ハローワークの雇用保険給付課から「就職状況の確認について(依頼)」という文書が会社に届くことがあります。中に入っているのが「就職状況証明書」と書かれているものです。
この書類は、採用した人が本当にその日から働いているのかを、会社側の記録で証明するためのものです。出勤簿・賃金台帳・雇用契約書のコピーもセットで求められるので、届いた担当者としては「何か疑われているのかな」と身構えてしまうと思います。
ただ、これは会社が悪いことをしたから来るものではなく、雇用保険の給付が正しく支払われたかを確認するためにハローワークが随時行っている調査確認です。淡々と記録どおりに書けば終わります。今回は、その就職状況証明書の書き方と記入例、添付書類のそろえ方をまとめました。
【この記事でわかること】
- 就職状況証明書は、雇入年月日と出勤・賃金の実態をハローワークへ証明する書類
- 根拠は雇用保険法第76条第1項。回答しない・偽って回答すると罰則がある
- 採用年月日は「試用期間・研修期間の初日」を書く。ここを間違えると差戻しになりやすい
- 出勤状況は「〇(出勤・年休)」「×(欠勤・育休)」「/(会社の休み)」の3種類で埋める
- 添付は出勤簿またはタイムカード・賃金台帳・労働者名簿・雇用契約書の写し。証明するのは法人の代表者
就職状況証明書(参考様式第5号)とは
就職状況証明書とは、採用した人がいつから実際に働き始め、どれだけ出勤して、いくら賃金を支払ったのかを、事業主がハローワークに対して証明する書類です。ハローワークが送ってくる「就職状況の確認について(依頼)」に同封されて届きます。
様式の右上に (参考様式5号) と入っているのが目印です。参考様式という名前のとおり、全国一律の法定様式ではなく、各ハローワークが調査で使っている様式なので、安定所によって多少レイアウトが違うことがあります。

どんなときに会社へ届くの?
採用した人が、直前まで雇用保険の失業給付(基本手当)を受けていた場合に届きます。本人がハローワークへ就職の届出をした、またはハローワークの紹介で採用が決まった、というケースです。
依頼文には「就職の届をされた方や紹介をさせていただきその採用を確認させていただいた方について、随時、雇入年月日等の調査確認を行っております」と書かれています。つまり就職の届を出した人やハローワークの紹介で採用が決まった人について、随時行われる確認ですね。
そのため、届いた会社が何か疑われている、ということではありません。前職の離職から自社の入社までの間に失業給付が出ていた人を採用していれば、どの会社にも届くことがあります。
なぜハローワークは就職状況を確認するの?
失業給付は「働いていない期間」に対して払われるものなので、実際に働き始めた日がずれると、払いすぎ・払い足りないが起きるからです。
特に確認されるのが次の3点です。
- 本人が申告した就職日と、会社の記録上の入社日が一致しているか
- 入社日より前に、試用期間・研修・アルバイトなどで働いていた期間がないか
- 1年を超えて働く見込みがあるか(再就職手当の支給要件のひとつ)
依頼文の末尾にも「雇用日前に就労期間があればその期間についても証明及び関係書類の添付をお願いします」と書かれています。ここを特に確認したい、ということだと思っていいです。
採用した人が再就職手当を申請している場合は、この証明の内容がそのまま支給の可否と金額に影響します。再就職手当は、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることや、1年を超えて勤務することが確実であることなどが要件になっているためです。
答えないとどうなる?
