返品・値引き・割戻し・割引があったときの仕訳処理

返品・値引き・割戻し・割引があったときの仕訳処理

売上を計上したあとに、商品が返品されたり、値引きをしたりすることがありますよね。経理をしていると、「返品と値引きで仕訳は違うの?」「割戻しと割引って何が違うの?」と、似た言葉の処理に迷うことが多いと思います。

返品・値引き・割戻し・割引は、言葉は似ていますが、それぞれ意味も仕訳も違います。ごっちゃにすると、売上の金額や消費税の計算がずれてしまうこともあるので、違いを整理して覚えておくと安心です。

この記事では、返品・値引き・割戻し・割引があったときの仕訳処理を、経理担当者向けにやさしく整理してみました。それぞれの違いと、具体的な仕訳例をあわせて押さえておきましょう。

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返品・値引き・割戻し・割引の違い

まずは4つの言葉の意味を整理しましょう。似ていますが、起きる理由がそれぞれ違います。

返品・値引き・割戻し・割引の原因と性質の違いを比較した図
用語意味
返品売った商品が返ってくること(売上の取り消し)
値引き品質不良や数量不足などで代金を減らすこと
割戻し(リベート)一定期間に多く買ってくれた相手へ代金の一部を戻すこと
割引支払期日より早く代金を払ってもらったときの利息相当の控除

返品・値引き・割戻しは売上そのものを減らすものですが、割引だけは性質が異なり、利息に近い「営業外費用」として扱う点がポイントです。ここがいちばん混同しやすいところですね。

返品があったときの仕訳

返品は、売った商品が返ってくることなので、計上した売上を取り消します。たとえば、掛けで売った商品10,000円が返品された場合は、次のように売上を減らします。

借方貸方
売上 10,000売掛金 10,000

売上を直接減らすほか、「売上戻り」という勘定科目を使って処理する方法もあります。どちらでも結果は同じですが、返品がどれくらいあったかを管理したい場合は、売上戻りを使うと把握しやすくなります。返品にともなって消費税も減るので、あわせて調整します。

値引き・割戻しがあったときの仕訳

値引きの仕訳

値引きは、品質不良や数量不足などを理由に代金を減らすことです。たとえば、掛け代金のうち2,000円を値引きした場合は、売上を減らします。

借方貸方
売上 2,000売掛金 2,000

こちらも「売上値引」という勘定科目を使う方法があります。返品と同じく、売上を減らす処理になります。

割戻しの仕訳

割戻し(リベート)は、一定期間にたくさん買ってくれた取引先へ、代金の一部を戻すことです。たとえば、5,000円を割り戻す場合は、売上を減らします。

借方貸方
売上 5,000売掛金(または現金)5,000

割戻しも売上を減らす処理です。「売上割戻」という科目を使うこともあります。返品・値引き・割戻しは、いずれも売上のマイナスとして扱う、という点で共通しています。

割引があったときの仕訳

注意したいのが「割引」です。ここでいう割引は、支払期日より早く代金を払ってもらったお礼として、その分を控除するものを指します。早く払ってもらうことへの利息に相当するため、売上のマイナスではなく「売上割引」として営業外費用で処理します。

返品値引割戻しは売上控除・割引は営業外という仕訳区分の図

たとえば、売掛金10,000円について、早期入金により200円を割り引いて9,800円を受け取った場合は、次のようになります。

借方貸方
現金預金 9,800
売上割引 200
売掛金 10,000

【ポイント】割引だけは売上のマイナスではない

返品・値引き・割戻しは売上を減らしますが、割引は利息に近い性質のため営業外費用(売上割引)で処理します。なお、収益認識会計基準を適用する場合は売上から控除する扱いになることもあります。自社がどちらの処理かを確認しておきましょう。

消費税の扱いに注意

返品・値引き・割戻しがあると、その分の消費税も減ります。これを「売上対価の返還等」といい、消費税の計算で調整が必要です。インボイス制度では、一定額以上の返品や値引きなどをしたときに「返還インボイス(適格返還請求書)」の交付が必要になる場合があります。少額(税込1万円未満)の値引き等は交付が免除されますが、扱いを確認しておきましょう。

返品値引割戻しに伴う消費税を売上対価の返還として調整する図

返品・値引き・割戻し・割引の仕訳に関するよくある質問(FAQ)

返品と値引きで仕訳は違いますか?

仕訳の形は似ていて、どちらも売上を減らす処理です。違いは理由で、返品は商品が返ってくること、値引きは品質不良などで代金を減らすことです。どちらも「売上戻り」「売上値引」といった科目で区別して管理することもできます。どれくらい返品や値引きが発生しているかを把握したい場合は、科目を分けると便利です。

割戻しと割引は何が違いますか?

割戻し(リベート)は、一定期間に多く買ってくれた取引先へ代金の一部を戻すもので、売上のマイナスとして処理します。一方、割引は支払期日より早く代金を払ってもらったときの利息に相当する控除で、営業外費用(売上割引)として処理するのが従来の扱いです。性質がまったく異なるので、混同しないよう注意が必要です。

専用の勘定科目を使わないといけませんか?

必須ではありません。返品や値引きは売上を直接減らす処理でも問題ありませんが、「売上戻り」「売上値引」「売上割戻」といった科目を使うと、それぞれの発生額を把握しやすくなります。管理上の必要に応じて使い分けるとよいでしょう。いったん決めた処理方法は、継続して使うことが大切です。

返品や値引きをすると消費税はどうなりますか?

返品・値引き・割戻しがあると、その分の消費税も減ります。これは「売上対価の返還等」として消費税の計算で調整します。インボイス制度では、一定額以上の返品や値引きをした際に返還インボイス(適格返還請求書)の交付が必要になる場合があります。ただし、税込1万円未満の値引き等は交付が免除されます。

収益認識基準だと割引の処理は変わりますか?

変わる場合があります。収益認識に関する会計基準を適用する会社では、売上割引を営業外費用とせず、売上高から控除する扱いになることがあります。中小企業では従来どおり営業外費用として処理することも認められています。自社がどの会計処理を採用しているか、顧問税理士に確認しておくと安心です。

返品・値引き・割戻しは「売上のマイナス」、割引は「利息に近い営業外費用」と整理しておくと、迷わず処理できます。あわせて、返品や値引きでは消費税の調整やインボイスの返還請求書にも気を配りましょう。似た言葉でも意味と仕訳が違うので、違いをしっかり押さえて正確に処理していきましょう。

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