総務経理の仕事をして十数年、こんな経験はないので正直何をしたら正しいのかわかりません。
しかし、会社と社員の生活を維持する為に、何もしないでいいわけがありません。
インターネットの情報や各官公庁のプレス発表に加え、他社の総務経理担当者の意見などを交えながら何をすべきかを考えまとめていきたいと思います。
2021年1月に再発令されましたが、状況や対応は4月と同じか、柔軟で良さそうです。
緊急事態宣言とは
安倍首相は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7日に出しました。
東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象となります。
実施期間は同日から5月6日までの1カ月間。
緊急事態宣言は、今回の場合、首相が地域、期間を指定し、知事が処置を行います。
通常の災害時のBCP対応との違い
地震や豪雨などの自然災害時によく言われるBCPと、今回のコロナウイルスによる緊急事態宣言とは何が違うのでしょうか?
まずは、「終わりが見えない点」ですね。いつ終わるかわからない恐怖と何ヶ月分の備蓄や備えが必要か読めません。
また、「感染者が出ない限り、社員の人命へ直接的な影響がでない」点です。直接影響がないので、社員より会社重視の傾向が強く、事後対応中心の日本では経営者は動かない気がします。
ちなみに、地震災害時のBCP対応策の関連記事はこちら>>>>
営業(事業継続)はしていいのか?
社会的な雰囲気として営業自粛が望ましいのは明らかだと思いますが、社員の給与確保や家賃などの費用確保のために最低限の営業活動は避けられない。
他社の総務経理担当者に聞いても、通勤等制限されるわけではないし通常営業すると言ってる人が多かったです。
プレス発表では、大手のスーパーやコンビニそれにドラッグストアは、緊急事態宣言が出た場合でも原則として営業を続けることにしています。
同様に、大手食品メーカーの多くは、緊急事態宣言が出た場合でも原則として生産を続けるとしています。
ただ、各知事は、学校の休校や次の施設の使用制限、イベントの開催自粛を要請できるようになります。
・小中学校や高校、保育所、デイサービスなどの社会福祉施設については規模にかかわらず対象となります。
・このほか、映画館・劇場、集会場や展示場、百貨店、スーパーマーケット、ホテルや旅館、体育館、プールなどの運動施設、博物館や図書館、ナイトクラブ、自動車教習所や学習塾などについては建物の床面積1000平方mを超える施設が対象となります。
これに満たない施設でも特に必要と判断された場合は対象となります。
「要請」に従わない施設などに対して、都道府県知事は「指示」を行えるようになり、知事は指示を行った施設名をホームページなどに「公表」することになります。そういう意味で社会的制裁がかかりそうですね。
ちなみに、北海道で緊急事態宣言が出た際は(法的効力はないものですが)、小売店が営業時間を30分短縮など行い、「自粛」の際とあまりかわりはない様子だったようです。
法律上、問題点は?違法の場合どこまでの罰金やペナルティがあるか。
非常事態宣言により、知事は、売り渡しを要請する物資について業者に保管するよう命じることができますが、業者がこれに従わず、隠したり破棄したりした場合、6か月以下の懲役か30万円以下の罰金が科されます。
また、臨時の医療施設開設のための土地使用や、医薬品や食料などの物資の保管場所に関して、都道府県などが行う立ち入り検査を拒否した場合も30万円以下の罰金が科されます。
この2点以外は違法ではないので、事業継続しても、社会的な問題以外は大きな問題とはならないと思います。
社員に対してどう言ったいいの?
「通常通り働こう」と言ったところで、首相が「緊急事態」と言っている以上、対応策を示さないと社員の方は不安になる一方です。
多くの会社で、テレワーク、時差出勤などの対応策を取ると思います。
(鉄道やバスなど公共交通機関は、緊急事態宣言が出た場合でも基本的にはさらなる運休などは行わず、これまでどおりのダイヤで運行が行われる予定です。)
こういった対応を何かしないと従業員としては安心できないですよね。
取引先の対応が変わる
上記の社員の働き方以外では、取引先の対応が変わるの一番大きな変化で問題かと思っています。
例えば、
配送業者が通常の時間通りできないと言ってきたり、
銀行の外交員が来ないので、こちらからATM等に入金に行かないといけない
などが、今わかっている問題点ですね。
また、テレワークや営業時間の変更を行う際は取引先や顧客に対しての広報業務が発生しますね。
新型コロナの小学校休校等対応助成金の申請方法、事務処理方法
新型コロナウイルスによる小、中学校の休校により生じた保護者の欠勤は、有給?、有給減無しの特別休暇?、申請方法は?どう対応したらいいでしょうか?
という質問が来ました。
過去に例のない助成金なので、よくわかりませんよね。私も色々調べたり、電話したりした内容をまとめていこうと思います。
(情報が次々更新されるので、経緯は最低限にして、直近の最終情報のみをわかりやすくまとめなおしました。随時更新予定です)
助成金の制度の概要
一言でいえば、コロナで子どもが小学校を休んだ際に、保護者が有給休暇を取得すれば、その日数の費用を国が(会社を経由して)支払うという仕組みです。
助成金を受け取る為の条件
基本新型コロナ関連で子どもの休校等で休んだ場合は対象となります。
具体的には、
1.労働者の申し出により 、 令和2年2月27日から 同年9月30日まで の間に、以下のいずれかに該当する 有給休暇を取得させた こと 。
・新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業 等をした小学校等 に通う子どもの世話を保護者として行うための有給休暇
・新型コロナウイルス感染症に感染した又は風邪症状など 感染したおそれのある小学校等に通う子どもの 世話を保護者として行うための有休休暇
2.1の有給休暇は、 労働基準法の年次有給休暇とは別に付与すること
3.1の有給休暇は、 年次有給休暇の場合と同等の賃金が支払われるもの であること。
4.1の有給休暇を取得した労働者が、申請日時点において1日以上は勤務したことのある労働者であること。
助成金はいくらもらえる?
