派遣社員に来てもらっていたものの、「業務が減ってしまった」「事情が変わった」などの理由で、契約期間の途中で受け入れをやめたい——こうした場面が出てくることがあります。ただ、派遣契約の途中解除は、簡単に「もう来なくていいです」とできるものではありません。
私も総務で派遣を担当するなかで、途中解除には派遣先としての配慮や費用負担が伴うと知り、慎重に進める必要があると実感しました。派遣社員の雇用や収入に直結する話だからです。
今回は、派遣契約を途中解除するときの注意点を整理しました。やむを得ず中途解除を検討する総務・人事の方の参考になればうれしいです。
派遣契約の中途解除とは?
まずは、派遣契約の中途解除がどういうものかを整理しておきましょう。

契約期間の途中で受け入れをやめること
派遣契約の中途解除とは、労働者派遣契約で定めた期間が満了する前に、派遣の受け入れをやめることをいいます。たとえば「1年契約だったが、半年で解除したい」というケースです。期間満了による終了とは違い、途中で打ち切るため、慎重な対応が求められます。
派遣先都合と派遣元都合がある
中途解除には、派遣先(受け入れ先)の都合によるものと、派遣元の都合によるものがあります。とくに問題になりやすいのが、派遣先の都合による解除です。本記事では、おもに派遣先の都合で解除する場合の注意点を見ていきます。
派遣社員の雇用・収入に直結する
気をつけたいのは、中途解除が派遣社員の雇用や収入に直接影響するという点です。派遣社員は派遣元に雇われていますが、派遣先での仕事がなくなれば、収入を失うおそれがあります。派遣先の都合で軽々しく解除すると、派遣社員に大きな不利益を与えてしまいます。
中途解除が問題になる理由
なぜ中途解除に注意が必要なのか、その理由を確認しておきましょう。
派遣社員は派遣元に雇われている
派遣社員と労働契約を結んでいるのは派遣元です。派遣先が契約を解除しても、派遣元と派遣社員の労働契約がすぐになくなるわけではありません。しかし、派遣先での仕事を失った派遣社員は、次の仕事が見つからなければ、休業や収入減につながります。派遣先の解除が、派遣社員の生活に影響するのです。
安易な解除はトラブル・信用低下につながる
派遣先の都合で安易に中途解除をすると、派遣元との関係が悪くなり、今後の取引にも影響します。また、派遣社員に不利益を与えたとして、トラブルに発展することもあります。中途解除は、会社の信用にも関わる重要な判断だと考えましょう。
派遣先都合で解除するときの義務・配慮
派遣先の都合で中途解除をする場合、派遣先には果たすべき義務や配慮があります。これらは法律や指針で定められています。

新たな就業機会の確保への協力
派遣先の都合で解除する場合、派遣先は、その派遣社員が新たな就業先を見つけられるよう協力することが求められます。たとえば、関連会社での受け入れを検討するなど、派遣元と協力して、派遣社員が仕事を失わないよう努める必要があります。
休業手当等に相当する費用の負担
新たな就業先がすぐに見つからない場合、派遣元は派遣社員を休業させることがあります。この場合、派遣先は、派遣元が支払う休業手当などに相当する費用を負担することが求められます。中途解除には、こうした費用負担が伴うことを理解しておきましょう。
中途解除を進める流れ
やむを得ず中途解除をする場合は、次の流れで慎重に進めます。

本当に解除が必要か、ほかに方法はないかを検討します。安易な解除はトラブルのもとなので、慎重に判断します。
できるだけ早く派遣元へ事情を伝え、相当の猶予期間をもって予告します。直前の申し入れは避けます。
新たな就業先の確保への協力や、休業手当に相当する費用の負担について、派遣元と誠実に協議します。
解除の条件や費用負担などの合意内容を、書面で残します。後の行き違いを防ぐために大切です。
派遣社員本人への配慮
中途解除では、派遣社員本人への配慮も欠かせません。次の点に注意しましょう。
本人に責任のない解除で不利益を与えない
業務量の減少など、派遣社員本人に責任のない理由で解除する場合は、本人が不利益を受けないよう、就業先の確保や費用負担などで配慮することが大切です。会社側の事情で打ち切るのに、そのしわ寄せを派遣社員だけに負わせるのは適切ではありません。
苦情を言ったこと等を理由にした解除は禁止
派遣社員が苦情を申し出たことや、正当な権利を行使したことを理由に、報復的に契約を解除することは認められません。こうした解除は違法と判断されるおそれがあります。解除はあくまで正当な理由にもとづいて行い、不当な動機による解除は避けましょう。
まとめ
派遣契約の中途解除は、契約期間の途中で受け入れをやめることで、派遣社員の雇用や収入に直結する重要な判断です。派遣先の都合で解除する場合は、新たな就業機会の確保への協力や、休業手当に相当する費用の負担、相当の予告期間の確保などが求められます。
安易な解除はトラブルや信用低下につながります。やむを得ず解除する場合も、早めに派遣元へ申し入れ、誠実に協議し、合意内容を書面で残しましょう。派遣社員本人への配慮を忘れず、不当な理由による解除は避けることが大切です。
よくある質問
- 派遣契約の途中解除は違法ですか?
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中途解除そのものが必ず違法というわけではありません。ただし、派遣先の都合で解除する場合は、新たな就業機会の確保への協力や、休業手当に相当する費用の負担などの義務・配慮が求められます。これらを果たさず、一方的に打ち切ると、トラブルや責任問題につながります。やむを得ない場合でも、誠実に対応することが必要です。
- 予告なしで急に解除できますか?
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避けるべきです。派遣先の都合で中途解除をするときは、できるだけ早めに派遣元へ申し入れ、相当の猶予期間をもって予告することが求められます。突然の打ち切りは、派遣元や派遣社員に大きな影響を与え、トラブルのもとになります。事情が分かった段階で、早めに相談を始めましょう。
- 費用はどこまで負担する必要がありますか?
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派遣先の都合で解除し、新たな就業先がすぐに見つからない場合、派遣元が支払う休業手当などに相当する費用を、派遣先が負担することが求められます。具体的な負担の範囲は、契約内容や状況によって異なるため、派遣元とよく協議して決めることになります。あらかじめ契約に中途解除時の取り扱いを定めておくと、トラブルを防げます。
- 派遣社員に問題があった場合も同じ扱いですか?
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派遣社員に重大な問題行動があった場合などは、事情が異なります。ただし、その場合でも、まずは派遣元に状況を伝えて対応を相談するのが基本です。派遣先が直接処分することはできません。事実を確認し、派遣元と協議したうえで、契約上の対応を検討しましょう。本人に責任のない事情による解除とは、分けて考える必要があります。
- 契約書に中途解除の条項は必要ですか?
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あらかじめ労働者派遣契約に、中途解除をする場合の取り扱い(予告期間や費用負担、就業先確保への協力など)を定めておくことが望ましいです。条項があれば、いざ解除が必要になったときの対応がスムーズになり、トラブルも防ぎやすくなります。契約を結ぶ段階で、派遣元と取り決めておきましょう。