雇用保険法に基づく報告命令なので、放置するのはやめたほうがいいです。任意のアンケートではありません。
行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者若しくは受給資格者……を雇用し、若しくは雇用していたと認められる事業主……に対して、この法律の施行に関して必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。(雇用保険法第76条第1項)
この命令に違反して報告をしなかったり、偽りの報告をしたりした場合は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と定められています(雇用保険法第83条第3号)。しかも第86条の両罰規定があるので、書いた担当者だけでなく法人にも罰金刑が科されます。
さらに、事業主が偽りの報告や証明をしたために失業等給付が支給されてしまった場合、会社が受給者と連帯して返還や納付を命じられることがあります(雇用保険法第10条の4第2項)。本人に頼まれて日付を調整してあげる、というのが一番やってはいけないパターンですね。
とはいえ、記録どおりに書けば何も起きません。難しく考えずに、出勤簿と賃金台帳を見ながら埋めるだけで大丈夫です。
「就職状況の確認について(依頼)」の見方
証明書を書く前に、同封されている依頼文(鑑文)を読みます。ここに、誰について・いつまでに・何を送るかが全部書いてあります。
まず確認する4か所
| 確認する場所 | 何を見るか |
|---|---|
| 本文の氏名欄 | 対象者が誰か。同姓の従業員がいるときは生年月日で特定する |
| (参考)本人の生年月日 | 労働者名簿・雇用契約書の生年月日と一致しているか |
| 雇用保険資格取得年月日 | 会社が資格取得届で届け出た日。ここと採用年月日がずれていないか |
| 回答期限・送付先 | 「令和◯年◯月◯日までにご回答ください」の日付と、宛先の安定所名・住所 |
特に見てほしいのが雇用保険資格取得年月日です。ここに書かれている日付は、会社が雇用保険被保険者資格取得届で届け出た日そのものなので、これから書く採用年月日と食い違うと必ず問い合わせが来ます。資格取得届の書き方は雇用保険被保険者資格取得届の記入例、書き方など申請方法を徹底解説!でまとめています。

回答期限は、だいたい発信日から3〜4週間後に設定されています。給与計算の締めをまたぐと賃金台帳が出せないので、届いたらすぐ「どの月の給与まで揃うか」を確認しておくといいですよ。
求められる書類5点の一覧
依頼文の「記」以下に、送付する書類が番号付きで並んでいます。中身はこの5点です。
| 書類 | 範囲 | 必須かどうか |
|---|---|---|
| 出勤簿またはタイムカードの写し | 初出勤日を含む月以降の分 | 必須 |
| 賃金台帳の写し | 初出勤日を含む月以降の分 | 必須 |
| 労働者名簿の写し | 対象者の分 | 無ければ可 |
| 雇用契約書(雇入通知書)の写し | 対象者の分 | 必須 |
| 就職状況証明書 | 同封の様式 | 必須(証明して返送) |
労働者名簿だけ「無ければ可」となっていますが、手元にあるなら一緒に出しておくといいと思います。労働者名簿は労働基準法第107条で作成が義務づけられている法定三帳簿のひとつなので、無いなら無いで作っておいたほうがいいです。社労士さんに依頼している会社なら、「無ければこちらで作成します」と対応してもらえることもあります。
賃金台帳については、依頼が届いた時点で最新の1か月分がまだ締まっていないことがあります。その場合は回答期限の直前の給与計算まで待って、締め後に出すのが確実です。
「前職情報がわかる資料」って?
