雇用契約書(労働条件通知書兼用)のテンプレート

雇用契約書(労働条件通知書兼用)のテンプレート

新しく人を雇うとき、毎回ゼロから雇用契約書を作っていると、どうしても明示すべき項目が抜けてしまいます。私も最初の頃は、賃金は書いたのに就業場所の「変更の範囲」が漏れていた、ということがありました。

そこで便利なのが、雇用契約書と労働条件通知書を1枚で兼ねた「兼用版」のテンプレートです。会社から本人へ労働条件を知らせる役割と、双方が合意した証拠を残す役割を、1枚でまとめられます。

この記事では、そのまま使える兼用版テンプレート(Excel・Word)と記入例を配布したうえで、厚生労働省のモデル様式のダウンロード先、必ず入れる項目、2024年4月に追加された明示事項、そして2026年10月1日から追加される明示事項までまとめました。これから人を雇う予定の総務・人事の方の準備用に参考にしてください。

タップできるもくじ

雇用契約書(労働条件通知書兼用)のテンプレート【DL先出し】

先に結論から。当サイトで作成した兼用版テンプレートを下に置いています。厚生労働省のモデル労働条件通知書(令和8年10月1日以降用)をもとに、末尾へ合意文と署名欄を足して、そのまま雇用契約書として使える形にしたものです。

当サイトの兼用版テンプレート(Excel・Word)

  • Excel版・Word版とも「ひな形」と「記入例」の2つが入っています。ひな形のほうを自社の内容に書き換えて使ってください。
  • 2024年4月の追加項目(変更の範囲・更新上限・無期転換)と、2026年10月からの追加項目(待遇の相違等について説明を求めることができる旨)の欄まで入っています。
  • 記入例の会社名・氏名・住所・金額はすべて架空のサンプルです。自社の就業規則と数字が食い違わないか確認してから交付してください。

記入例(記入済みサンプル)

どの欄に何を書くのか迷いやすいので、記入済みのサンプルも用意しました。契約社員(有期・1年契約)を雇うケースを想定しています。

労働条件通知書兼雇用契約書の記入例(記入済みサンプル)

厚生労働省のモデル様式(Word/PDF)のダウンロード先

公式のモデル様式をそのまま使いたい場合は、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」から落とせます。ページの階層が深くて探しにくいので、様式ごとの直リンクをまとめておきます。

注意したいのが、現在は「令和8年9月30日までの様式」と「令和8年10月1日以降の様式」の2種類が並んで置かれていることです。交付日がどちらに当たるかで選んでください。

令和8年9月30日までに交付する場合(現行様式)

様式の種類WordPDF
一般労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
短時間労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
派遣労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
建設労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
林業労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版

令和8年10月1日以降に交付する場合(新様式)

様式の種類WordPDF
一般労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
短時間労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
派遣労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
建設労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版
林業労働者用(常用、有期雇用型)Word版PDF版

新様式は、あとで説明する「待遇の相違等について説明を求めることができる」旨の欄が「その他」欄に追加されています。それ以外の構成は現行様式とほぼ同じです。

【リンク切れのときは】

厚労省はファイル差し替え時にURLが変わることがあります。上のリンクが開かない場合は、主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)から「労働条件通知書」を探してください。

どの様式を選ぶ?(就業形態と交付日の2軸)

様式は「誰を雇うか(就業形態)」と「いつ交付するか(交付日)」の2つで決まります。表にすると次のとおりです。

様式の種類こんな人を雇うとき
一般労働者用(常用・有期雇用型)正社員・契約社員など、フルタイムで雇う一般的なケース
短時間労働者用パート・アルバイトなど、所定労働時間が短い人
派遣労働者用派遣元事業主が、派遣労働者として雇って派遣就業させる場合
建設労働者用/林業労働者用建設・林業など業種特有の記載が必要な場合
厚労省の労働条件通知書様式を就業形態と交付日の2軸で選ぶための分類図

パート・アルバイトを雇うのに一般労働者用を使うと、昇給・賞与・退職手当の有無といったパート特有の明示項目が足りなくなることがあります。働き方に合った様式を選ぶのが無難ですね。

兼用版にするときの一文(署名・記名押印欄の足し方)