もらえる金額は次の通りです。
対象労働者の日額換算賃金額 x 有給休暇の日数
対象労働者の日額換算賃金額とは、対象労働者の通常の賃金を日額換算したもので、
上限として
令和2年2月27日から3月31日までの休暇取得分は8,330円を超える場合は 8,330 円、
令和 2年 4 月 1 日から 9 月3 0 日 までの休暇取得分は、15,000円 を超える場合 は 15,000 円 です。
注意点として、有給休暇日数は、時間単位の休暇を含みます。
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申請・手続き方法
印象としては、時間給の計算が面倒です。
また、従業員の署名、押印もいるので今回の有休とって退職した場合、あとで申請する時はややっこしいかもしれませんね。
支給申請期限
支給申請期間は 令和 2年3月18日~同年 12 月 28 日 まで 。
申請書の提出先
〒137-8691 新東京郵便局 私書箱132号 学校等休業助成金・ 支援金受付センター
つまり、ハローワークや年金事務所ではありません 。
必要書類
様式等はこちらからダウンロードできます。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
1.支給申請書:様式第1号①
2.支給申請書: 様式第1号②
3.有給休暇取得確認書 様式第2号
4.(対象労働者ごとの)休暇取得が分かる出勤簿、タイムカード、休暇簿の写し等
5.(対象労働者ごとの)有給休暇を取得した月の賃金台帳、給与明細の写し
6.(対象労働者ごとの 雇用契約書、労働条件通知書、 勤務シフト表、 就業規則 (就業時間、休日部分 等の写し
7.通帳 見開き1ページ目)、キャッシュカードの写し
・対象労働者の子にかかる小学校等からの臨時休業等のお知 らせ(ない場合は 様式第2号 有給休暇取得確認書 に臨時 休業 等 期間を記入)
問い合わせ、詳細な情報
・厚生労働省のリンク->「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました」
・問い合わせ先は->
学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金コールセンター TEL 0120-60-3999 (受付時間 9:00 21:00)
事務担当者の処理上の注意点
処理で注意が必要なポイントをまとめています。
処理の流れ
次のような流れになると思います。
- 休暇申請時に届出書を取るなど、理由をチェック
- 給与計算時に、年次有給休暇とは別の特別休暇などの処理を行い、いつもどおりの賃金を支払う
- 様式第2号の「有給休暇取得確認書」を、休暇を取得した従業員本人に書いてもらう。
- タイムカードなど必要書類を用意
- 様式第1号を記入し、申請
手続きが終われば、決定通知書が届き、振込まれます。
新型コロナ休校の保護者の有休?育児休暇?欠勤?処理~出退勤管理の方法~
現時点(3/12)ではうちの会社は「有休で処理、足りなければ付与」というのが、方針です。
今の会社では、まず
1.年次有給休暇を消化
2.消化しきれない又は有給がない人は、申請のある日数を付与する
流れです。有休がない社歴の浅い人やパートの一部の人も届出書を書いてもらい処理する予定です。(現時点で申請手続きにどのような書類が必要か公表されていない以上、どのように証明するかは不明でしたので、届出書という形で状況説明を従業員の方にお願いしていました。)
先に有休付与してから消化させるべきでは?
年次有給休暇のある人についても先に有休付与してから消化させるべきとの意見もあると思います。
これについては最寄りの労働局の雇用環境均等室が担当とのことでTELしました。
(手続きは申請窓口も含め何も決まっていないと返答があり、答えれることはほどんどありませんという雰囲気でしたが、、、)
ただ、従業員の現在の有休を消化して、後日助成金がでた段階で有休を付与するというのはOKとは教えてもらいました。(2020/3/12現在)
仮にこの返答通りなら、有休付与を後日されるので、従業員からすれば、その時に有休日数を回収できるという形になるのではないかと思います。
パートアルバイトの有休はどこまで付与していいの?
こういう質問もきました。有休を毎月31日取ってもいいのか?というタイプの質問だったり、これから勤務シフト決めるからどれくらいとったらいいの?というタイプの質問だったり、、、
申請書提出に必要な添付資料として、「勤務カレンダー」を求めている以上、過去分も求められる可能性が高いと思います。
そうなると、過剰に有休を申請しても拒否されたら、会社としては損となるので、これまでの勤務実態(勤務シフト)をベースに有休をとるように言ってます(週3来てた人なら、多くて週3とか)
この手続き会社の義務なの?
ただ、間違えやすいのが、これは「助成金」という流れをとっているだけあって「会社の義務」ではありません。(会社の義務としたいのなら「有休」ではなく、「祝日」などの「休日」にするはずですよね、、)
また給与処理上では、私は、通常の年次有給休暇と区別するため「特別休暇」という項目を使用しています。
「新型コロナ、通勤途中で感染したら労災認定されるのか?」
その他、
「通勤途中で感染したら労災認定されるのか?」
など、企業の労務担当者向けの質問も下記に乗っているので一度見られてはいかかでしょうか?
(通勤途中の感染は労災がが認めらるというような内容ですが、、、実務的には「医師が労災を認めるか(医師が通勤中の感染を認めるか?)」となると思うので、現実適用は難しいと思いますが、、、)
緊急事態宣言の総務経理対応のまとめ
・通常とは異なるものの、多くの業種で営業は可能。
・ただし、社員の出勤方法などが変わるので通常営業は難しい
・取引先の対応も変わるので、客先への説明の準備も必要
まだ先が見えない長丁場です。落ち着いていきましょう。