顧問社労士に相談すると、依頼文に書かれた5点に加えて「前職情報がわかる資料」を求められることがあります。依頼文が求めているのは、あくまで自社で正式な雇用日より前に働いていた期間(研修・アルバイトなど)の証明ですが、その前後関係を確認するために前職の在籍期間もあわせて見る、という趣旨です。
具体的には、こういうものを指しています。
- 採用時に本人から出してもらった雇用保険被保険者証(本人の雇用保険被保険者番号がわかる)
- 履歴書・職務経歴書(前職の在籍期間がわかる)
- 前職の退職日がわかるもの(離職票の写し、退職証明書など)
- 自社で入社前にアルバイト・研修をしていた場合は、その期間の出勤簿と賃金台帳(依頼文が本来求めているのはここです)
ポイントは4つ目です。入社日より前に自社で働いていた期間があるなら、その分の記録も出すということですね。1〜3つ目は、前職の退職日と自社の採用日がつながっているかを確認するための補足資料という位置づけです。研修を入社日の前週にしていた、内定後に数日だけ手伝ってもらった、という場合はここも確認してください。黙っていると、あとで本人の給付が不正受給扱いになりかねないので、正直に書いたほうがお互いのためです。
就職状況証明書の記入例、書き方、注意点
実際の記入例です。総務経理マスター株式会社が、令和8年7月1日に採用した大原美咲さんについて証明した、という設定で埋めています。

上の例の様に書いてもらえれば、問題ないと思います。以下、項目ごとに補足します。
氏名・生年月日・住所(電話番号)
労働者名簿と雇用契約書のとおりに書きます。依頼文の「(参考)本人の生年月日」と一致するか必ず突き合わせてください。
生年月日欄は元号が「平成」で印字されていることが多いです。昭和生まれの人なら平成を二重線で消して昭和と書けば大丈夫です(新しい様式をもらい直す必要はありません)。
住所・電話番号は本人のものです。会社の住所を書いてしまう間違いが時々あるので注意してください。電話番号は携帯番号で問題ありません。
面接年月日/職種
面接年月日は、実際に面接をした日です。複数回面接している場合は、採用を決めた最終面接の日でいいと思います。日程が記録に残っていないときは、採用担当に聞いて分かる範囲で書きます。
職種は「事務職」「介護職」「営業」のように、労働条件通知書の業務内容と合う書き方にします。求人票を出していた場合は、求人票の職種名に寄せておくと安定所側で照合しやすいです。
採用年月日(一番間違えやすい欄)
ここが最重要です。様式にも注意書きが印字されています。
*雇用関係に入った日を記入してください。試用期間・臨時の期間又は研修期間のある場合は、その期間の最初の日が採用日となります。
つまり、本採用になった日ではありません。試用期間の初日、研修の初日が採用日です。
例えば「6月25日から3日間の入社前研修、7月1日から試用期間3か月、10月1日に本採用」という流れなら、採用年月日は6月25日になります。研修に賃金を払っていればなおさらです。
括弧の「採用内定日」は、内定通知を出した日です。分かる場合だけ書けば大丈夫です。

【雇用保険でいう「就職日」との関係】
この様式の採用年月日はあくまで「雇用関係に入った日」ですが、本人がハローワークへ申告する「就職日」は少し考え方が違います。ハローワーク墨田の事業主向け資料では、週の所定労働時間が20時間以上になる就労、つまり雇用保険に加入する就労を「就職」として扱っています。採用証明書に書く雇い入れ日も、週20時間以上となる労働契約の初日とされています。
そのため、入社前の研修が週20時間未満の短時間だった場合は、この様式の採用年月日(研修初日)と、本人が申告している就職日(週20時間以上になった日)がずれることがあります。ずれる場合は、証明書の余白にその旨を一言添えておくと親切です。安定所によって扱いが違うこともあるので、迷ったら依頼文の電話番号に聞いてください。
現在の勤務状況/雇用形態/1年を超えて雇用する見込み
現在の勤務状況は「〔◯月◯日現在勤務中〕」か「〔◯月◯日退職〕」のどちらかを埋めます。書類を書いている日で判断してください。両方空欄のまま出すと必ず返ってきます。
雇用形態は「常用・臨時・パート・派遣」から丸で囲みます。フルタイムの正社員・契約社員なら常用です。判断に迷ったら、労働条件通知書の契約期間と所定労働時間を見て決めます。
