
年金事務所の「健康保険・厚生年金保険の被保険者資格及び報酬等の調査」の対応について、調査前の前編、調査当日とその後の対応の後編に分けて、まとめます。
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格及び報酬等の調査とは

年金事務所によって様式は異なるものの、このような案内の書類です。
これはどういう調査なのでしょうか?年金事務所のHPによれば次の通りで、断れないタイプの調査です。
(4)事業所調査の受忍義務
日本年金機構HPより
事業所調査については、厚生年金保険法第100条において「厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入つて関係者に質問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。」とされ、また、同第102条において、事業主が、正当な理由がなくて「第百条第一項の規定に違反して、文書その他の物件を提出せず、又は当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。」は6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。
調査のポイント
どういう点をチェックする調査なのでしょうか?実体験は今回の後編でまとめますが、一般的には次のような点を確認されます。
- 被保険者の資格や報酬について適正な届出が行われているか
- 被保険者の加入や賞与支払に関する届出の未提出
- 報酬月額の届出記載誤り
- これらの不備・不足の場合は再提出や是正
具体的には、
- アルバイト/パートの加入漏れはないか
- 入社時から加入しているかどうか
- 資格取得の標準報酬はあっいるか
- 算定基礎、賞与届は適正にされているか
- 月額処理をちゃんとしているか
- 60歳以上で従業員はちゃんと加入しているか
とかでしょうか?
年金事務所の資格及び報酬等の調査必要なもの
- 賃金台帳、給与明細書等、給与額が確認できるもの。
- 出勤簿またはタイムカード
- 所得税徴収高計算書(源泉所得税の領収書)の直近分
- 労働者名簿、雇用契約書、就業規則、給与規定
- 本通知書
昔行ってから数年たっているので、何を聞かれたかもあまり覚えいないのです。まあ、定期的なもので、持って行った書類をチェックされるという流れですね。
社会保険の加入条件
加入用件をおさらいするとこんな感じです。
(4)パートタイマー・アルバイト等を雇用した場合
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20150422.html
パートタイマー・アルバイト等が被保険者の対象になるか否かの判断は、同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の所定労働時間および所定労働日数を基準に判断することとなります。
≪判断基準≫
次の(ア)及び(イ)が一般社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。
(ア)労働時間
1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
(イ)労働日数
1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
また、一般社員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、下記の5要件を全て満たす方は、被保険者になります。 週の所定労働時間が20時間以上あること
雇用期間が1年以上見込まれること
賃金の月額が8.8万円以上であること
学生でないこと
常時101人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること(2024年6月からは51名以上)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20150422.html
社会保険の加入基準を満たしているのに加入を怠った場合は、入社日または加入要件を満たした日まで遡って、最大2年間の保険料支払いを要求されることがあるそうです。
きちんとやっているつもりでもモレはあるので怖いところです。(しかも、今の会社はケチって社労士を使わないから色々自信がないです。)
4年に一度の調査が多いと聞きますが、今回も無事に乗り越えたいところです。
続きは、「年金事務所「資格及び報酬等の調査」対応履歴(後編)~当日の対応、調査後の対応~」です。よかったらご覧ください。