モデル様式は「通知書」なので、そのままだと会社から本人へ渡すだけの一方向の書類です。これを「契約書」として双方の合意の証拠にするには、末尾に合意文と署名欄を1ブロック足すだけで大丈夫です。

【兼用版にする追記の例】

「上記の労働条件を確認し、これを了承して雇用契約を締結します。本書を2通作成し、事業主および労働者が各1通を保有する。」
 令和 年 月 日
 事業主 住所・名称・代表者職氏名    ㊞
 労働者 住所・氏名           ㊞

この一文と署名欄が入るだけで、「会社が労働条件を明示した」ことと「本人が合意した」ことの両方を1枚で残せます。2部作って、会社と本人で1部ずつ保管するのが一般的ですね。上で配布しているテンプレートには、この合意文と署名欄が最初から入っています。

雇用契約書と労働条件通知書はどう違う?兼用していいの?

そもそもこの2つは役割が違います。混同しやすいので、ざっと整理しておきます。

労働条件通知書=会社から本人への一方向(交付義務あり)

労働条件通知書は、会社が労働者に対して労働条件を書面で知らせるための書類です。これは労働基準法第15条で交付が義務づけられているもので、本人の署名は必要ありません。会社が一方的に「あなたの労働条件はこうです」と知らせる書類、というイメージですね。

雇用契約書=双方の合意(署名・記名押印あり)

一方の雇用契約書は、会社と労働者の双方が合意した内容を残す契約書です。両者の署名または記名押印が入ります。法律上は契約書そのものの作成は必須ではないのですが、後で「言った・言わない」のトラブルを避けるために、作っておく会社がほとんどだと思います。

1枚で兼ねるのが実務では一般的

役割は違うのですが、書く中身(賃金・労働時間・就業場所など)はほぼ重なります。なので実務では、労働条件通知書の内容に署名欄を足して「労働条件通知書兼雇用契約書」として1枚にまとめるのが一般的です。

こうすると、交付義務(通知書の役割)と合意の証拠(契約書の役割)を1枚で満たせるので、書類が増えなくて済みます。私の会社でもこの兼用版を使っています。

労働条件通知書と雇用契約書の違いと1枚に兼用する仕組みを示す構成図

テンプレートに必ず入れる項目(絶対的明示事項)

テンプレートを使うとき、一番大事なのが「明示しなければならない項目」が漏れていないかです。労働基準法では、必ず書面で明示しなければならない項目(絶対的明示事項)が決まっています。

  • 労働契約の期間(期間の定めの有無、ある場合はその期間)
  • 有期契約を更新する場合の基準(更新の有無、更新する・しないの判断基準、更新上限の有無と内容)
  • 就業の場所・従事する業務の内容(+それぞれの「変更の範囲」※2024年4月から)
  • 始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩、休日、休暇、交替制のルール
  • 賃金の決定・計算・支払方法、締切と支払の時期、昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

このうち昇給を除いた項目は、口頭ではなく書面(または本人が希望すれば電子)での明示が必要です。テンプレートにこれらの枠があるか、まず確認してください。なお有期契約の更新基準は、期間の定めがある人を雇うときだけ必要になる項目です。

相対的明示事項(定めがあるとき書く項目)

上の絶対的明示事項のほかに、「会社にその定めがある場合は明示する」項目もあります。これを相対的明示事項といいます。退職金や賞与、安全衛生などですね。

  • 退職手当(対象者・計算方法・支払時期)
  • 臨時の賃金・賞与、最低賃金額
  • 労働者負担の食費・作業用品など
  • 安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁、休職
絶対的明示事項と相対的明示事項を区別して整理した労働条件の明示項目図

相対的明示事項は口頭での明示でもよいとされていますが、トラブル防止のためテンプレートに書いておくのが好ましいでしょう。退職金や休職など、就業規則に定めがあるものは「就業規則第○条による」と書く方法もあります。

電子交付(メール・PDF)はできる?