その下の「1年を超えて雇用する見込み(イ有・ロ無)」は、再就職手当の支給要件に直結する重要な欄です。1年を超えて勤務することが確実であることが要件のひとつになっているためです。
契約期間の定めがない正社員なら「イ有」です。有期契約の場合は、契約期間・更新条項・これまでの更新の実態から、1年を超えて引き続き雇用されることが確実といえるかどうかで判断します。更新の可能性があるというだけでは足りないので、迷ったら安定所に相談してください。期間満了で終了することが決まっている3か月契約などは「ロ無」になります。ここは実態で書いてください(本人に有利にしようとして事実と違う丸をつけると、会社側にも返還や納付の問題が出ることがあります)。
勤務場所
様式に「勤務場所が支店・工場等事業所の所在地と異なる場合に記入してください」と書かれているとおり、本社勤務なら空欄で問題ありません。
雇用保険の適用事業所と実際の勤務先が違う場合、たとえば本社で一括して雇用保険の手続きをしていて、本人は支店や施設で働いている、というときだけ埋めます。この場合は施設名と所在地を書きます。
出勤状況(〇・×・/の書き分け)
就職した月と、その翌月の2か月分をカレンダー形式で埋めます。記号は様式に印字されているとおり3種類です。
| 記号 | 書く日 |
|---|---|
| 〇 | 出勤した日(年次有給休暇を含む) |
| × | 欠勤した日(育児休業を含む) |
| / | 会社が休みの日(所定休日) |
年次有給休暇が「×」ではなく「〇」なのがポイントです。有休は賃金が発生する日なので出勤扱いになります。
入社日より前の日はどうするか、という質問をよく見かけます。入社日前の日は会社との雇用関係がないので、斜線か空欄で構いません。前日までを「/」で埋めたうえで、余白に「7月1日入社」と書き添えておくと分かりやすいです。
「( 年 月)」の欄も忘れずに埋めてください。西暦か和暦かは印字に合わせます。30日までしかない月の31日は斜線で潰します。
ここで書いた出勤日数と、添付する出勤簿・賃金台帳の労働日数が合わないと差戻しになります。手で埋める前に必ず出勤簿を横に置いて数えてください。
賃金支払状況(締切日・支払日・就労日数・賃金支払総額)
上段に賃金計算締切日と支払日を書きます。「毎月20日締め、翌月10日払い」なら、締切日欄に20、支払日欄は「翌月」を丸で囲んで10です。当月払いなら「当」を丸で囲みます。
下段の表は2行あるので、原則として支払済みの2か月分を書きます。まだ1か月分しか支払っていなければ1行だけで大丈夫です。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 支払対象月 | 賃金計算期間が属する月(例:令和8年7月分) |
| 就労日数 | その計算期間に実際に働いた日数。有休を含める扱いが一般的 |
| 賃金支払総額 | 控除前の総支給額。通勤手当を含む |
賃金支払総額は社会保険料や税金を引く前の総支給額を書きます。手取り額を書いてしまうと賃金台帳と合わなくなるので気をつけてください。
賃金台帳と源泉徴収簿を兼用している会社だと、どちらの金額を見ればいいか迷うことがあります。両者の違いは「賃金台帳」と「源泉徴収簿」両方いるの?で整理しているので、よかったらご覧ください。

担当者名と証明欄(証明するのは誰?)
担当者名は、実際に書いた人の氏名と、その所属(部・課・係)です。安定所から問い合わせが来る先になるので、電話が取れる人を書いてください。
下部の証明欄には、所在地・電話番号・事業所名・代表者名を記入します。ここで一番間違えやすいのが代表者名です。
原則は雇用保険の適用事業主が証明します。本社が一括して雇用保険の手続きをしているなら本社(法人の代表者)の証明、支社ごとに手続きをしているなら支社の証明です。
ハローワークの案内資料でも、代表が証明すべきところを施設長や病院長が証明してしまい、取り直しになった例が挙げられています。施設や店舗で働いている人の書類だと、つい現場の長の名前を書いてしまいがちなので注意してください。
押印については、法令上の押印義務はなくなっている書類が多いのですが、参考様式には「事業主印」の枠が残っているものもあります。枠があれば押しておくのが無難です。訂正するときも訂正印を押しておくと、後から確認の電話が来にくくなります。
証明日は、必ず就職日以降の日付にしてください。就職日より前の日付で証明すると、まだ働いていない時点の証明になってしまいます。
様式はどこで手に入る?
