「36協定を出しておいて」と言われても、初めてだと「過半数代表者ってどう決めるの?」「様式はどれ?」「どこに出すの?」と、わからないことだらけですよね。総務や人事に配属されて、最初の年度更新でとまどう方も多いと思います。
36協定は、ただ書いて出せばよいわけではなく、過半数代表者の選び方や記入内容にルールがあります。手順を踏み外すと、せっかく届け出ても無効になってしまうこともあるので、流れを順番に押さえておきたいところです。
この記事では、36協定の締結から労働基準監督署への届出までの流れを、総務・人事の担当者向けにやさしくまとめてみました。制度そのものの解説は別記事に譲り、ここでは「実際の手続き」に絞って進めていきますね。
36協定の届出に必要なもの(おさらい)
まず、届出に何が必要かを確認しておきましょう。準備するものは大きく2つです。
様式(一般用と特別条項用)
36協定届には、決められた様式があります。原則の上限(月45時間・年360時間)の範囲内で結ぶ場合と、特別条項を付ける場合とで、使う様式が分かれています。特別条項付きのほうが記入項目が多くなるので、自社がどちらに当てはまるかを先に確認しておきましょう。
過半数代表者または労働組合
36協定は、労働者の過半数で組織する労働組合があればその組合と、なければ労働者の過半数代表者と結びます。労働組合がない会社では、まずこの過半数代表者を適正に選ぶところからスタートします。

36協定の締結から届出までの流れ

では、実際の流れを順番に見ていきましょう。
労働組合がない場合は、過半数代表者を選びます。管理監督者でないこと、投票や挙手など民主的な方法で選ぶことが必要です。会社が指名するのはNGなので注意しましょう。
対象業務・対象者・残業させる理由・延長できる時間・有効期間などを、労使で話し合って決めます。特別条項を付ける場合は、その内容や健康確保措置も定めます。
決めた内容を、所定の36協定届の様式に記入します。労使双方の署名・記名押印など、必要事項に漏れがないかを確認します。控え用にコピーもとっておきましょう。
記入した36協定届を、事業場を所轄する労働基準監督署へ提出します。窓口・郵送のほか、電子申請でも届け出られます。残業をさせる前に届け出ておくことが大切です。
届け出た36協定の内容を、従業員に周知します。事業場の見やすい場所への掲示や、書面の交付、社内ネットワークへの掲載などの方法で、いつでも確認できる状態にしておきます。
36協定届の主な記入項目
36協定届に書く主な項目を整理してみました。記入前に、何を決めておく必要があるかの確認にも使ってください。
| 記入項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業の種類・名称・所在地 | 事業場ごとの基本情報 |
| 対象となる業務・労働者数 | 残業をさせる業務と、その人数 |
| 時間外労働をさせる理由 | 「臨時の受注」など具体的な事由 |
| 延長できる時間 | 1日・1か月・1年それぞれの上限 |
| 有効期間 | 協定が有効な期間(1年が一般的) |
| 協定の当事者 | 過半数代表者または労働組合の情報 |
届出のやり方と提出先
所轄の労働基準監督署/電子申請も可
36協定届の提出先は、その事業場を管轄する労働基準監督署です。窓口へ持参するほか、郵送でも提出できます。最近では、電子申請システム(e-Gov)を使ってオンラインで届け出ることもできます。電子申請なら、移動の手間がなく、控えもデータで残せて便利ですよ。
事業場ごとの届出と本社一括届出
36協定は、原則として事業場ごとに届け出ます。ただし、複数の事業場がある会社で、内容が同じ協定であれば、本社で一括して届け出られる「本社一括届出」の仕組みもあります。支店や営業所が多い会社は、この方法を使うと手続きをまとめられます。
運用で気をつけたいこと

有効期間が切れる前に更新する
36協定には有効期間があり、1年間とするのが一般的です。期間が切れると残業をさせる根拠がなくなってしまうため、満了の前に新しい協定を結び、改めて届け出る必要があります。毎年同じ時期に更新するようスケジュール化しておくと、出し忘れを防げます。
【ポイント】実際の残業が協定の範囲内かを毎月チェック
協定を届け出ただけで安心せず、実際の残業時間が協定で定めた範囲や法律の上限を超えていないか、毎月チェックすることが大切です。気づかないうちに上限を超えていると、罰則の対象になってしまいます。
届出前の残業はさせない
36協定は、労働基準監督署に届け出てはじめて効力を持ちます。締結しただけで届出が済んでいない状態で残業させると、協定の効力がなく違反になってしまいます。新年度の協定は、残業が始まる前に余裕をもって届け出ておきましょう。
36協定の届出に関するよくある質問(FAQ)
- 過半数代表者はどうやって選べばいいですか?
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投票や挙手、話し合いなど、労働者の過半数が支持していることがわかる民主的な方法で選びます。管理監督者は代表者になれません。また、会社が特定の人を指名したり、親睦会の幹事を自動的に代表にしたりするのは認められず、そうした手続きで結んだ協定は無効になるおそれがあります。選出の過程も記録に残しておくと安心です。
- 36協定の様式はどこで入手できますか?
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厚生労働省や各労働局のサイトからダウンロードできます。原則用と特別条項用で様式が分かれており、記載例も公開されています。様式は改定されることがあるため、提出前に最新のものかどうかを確認してから使うことをおすすめします。電子申請の場合は、システム上で入力する形になります。
- 支店が複数あるときは事業場ごとに届け出ますか?
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原則として事業場ごとに届け出ます。ただし、複数の事業場で協定の内容が同じであれば、本社でまとめて届け出る「本社一括届出」が利用できます。支店や営業所が多い会社では手続きを効率化できるので、条件に当てはまるか確認してみるとよいでしょう。
- 届出をしないで残業させたらどうなりますか?
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36協定は届け出てはじめて効力を持つため、届出をしないまま残業させると労働基準法違反になります。締結だけして届出を忘れているケースも違反にあたります。罰則の対象にもなりうるので、残業をさせる前に必ず届出を済ませておきましょう。
- 毎年届け出る必要がありますか?
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有効期間を1年としている場合は、毎年締結し直して届け出る必要があります。期間が切れると残業をさせる根拠がなくなるため、満了前の更新が欠かせません。多くの会社では年度替わりに合わせて更新しています。出し忘れを防ぐため、更新の時期を社内のスケジュールに組み込んでおくとよいでしょう。
36協定の届出は、「過半数代表者を適正に選ぶ」「内容を決めて様式に記入する」「残業させる前に労基署へ届け出て周知する」という流れが基本です。有効期間が切れる前の更新と、実際の残業が範囲内かのチェックも忘れずに。毎年の手続きとして仕組み化しておけば、出し忘れや違反を防げますよ。




