問
- 勤怠管理は自己申告制でもいいですか?
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労働時間の把握は、タイムカードなど客観的な記録によることが原則です。自己申告制は、客観的な記録が難しい場合に限った例外です。自己申告制をとる場合も、正しい申告の仕方を説明し、実態と合っているかを確認し、申告を阻害しないなどの対応が求められます。安易に自己申告制に頼るのは避けましょう。
- タイムカードは必ず必要ですか?
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タイムカードそのものが必須というわけではありませんが、労働時間は客観的な記録で把握することが原則です。タイムカードのほか、ICカードやパソコンの使用ログなどでも構いません。大切なのは、本人の主観によらない客観的な方法で、正確に記録することです。自社に合った方法を選びましょう。
- 管理監督者も勤怠管理が必要ですか?
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必要です。管理監督者は労働時間の規制が一部適用されませんが、健康管理の観点から、労働時間の状況を把握することが会社に義務づけられています。「管理職だから勤怠管理は不要」という考えは誤りです。働きすぎを防ぎ、必要なら医師の面接指導につなげるためにも、把握しておく必要があります。
- 勤怠の記録はどのくらい保存すればいいですか?
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労働時間の記録や賃金台帳などは、保存が義務づけられています。保存期間は原則5年ですが、当分の間は3年とされています。記録をすぐに処分せず、決められた期間きちんと保存しておきましょう。労働時間をめぐる問題が起きたとき、記録が会社を守る証拠にもなります。
- 勤怠管理システムは導入した方がいいですか?
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必須ではありませんが、社員数が多い場合や、集計に手間がかかっている場合は、導入のメリットが大きいです。打刻から集計、残業時間の計算、有給の管理までを自動化でき、客観的な記録も残せます。ミスも減らせて、ガイドラインに沿った運用もしやすくなります。会社の規模や働き方に合わせて、無理のない範囲で検討するとよいでしょう。