就職状況証明書は、依頼文と一緒に会社へ郵送されてきます。ハローワークのサイトで一般公開されている法定様式ではないので、基本的に自分でダウンロードするものではありません。
手元の様式を汚してしまった、原本を失くしたという場合は、依頼文に書かれている雇用保険給付課の電話番号に連絡して再送してもらってください。依頼文に発信番号(「〇〇発0818第3号」のような番号)が入っているので、それを伝えると話が早いです。
コピーを取って使うのは問題ありません。むしろ、下書き用に1部コピーしてから清書するほうが安全だと思います。
添付書類の準備のしかた
証明書そのものより、添付書類をそろえるほうが手間がかかります。それぞれ何を出せばいいかを整理します。

出勤簿またはタイムカード
初出勤日を含む月以降の分を出します。出勤簿とタイムカードの両方がある会社は、どちらか一方で構いません。打刻時刻がそのまま出ているタイムカードのほうが、実態が伝わりやすいです。
出勤簿は労働基準法に名前が出てくる帳簿ではありませんが、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)で、始業・終業時刻を記録し保存することが求められています。賃金台帳に労働日数・労働時間数を書く(労働基準法施行規則第54条)ための元データでもあるので、実質的には必須の帳簿ですね。
紙のタイムカードだと、コピーしたときに打刻が薄くて読めないことがあります。読めない部分は手書きで補記して、補記した旨を書き添えておくと差戻されにくいです。
クラウドの勤怠システムを使っている会社なら、月次の出勤簿をPDFで出力できるので楽です。まだ紙のタイムカードで運用している会社だと、こういう調査依頼のたびにコピー作業が発生します。無料から使える「スマレジ・タイムカード
」のようなサービスもあるので、この機会に見直してみるのもいいと思います。
賃金台帳
こちらも初出勤日を含む月以降の分です。労働基準法第108条で各事業場ごとに調製し、賃金支払の都度遅滞なく記入することが義務づけられています。
記載事項は労働基準法施行規則第54条で決まっています。
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類ごとの額
- 賃金の一部を控除した場合はその額
給与明細の控えを賃金台帳の代わりに出す会社もありますが、明細だと労働日数や労働時間数が入っていないことがあります。上の項目が入っているかを確認してから送ってください。
労働者名簿(無ければ可)
労働基準法第107条で、各事業場ごとに、日々雇い入れられる者を除く各労働者について作ることになっています。記載事項は氏名・生年月日・履歴に加えて、労働基準法施行規則第53条で次のものが定められています。
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入の年月日
- 退職の年月日及びその事由(解雇の場合はその理由を含む)
- 死亡の年月日及びその原因
ちなみに、常時30人未満の労働者を使用する事業では「従事する業務の種類」の記入は不要です(労働基準法施行規則第53条第2項)。小さい会社なら少し楽になりますね。
ここに書く「雇入の年月日」が、証明書の採用年月日とずれていると当然おかしいので、送る前に見比べてください。作り方は労働者名簿の記入例と書き方~必要性やエクセルやマクロでの作り方などを紹介~でまとめています。

雇用契約書(雇入通知書)
雇用契約書、または雇入通知書(労働条件通知書)の写しを出します。労働条件通知書を兼ねた雇用契約書なら、それ1枚で大丈夫です。雇用契約書なら双方の署名・記名押印があるはずですが、会社から一方的に交付する労働条件通知書の形でも、労働条件が書面で明示されていれば問題ありません(労働基準法第15条)。
ハローワークが見ているのは主にこの3点です。
- 契約期間(期間の定めの有無・更新の有無)=「1年を超えて雇用する見込み」の裏付け
- 始業・終業時刻と1週間の所定労働時間=雇用保険の加入要件(週20時間以上)の裏付け
- 契約の開始日=採用年月日の裏付け
試用期間を設けているなら、その期間も契約書に書かれているはずです。証明書の採用年月日と突き合わせて矛盾がないかを見てください。契約書の書式そのものを見直したい場合は雇用契約書(労働条件通知書兼用)のテンプレートを用意しています。

コピーの取り方と個人情報の扱い
コピーは「対象者の分だけ」にします。賃金台帳や出勤簿が他の従業員と同じ用紙に載っている形式だと、そのままコピーすると関係のない人の給与額まで送ってしまいます。
他人の欄は付箋やマスキングテープで隠してからコピーするか、システムから対象者だけを抽出して出力してください。マスキングした旨を余白に書いておけば、隠したこと自体は問題になりません。