できます。2019年4月から、労働者が希望した場合は、メールやSNS(FAX含む)など電子的な方法で明示することが認められています。PDFを添付して送るのもこれに含まれますね。

ただし条件があって、本人が電子交付を希望していることと、本人が印刷して保存できる形式(PDFなど出力できるもの)であることが必要です。本文だけのチャットメッセージのように、後で残しにくい形はダメとされています。

テレワークの採用が増えて、最近は電子契約サービスで兼用版を交わす会社も増えてきました。電子サインを使うなら「」のような電子契約サービスを使うと、送信・合意・保管まで1か所でできて楽だと思います。

【2024年4月改正】追加された明示事項4つ

ここが古いテンプレートとの一番の違いです。2024年(令和6年)4月1日から、労働条件の明示事項が4つ追加されました。2024年3月以前の様式を使っていると、この4項目が抜けてしまうので注意してください。

項目2024年3月まで2024年4月から
就業場所・業務雇入れ直後の内容のみ+「変更の範囲」も明示
有期契約の更新上限明示不要上限がある場合は明示
無期転換の申込機会明示不要申込みできる旨を明示
無期転換後の労働条件明示不要転換後の条件を明示
2024年4月改正で追加された変更の範囲・更新上限・無期転換の明示4項目の比較図

①就業場所・業務の「変更の範囲」

これは全労働者が対象です。雇入れ直後の就業場所・業務だけでなく、「将来、配置転換などでどこまで変わる可能性があるか」という範囲まで書く必要があります。

たとえば「(雇入れ直後)本社経理部/(変更の範囲)会社の定める全部署・全事業所」のように、今の配置と将来の見込みをセットで書くイメージですね。転勤や部署異動がある会社は特に大事な項目です。

②有期契約の更新上限の有無と内容

有期契約(契約社員・パートなど期間の定めがある人)を雇うときや更新するときに、通算の契約期間や更新回数に上限があれば、その内容を明示します。「通算4年まで」「更新3回まで」といった形ですね。

なお、上限がない場合は「明示しなくてよい」とされています。上限を後から新しく設けたり短くしたりするときは、その理由を本人にあらかじめ説明する必要があるので、ここも注意してください。

③無期転換の申込機会

有期契約が通算5年を超えると、本人の申込みで無期契約に転換できる「無期転換ルール」があります。2024年4月からは、無期転換を申し込める契約更新のタイミングごとに、「あなたは無期転換を申し込めます」という旨を明示する必要があります。

④無期転換後の労働条件

③とセットで、無期転換した後の労働条件(賃金・労働時間など)も明示します。転換後にどういう条件になるのかを、申込機会のたびに知らせるイメージです。

有期の人を雇っている会社は、③④に対応した最新のテンプレートを使ってください。古い様式だとこの欄自体がありません。

こうした明示や管理を手作業でやると抜けが出やすいので、人事労務のクラウドソフト(「」など)で雇用契約をテンプレ化しておくと、改正対応の更新も楽になります。

【2026年10月改正】パート・有期に追加される明示事項

もう一つ、間近に迫った改正も押さえておきます。2026年(令和8年)10月1日から、パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇い入れるときの明示事項がさらに追加されます。厚生労働省の新しいモデル様式はすでに公開されていて、この記事の前半からダウンロードできます。

【2026年10月1日〜の追加内容】

パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れるとき、現行の明示事項(昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口)に加えて、新たに「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨の明示が必要になります。違反した者は10万円以下の過料に処されます。

新しいモデル様式では、「その他」欄に次の一文と窓口の記入欄が追加されています。自社のテンプレートに足すときは、この文言をそのまま使うのが確実です。

・次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。
 部署名(     )担当者職氏名(     )連絡先(     )

2019年電子交付から2024年4月・2026年10月までの労働条件明示ルール改正のタイムライン

同時に変わるもう2つのこと

2026年10月の改正は、明示事項の追加だけではありません。「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正と、待遇差を説明するときの方法の明確化がセットになっています。

  • ガイドラインに家族手当・住宅手当・退職手当・夏季冬季休暇・無事故手当・褒賞などが追加され、どういう待遇差が不合理かの基準が示されました
  • 待遇差を説明するときは「資料を活用し、口頭により説明する方法」か「説明すべき事項をすべて記載した分かりやすい内容の資料を交付する等の方法」のいずれかによることが示されました

つまり、テンプレートに文言を足すだけでは足りません。実際に賞与・手当・休暇などの待遇差について「説明できる状態」にしておくところまでが今回の改正の中身です。パート・アルバイトや契約社員を雇っている会社は、2026年9月30日までに準備しておくと安心ですね。