原本は送りません。すべて写しです。原本を送ってしまうと戻ってこないことがあるので、送る前に「写し」であることを確認してください。
提出先・提出期限・送り方
提出先は、依頼文の下部に書かれている送付先です。会社の管轄安定所ではなく、依頼を出してきた安定所に送ります。本人が住んでいる地域の安定所から届くことが多いので、自社の管轄とは違うことがよくあります。
提出期限は依頼文に明記されています。だいたい発信日から3〜4週間後です。
期限に間に合わないときは
賃金の締めが期限の直後に来る、担当者が不在といった事情で間に合わないことがあります。その場合は、期限が来る前に依頼文の電話番号へ連絡して事情を伝えてください。
黙って遅れるのが一番よくないです。連絡さえすれば待ってもらえることがほとんどです。本人の再就職手当の支給が止まったままになるので、本人のためにも早めに動いたほうがいいと思います。
郵送・持参・電子の可否
基本は郵送です。依頼文に送付先の郵便番号と住所が書かれているので、そこへ送ります。個人情報が入った書類なので、普通郵便より簡易書留のほうが安心ですね。
近ければ持参しても構いません。窓口に出せばその場で不備を見てもらえるので、初めて書く人には持参をおすすめします。
電子申請については、雇用保険の各種届出は電子申請に対応していますが、この参考様式による調査回答は、依頼文に書かれた方法に従うのが基本です。メール送付やFAXの可否も安定所によって扱いが違うので、急ぐときは電話で聞いてください。
差戻し・書き直しになりやすい例
安定所から電話がかかってきやすいパターンをまとめました。送る前のチェックに使ってください。
| やりがちな書き方 | 正しい書き方 |
|---|---|
| 本採用日を採用年月日に書いた | 試用期間・研修期間の初日を書く |
| 採用年月日と雇用保険資格取得年月日がずれている | ずれる理由(週20時間未満の期間があった等)を余白に書く |
| 法人の代表者ではなく施設長・支店長が証明した | 雇用保険の適用事業主(通常は法人の代表者)が証明する |
| 証明日が就職日より前になっている | 就職日以降の日付にする |
| 年次有給休暇の日を「×」にした | 有休は出勤扱いなので「〇」 |
| 出勤状況の〇の数と賃金台帳の労働日数が合わない | 出勤簿を見ながら数え直す |
| 賃金支払総額に手取り額を書いた | 控除前の総支給額を書く |
| 現在の勤務状況が両方空欄 | 勤務中か退職かのどちらかを必ず埋める |
| 他の従業員の給与が写ったままコピーした | 対象者以外はマスキングする |
特に気をつけたいのが1番目と2番目です。採用年月日は「雇用関係に入った日」であって、本採用の日でも、雇用保険に入った日でもない、というのを押さえておけば大きな間違いは起きないと思います。
提出後はどうなる?
送ったあと、会社に結果の通知が来ることは基本的にありません。内容に問題がなければそのまま終わりです。
控えの残し方
提出前に、証明書と添付書類の全部をコピーして保管してください。あとで「あのとき何日と書いたか」を聞かれることがあるからです。
労働者名簿・賃金台帳などの労働関係に関する重要な書類は、労働基準法第109条で5年間の保存が必要です。ただし当分の間は3年とする経過措置があります(労働基準法附則第143条第1項)。調査の回答控えも、この書類群と一緒に本人ファイルへ綴じておけば管理が楽です。
その後に追加で聞かれること
本人が再就職手当を受けた場合、半年後にもう一度書類を求められることがあります。就業促進定着手当という給付があり、その申請に就職日から6か月間の出勤簿と賃金台帳(または給与明細)の写しが必要になるためです。
このときは本人から会社へ依頼が来る形になります。今回の調査で使った書類をそのまま延長して出せばいいので、控えを残しておくと後の確認が楽です。
なお、対象者が短期間で辞めてしまった場合でも、会社からハローワークへ改めて退職を報告する義務はありません。通常どおり資格喪失の手続きと離職票の交付をすれば大丈夫です。離職票の書き方は雇用保険・離職証明書(離職票)の書き方を記入例で分かりやすく解説!でまとめています。

まとめ
就職状況証明書は、書く欄自体は多くありません。押さえるところは3つだけだと思います。
- 採用年月日は試用期間・研修期間の初日を書く
- 出勤状況と賃金支払状況は、出勤簿・賃金台帳と数字を必ず一致させる
- 証明するのは雇用保険の適用事業主(通常は法人の代表者)、証明日は就職日以降
あとは依頼文に書かれた5点をそろえて、期限までに送るだけです。本人に有利になるように日付を動かす、といったことさえしなければ、怖い書類ではありません。
届いたら早めに出勤簿と賃金台帳を確認しておくと、あとの作業が軽くなります。参考にしてください。
就職状況証明書のQ&A
- 本人の同意を取らずに賃金台帳や出勤簿を送っていいの?
-
大丈夫です。法令に基づく報告なので、個人情報保護法でいう第三者提供の例外にあたります。とはいえ、本人に「ハローワークから照会が来たので回答します」と一声かけておくと、あとで話がこじれません。
- 対象者がもう退職してしまったけど、書かないとダメ?
-
書きます。調査の対象は在籍していた期間なので、退職済みでも回答が必要です。「現在の勤務状況」欄の退職側に日付を入れて、在籍中の出勤状況と賃金を証明してください。
- 対象者が外国人の場合、何か追加で気をつけることはある?
-
証明書の書き方自体は日本人と同じです。ただ、外国人を雇い入れたときは労働施策総合推進法第28条の外国人雇用状況の届出をしているはずなので、そこで届け出た雇入れ年月日と、証明書の採用年月日がずれていないかは見ておいてください(特別永住者と、在留資格が「外交」「公用」の人は届出の対象外です)。氏名はパスポート表記に合わせるのが無難です。
- 間違えて書いてしまったときは、修正液で直していい?
-
やめたほうがいいです。二重線を引いて訂正印を押す方法で直してください。訂正印は記入担当者の印か代表者印です。大きく書き損じたなら、コピーを取っておいた下書き用の用紙で清書し直すほうが早いですね。
- パートやアルバイトでも証明書は来るの?
-
来ます。雇用保険に加入する働き方(週の所定労働時間20時間以上)であれば、雇用形態は関係ありません。証明書の雇用形態欄で「パート」に丸をつければ大丈夫です。
- 採用証明書とは違う書類なの?
-
別物です。採用証明書は、本人が再就職手当などを申請するために会社へ依頼してくるもので、本人経由でハローワークへ提出されます。就職状況証明書は、ハローワークが会社へ直接送ってくる調査の様式です。書く内容は似ていますが、依頼元と提出ルートが違います。
- 給与計算を外部に委託していて、賃金台帳が手元にない場合は?
-
委託先に出力を依頼してください。労働基準法第108条の作成義務は会社側にあるので、「委託しているから出せません」は通りません。期限に間に合いそうになければ、先に安定所へ連絡を入れておくと安心です。
- 同じ人について、前にも同じような照会に答えた気がするけど二重?
-
本人が提出した採用証明書の証明と、今回の調査は別の手続きなので二重ではありません。控えを見て前回と同じ日付・同じ日数になっているかを確認したうえで、改めて証明してください。前回と食い違うと確認の連絡が来ます。
参考リンク
- 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)|e-Gov 法令検索(第10条の4・第76条・第83条・第86条)
- 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)|e-Gov 法令検索(第107条・第108条・第109条・附則第143条)
- 労働基準法施行規則|e-Gov 法令検索(第53条 労働者名簿の記載事項・第54条 賃金台帳の記載事項)
- 再就職手当関係書類の記入方法(事業主・証明担当者用)|ハローワーク墨田 雇用保険給付課
- 就職促進手当について|厚生労働省
- 再就職後の賃金が離職前の賃金より低い場合には「就業促進定着手当」が受けられます|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
- 基本手当について|ハローワークインターネットサービス
- 外国人雇用状況の届出について|厚生労働省