テンプレートを使うときの注意点

テンプレートはあくまで雛形なので、自社の実態に合わせて直す必要があります。そのまま使うと、かえってトラブルのもとになることもあります。

就業規則と矛盾させない

一番気をつけたいのが、就業規則との食い違いです。雇用契約書に書いた労働条件が就業規則の基準を下回っていると、その部分は無効になり、就業規則の基準が適用されます(労働契約法第12条)。

たとえば就業規則で「年次有給休暇は法定どおり」としているのに、契約書で勝手に「有給なし」と書いても効力はありません。契約書を作るときは、就業規則と数字が合っているか見比べておくと安心です。

試用期間・契約期間は実態に合わせる

試用期間を設けるなら、その期間と、試用期間中の労働条件(本採用と違う場合)も書いておきます。契約社員なら契約期間と更新の有無も実態どおりに。テンプレの「3か月」などの数字をそのまま残してしまうミスが多いので注意してください。

控えと保管(労働者名簿・賃金台帳と一緒に)

兼用版は2部作って、会社と本人で1部ずつ持つのが基本です。会社の控えは、労働者名簿や賃金台帳といった法定帳簿と一緒に保管しておくと、後で探しやすいですね。

労働者名簿の作り方は、労働者名簿の記入例と書き方~必要性やエクセルやマクロでの作り方などを紹介~で詳しく解説しています。あわせて整えておくと採用時の書類がそろいます。

よくある質問(FAQ)

雇用契約書を作らないと違法になりますか?

雇用契約書そのものは法律上の作成義務はありません。ただし労働条件通知書(書面での明示)は労働基準法で義務づけられているので、明示を怠ると罰則の対象になります。兼用版にしておけば両方を1枚で満たせます。

パート・アルバイトにも兼用版を渡す必要がありますか?

必要です。パート・アルバイトも労働者なので、労働条件の明示義務があります。短時間労働者用の様式には昇給・賞与・退職手当の有無や相談窓口の記載欄もあるので、専用様式を使うのが無難です。

2026年10月より前に交付した分も作り直しが必要ですか?

今回追加されるのは「雇い入れ時」の明示事項なので、2026年10月1日より前に雇い入れた人の分をさかのぼって作り直す必要はありません。10月1日以降の雇い入れ(契約更新を含む)から新しい様式を使ってください。

印鑑(押印)は必須ですか?

必須ではありません。署名(自署)があれば押印がなくても契約は有効です。とはいえ社内ルールで押印を求めている会社も多いので、自社の慣行に合わせて大丈夫です。

外国人を雇うときも同じテンプレートでいいですか?

明示すべき内容は同じですが、本人が理解できる言語での明示が望ましいとされています。厚労省・労働局では英語など外国語版の労働条件通知書も配布しているので、それを使うと親切です。

労働条件が後から変わったら、また作り直しですか?

賃金や勤務地などが変わったときは、変更内容を本人に知らせるのが望ましいです。昇給や異動のたびに全部作り直す必要はありませんが、辞令や覚書で変更点を残しておくとトラブル防止になります。

テンプレートは民間サイトのものでもいいですか?

構いませんが、2024年4月の改正(変更の範囲・更新上限など)と2026年10月の改正に対応した最新版かどうかを必ず確認してください。古いひな形だと追加項目の欄がないことがあります。迷ったら厚労省のモデル様式が確実です。

まとめ

雇用契約書(労働条件通知書兼用)は、この記事のテンプレートをそのまま使うか、厚労省のモデル様式に署名欄を1ブロック足して作るのが確実です。就業形態に合った様式を選ぶこと、そして交付日が2026年10月1日以降かどうかで様式が変わることも忘れないでください。

  • テンプレは記事前半のExcel/Word版、または厚労省「主要様式ダウンロードコーナー」のWord版が確実
  • 絶対的明示事項(有期契約なら更新基準も含む)+相対的明示事項が漏れていないか確認
  • 2024年4月改正の4項目(変更の範囲・更新上限・無期転換)対応の最新版を使う
  • 2026年10月1日からはパート・有期に「待遇差の説明を求められる旨」が追加(違反は10万円以下の過料)
  • 就業規則と矛盾させない・実態に合わせて数字を直す・控えを保管

採用が決まってから慌てて作ると抜けが出やすいので、最新のテンプレートを1つ整えておくと、次に人を雇うときがぐっと楽になります。これから準備する方の参考になればうれしいです。

参考リンク

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